為替政策: 行き過ぎた自由の再考(2)
8月11日、スイスフランは、対ドル、対ユーロで4~5パーセント下げました。理由は、スイスの中央銀行の副総裁が、スイスフラン高を防止する政策としては為替介入だけではない、と発言したことだと報道されています。マスコミでは、ユーロペッグに言及したのではなく、「それを否定しなかった」いう形の報道でした。
ご承知のように、スイスフランは、歴史的に見ても円と同じくらい高くなっていて、日本とは経済構造、国際的に置かれた条件が違うとはいえ、矢張りスイスフラン高はこたえるのでしょう。
ご記憶の方もおありかと思いますが、ニクソンショック以前の固定相場時代、1スイスフランは83円でした。昨日は97円で、変動相場制になってからは、円とは追いつ追われつです。
英ポンドが固定相場時代の1ポンド1008円、ドルが360円、だったことを思えば、かつての基軸通貨国は如何に自国通貨を安くして、国際競争を凌いで来たかが丸見えです。
この世界の2つの強い通貨の国の1つ、スイス。 日本と違って、かつて「チューリッヒの小鬼たち」などといわれたように、世界の金融市場の中心でもあった国の中央銀行が、行きすぎたマネーマーケットの現状への拒否を示唆したということになります。
基軸通貨の座からドルがずり落ちることを、何とかこらえようとするアメリカも、実は、実体経済から乖離したマネーマーケットの動きには困っている面も強いと思われます。ドルは高すぎても困る、しかし安すぎても困る。ドルの動きは天気予報よりも読みにくいでしょう。
チューリッヒの子鬼ならぬ「マンハッタンの大鬼たち」の行動は、次第に制御不能になってきているようです。
だからこそ、G20やIMF は、繰り返し金融市場の規制を議論し、アメリカも 金融規制法案を成立させているということでしょう。しかしすでに巨大なエスタブリッシュメントとなったマネー資本主義を規制することは容易ではありません。現にアメリカは、実体経済の衰弱の回復の時間稼ぎに、それに依存しようとする部分も持っているのです。
しかしマネー資本主義は、決定的な弱みも持っています。
その1つは、マネー資本主義のキャピタルゲイン極大原理は、実体経済の経済成長原理には、人間の基本的なあり方の面で、 絶対に敵わないことです。
もう1つは、行きすぎた自由という面で、規制には極めて弱いということです。現にスイス中銀の上記の、かなり曖昧な発言で、大きな影響を受けています。
「人間は実体経済で生きている」という現実を基盤にした規制には、実体経済の裏うちの無いマネービジネスは決定的に弱いのです。
「ものづくり」で世界に貢献する日本の出番はここにあります。
8月11日、スイスフランは、対ドル、対ユーロで4~5パーセント下げました。理由は、スイスの中央銀行の副総裁が、スイスフラン高を防止する政策としては為替介入だけではない、と発言したことだと報道されています。マスコミでは、ユーロペッグに言及したのではなく、「それを否定しなかった」いう形の報道でした。
ご承知のように、スイスフランは、歴史的に見ても円と同じくらい高くなっていて、日本とは経済構造、国際的に置かれた条件が違うとはいえ、矢張りスイスフラン高はこたえるのでしょう。
ご記憶の方もおありかと思いますが、ニクソンショック以前の固定相場時代、1スイスフランは83円でした。昨日は97円で、変動相場制になってからは、円とは追いつ追われつです。
英ポンドが固定相場時代の1ポンド1008円、ドルが360円、だったことを思えば、かつての基軸通貨国は如何に自国通貨を安くして、国際競争を凌いで来たかが丸見えです。
この世界の2つの強い通貨の国の1つ、スイス。 日本と違って、かつて「チューリッヒの小鬼たち」などといわれたように、世界の金融市場の中心でもあった国の中央銀行が、行きすぎたマネーマーケットの現状への拒否を示唆したということになります。
基軸通貨の座からドルがずり落ちることを、何とかこらえようとするアメリカも、実は、実体経済から乖離したマネーマーケットの動きには困っている面も強いと思われます。ドルは高すぎても困る、しかし安すぎても困る。ドルの動きは天気予報よりも読みにくいでしょう。
チューリッヒの子鬼ならぬ「マンハッタンの大鬼たち」の行動は、次第に制御不能になってきているようです。
だからこそ、G20やIMF は、繰り返し金融市場の規制を議論し、アメリカも 金融規制法案を成立させているということでしょう。しかしすでに巨大なエスタブリッシュメントとなったマネー資本主義を規制することは容易ではありません。現にアメリカは、実体経済の衰弱の回復の時間稼ぎに、それに依存しようとする部分も持っているのです。
しかしマネー資本主義は、決定的な弱みも持っています。
その1つは、マネー資本主義のキャピタルゲイン極大原理は、実体経済の経済成長原理には、人間の基本的なあり方の面で、 絶対に敵わないことです。
もう1つは、行きすぎた自由という面で、規制には極めて弱いということです。現にスイス中銀の上記の、かなり曖昧な発言で、大きな影響を受けています。
「人間は実体経済で生きている」という現実を基盤にした規制には、実体経済の裏うちの無いマネービジネスは決定的に弱いのです。
「ものづくり」で世界に貢献する日本の出番はここにあります。