tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

様変わりになるか、日本経済

2013年01月07日 16時07分25秒 | 経済
様変わりになるか、日本経済
 円安はさらに進んで、$1=¥88台まで来ました。ほんの短期間に、だれも予想しなかった水準です。
 アメリカはいたって冷静です。安倍総理に「訪米は急がなくてもいい」と言っているようです。

 国際投機資本は予想外の円安に戸惑っているのか、特段の動きはありません。円は未だ安くなるという思惑の方が強いようですが、こんなペースは続かないと思っているのでしょうか。

 $1=¥90というのは、ギリシャ危機でユーロが揺れ始めるときの水準です。世界経済が、リーマンショックからそろそろ立ち直りの一歩を踏み出すかといった時の水準です。
 日本経済の完全復活にはと問えば、リーマンショック前の$1=¥120、という声が返ってくるのかもしれませんが、あれからの厳しさに耐え、日本経済は、コスト低減と体力維持に死物狂いの努力をし、それなりの結果は出しているはずです。

 昨年11月半ばには80円を割り込んでいたことを思えば、この1か月余りで、日本経済は、ドルベースのコストでいえば、1割下がったということです。日本企業の国内コストは、人件費を含め1割下がったのです。もちろん国内経済としては、円ベースですから、何も変わっていません。

 しかしこれは、どこまで上がるかわからない円高の中で、コストの低減と、技術革新の進展という困難な事業を進めてきた日本企業、特に製造業にとっては大変な恩恵です。
 何としてでもこれを立ち直りのきっかけにすべきでしょうし、勤勉な日本人ことです、間違いなくそれは実行されるでしょう。

 世界経済の動きを大きく見れば、今まで、覇権国、基軸通貨国のアメリカが、いつも赤字で、世界中から何とか金を工面する事に汲々としていたのに対し、当面豊富になった国産エネルギーのお蔭で、今までのようにガツガツしなくても良くなったということであれば、これは世界にとっても朗報です。

 願わくば、これを機会にアメリカが万年赤字体質から脱却し、世界経済の安定要因に180度の転換を遂げて欲しいのですが、そこまでは望蜀でしょうか。
 それはひいては、資本主義自体が、マネー資本主義や金融工学という「富の生産より、富の振替えを優先する「鬼子」に牛耳られることからの脱出でもあるはずですが。
 いずれにしても円レートの先行きに十分のご注意をお願いしたいと思います。(円暴落、 国債紙屑などは、まだまだ先の話です。)