tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値率の把握と活用を

2013年09月25日 12時43分41秒 | 経営
付加価値率の把握と活用を
 望ましい経営の在り方として「高付加価値経営」という言葉は広く使われています。ところが、「付加価値とはなんですか」とか、「高付加価値かどうかは何で計ればいいのですか」というと、なかなかハッキリした答えが返って来ません。

 売上高と利益については、誰もよく解っていて、すぐに答えてもらえるのですが、残念ながら、付加価値についてはどうもそうはいかないのです。
 理由は多分、現行の簿記会計で、付加価値がうまく表せないからではないかといった気がします。

 このことを端的に示すのが、各種の統計調査で、調査項目の説明などの中で付加価値の定義を見ると、ほとんど同じものがないという事実です。
 世界ほぼ共通の統計で、昔から学者によく使われる「工業統計表」の付加価値は、基本的に「付加価値は製造業で作られる」という考え方で出来ていて、サービス産業で生まれる付加価値,荷造り運賃、交通通信費、広告宣伝費、などなどもみんな製造業の付加価値に入っています。

 その他、日本銀行、財務省、中小企業庁、三菱総研などの企業統計の付加価値の定義を較べて見て下さい。みんなバラバラです(財務省と三菱総研については実質的にかなり似ています)。要するに「近似計算」でしか表せないということなのです。

 ですから必然的に、種々のテキスト、教科書、解説書、インタネットに出ている説明などもバラバラです。「経済的付加価値」という言葉で、まったく違った概念を説明するビジネススクールもあったりします。
 高付加価値化が望ましいといっても、中身が確定しないのでどうにもなりません。

 ところが、マクロの経済学、国民経済計算になると、付加価値の定義は極めて正確、明確で、疑問の出るような余地は全くありません。国民経済レベルの付加価値であるGDP、国民所得の概念は国際的にも統一されています。
 個人はもちろん法人も、いわばGDP、国民所得(一国経済レベルの付加価値)を食べて生活しているのに、そのほとんどを生産している企業の段階になると付加価値の定義がまちまちというのは困ったことです。

 付加価値の重要性を出来るだけ広く理解していただくことを目標の1つに掲げて出発した tnlabo’s blog にすれば、これは大変残念なことですので、改めて、企業における付加価値の重要性、高付加価値化、それがどこまで達成されているかを示す「付加価値率」について、検討してみたいと思います。