改めて日本らしい雇用の在り方を考えよう
全日空が客室乗務員の正社員化を進めています。こうした雇用の在り方の見直しは大いに評価され、促進されることを強く望みたいと思います。
もともと非正規雇用を多用する今の雇用の在り方は、プラザ合意以降の異常な円高によるコスト上昇からの緊急避難として取られたものです。円レートが2倍に高まっても、何とか経営の継続と雇用の維持を模索した末の(人件費の安い)非正規雇用の導入でした。
この効果は確かにあって、日本の失業率は世界標準のほぼ半分の5パーセント台で止まりました。しかし、必然的な副作用は大きく、若年層を中心に、格差問題が広がり、社会の不安定さも増すことになりました。
日本には昔から「乏しきを憂えず、等しからざるを憂う」という諺があります。格差社会化の中で、メンタルヘルス問題も多く指摘され、異常な犯罪も増加、社会の劣化が進みました。
この4月いわゆるアベノミクスで20円幅の円安が実現、ここにきて、2020年の東京オリンピック開催決定で、社会も、企業環境も次第に明るくなる様相が見えて来ています。
円高さえ防げれば、ゼロ・マイナス成長は終焉、日本経済は経済成長を取り戻し、来年からは多分賃金上昇も現実となるでしょう。
まともな円レートの下では、日本経済は国民の持ち前の真面目さとエネルギーレベルの高さで、世界に勝る成長をすることは当然に予想されます。
その際、日本らしい新しい成長の時代を、日本らしい「人間重視の雇用の在り方」の上に構築することは、持続する成長実現のために必須だと考えます。
確かに非正規雇用多用は、当面のコストを下げるでしょう。しかし10年、20年の長期で物を見た場合、短期の成果は長期の発展を阻害するでしょう。
企業の間でも「即戦力」などという言葉が流行りました。しかし、元々即戦力などという人間は居ないのです。
景気が悪ければ、有能でも職を失い人もいましょう。そういう人は即戦力でしょう。しかし、だれかが育てたからこその即戦力です。誰も人を育てずに「即戦力」だけを求めても、行き着く先は知れています。
社会が人を育てるからこそ人材が増えるのです。社会(会社の場合も)が発展するどうかは、人材の厚さで決まります。
日本は、まさに人を育てて発展してきたと思います。海外に出た日本企業も、その地で人材を育て、その国の発展の基盤づくりに貢献してきたといえましょう。
こうした日本の伝統を、失われた20年の結果忘れ去るようなことはないと思いますが、日本企業の一部には、「人を育てる」より「即戦力」で短期的成果をといった気分がまだ抜けていない所があるように思われます。これは将来の日本を考えれば、大変恐ろしいことです。
円レートの正常化で、「人間中心の経営」「長期的視点に立つ経営」という日本的経営の「原点」に立ち返るべき条件が整ってきています。
来年にかけて、より多くの日本企業が、日本的経営の優れていることに覚醒し、改めてその「原点」である「人を育て、大事にする経営」に立ち返ることを切に願う所です。
全日空が客室乗務員の正社員化を進めています。こうした雇用の在り方の見直しは大いに評価され、促進されることを強く望みたいと思います。
もともと非正規雇用を多用する今の雇用の在り方は、プラザ合意以降の異常な円高によるコスト上昇からの緊急避難として取られたものです。円レートが2倍に高まっても、何とか経営の継続と雇用の維持を模索した末の(人件費の安い)非正規雇用の導入でした。
この効果は確かにあって、日本の失業率は世界標準のほぼ半分の5パーセント台で止まりました。しかし、必然的な副作用は大きく、若年層を中心に、格差問題が広がり、社会の不安定さも増すことになりました。
日本には昔から「乏しきを憂えず、等しからざるを憂う」という諺があります。格差社会化の中で、メンタルヘルス問題も多く指摘され、異常な犯罪も増加、社会の劣化が進みました。
この4月いわゆるアベノミクスで20円幅の円安が実現、ここにきて、2020年の東京オリンピック開催決定で、社会も、企業環境も次第に明るくなる様相が見えて来ています。
円高さえ防げれば、ゼロ・マイナス成長は終焉、日本経済は経済成長を取り戻し、来年からは多分賃金上昇も現実となるでしょう。
まともな円レートの下では、日本経済は国民の持ち前の真面目さとエネルギーレベルの高さで、世界に勝る成長をすることは当然に予想されます。
その際、日本らしい新しい成長の時代を、日本らしい「人間重視の雇用の在り方」の上に構築することは、持続する成長実現のために必須だと考えます。
確かに非正規雇用多用は、当面のコストを下げるでしょう。しかし10年、20年の長期で物を見た場合、短期の成果は長期の発展を阻害するでしょう。
企業の間でも「即戦力」などという言葉が流行りました。しかし、元々即戦力などという人間は居ないのです。
景気が悪ければ、有能でも職を失い人もいましょう。そういう人は即戦力でしょう。しかし、だれかが育てたからこその即戦力です。誰も人を育てずに「即戦力」だけを求めても、行き着く先は知れています。
社会が人を育てるからこそ人材が増えるのです。社会(会社の場合も)が発展するどうかは、人材の厚さで決まります。
日本は、まさに人を育てて発展してきたと思います。海外に出た日本企業も、その地で人材を育て、その国の発展の基盤づくりに貢献してきたといえましょう。
こうした日本の伝統を、失われた20年の結果忘れ去るようなことはないと思いますが、日本企業の一部には、「人を育てる」より「即戦力」で短期的成果をといった気分がまだ抜けていない所があるように思われます。これは将来の日本を考えれば、大変恐ろしいことです。
円レートの正常化で、「人間中心の経営」「長期的視点に立つ経営」という日本的経営の「原点」に立ち返るべき条件が整ってきています。
来年にかけて、より多くの日本企業が、日本的経営の優れていることに覚醒し、改めてその「原点」である「人を育て、大事にする経営」に立ち返ることを切に願う所です。