マネー資本主義と消費不振、労働経済(実体経済)の視点から
前二回、此の所の物価超安定の原因について見て来ました。大きく2つに分ければ、貨幣供給をいくら増やしても物価が上がらない。賃金コストプッシュが起きないから物価が上がらないといった状況が見えています。
これは別の視点ですが、マネー資本主義が繁栄する中で、格差社会化が急速に進んでいるという指摘があります。
ピケティの言うように、格差社会かは、第二次大戦後の一時期を除いて、常に進行するものだといった運命論では身も蓋もありませんが、大事なのは、第二次大戦後の経済の成長期の分析ではないでしょうか。
この時期の特徴は、多くの国々が、他国や植民地を収奪しなくても、真面目に働けば豊かな国になりうるという経済成長の本質を発見したことです。
富の移転(収奪)で豊かになるのではなく、生産性を上げることで実体経済が成長拡大し、豊かで快適な社会をつくることが出来ることに気づき、実践した時期です。
資源の無い日本が勤勉な労働で世界第二の経済大国になったことは、その典型ということが出来ましょう。今、アジアの国々では、この考え方が一般的です。
この経済成長の概念の中心は「労働生産性」で、これは労働経済のメインテーマの一つです。そして生産性向上の成果をいかに(資本と労働に)分配するかという「労働分配率」が二つ目です。
こうした人間の努力が生産性向上、豊かで快適な社会の実現に貢献するという概念が、折角形成されてきたところに、その成果をマネーゲームで自分の所に移転させようという「マネー資本主義」が生まれてきたのです。
マネー資本主義は富を創りません。移転させるだけです。そして積みあがった富は、賃金などに分配されることはなく、より大きなマネーの獲得のために使われます。
そこには労働分配率の概念はありません。マネーは巨額に積み上がるだけで、均霑しません。実体経済活動、労働経済の分野での活動では「トリクルダウン」が生じますが、マネー経済学では「富(マネー)」の蓄積の格差が発生するだけです。
これでは、いくら金融を緩和しても、格差の拡大が起こるだけで、一般国民の所得は伸びず、消費も伸びず、実体経済の成長には繋がりません。実体経済・国民生活の向上の遅れ、格差拡大の背後にはマネー資本主義があり、これも物価の上がらない原因でしょう。
前二回、此の所の物価超安定の原因について見て来ました。大きく2つに分ければ、貨幣供給をいくら増やしても物価が上がらない。賃金コストプッシュが起きないから物価が上がらないといった状況が見えています。
これは別の視点ですが、マネー資本主義が繁栄する中で、格差社会化が急速に進んでいるという指摘があります。
ピケティの言うように、格差社会かは、第二次大戦後の一時期を除いて、常に進行するものだといった運命論では身も蓋もありませんが、大事なのは、第二次大戦後の経済の成長期の分析ではないでしょうか。
この時期の特徴は、多くの国々が、他国や植民地を収奪しなくても、真面目に働けば豊かな国になりうるという経済成長の本質を発見したことです。
富の移転(収奪)で豊かになるのではなく、生産性を上げることで実体経済が成長拡大し、豊かで快適な社会をつくることが出来ることに気づき、実践した時期です。
資源の無い日本が勤勉な労働で世界第二の経済大国になったことは、その典型ということが出来ましょう。今、アジアの国々では、この考え方が一般的です。
この経済成長の概念の中心は「労働生産性」で、これは労働経済のメインテーマの一つです。そして生産性向上の成果をいかに(資本と労働に)分配するかという「労働分配率」が二つ目です。
こうした人間の努力が生産性向上、豊かで快適な社会の実現に貢献するという概念が、折角形成されてきたところに、その成果をマネーゲームで自分の所に移転させようという「マネー資本主義」が生まれてきたのです。
マネー資本主義は富を創りません。移転させるだけです。そして積みあがった富は、賃金などに分配されることはなく、より大きなマネーの獲得のために使われます。
そこには労働分配率の概念はありません。マネーは巨額に積み上がるだけで、均霑しません。実体経済活動、労働経済の分野での活動では「トリクルダウン」が生じますが、マネー経済学では「富(マネー)」の蓄積の格差が発生するだけです。
これでは、いくら金融を緩和しても、格差の拡大が起こるだけで、一般国民の所得は伸びず、消費も伸びず、実体経済の成長には繋がりません。実体経済・国民生活の向上の遅れ、格差拡大の背後にはマネー資本主義があり、これも物価の上がらない原因でしょう。