tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国際司法裁判所がありますが・・・

2015年06月07日 19時58分20秒 | 国際政治
国際司法裁判所がありますが・・・
 国連の機関として、国際司法裁判所があります。最近、国際紛争が多発していますが、折角国際司法裁判所があるのですから、そこで解決するのが一番いいのではないか、というのが、本来なら、まともな考え方ではないでしょうか。

 地球上の人間は、ほとんどが法治国家に住んでいて、法治国家の合理性、居心地の良さなどを日頃から理解しているのですから、それは当然でしょう。紛争があればあるほど、紛争の合理的な解決は重要になるからです。

 まともな国の中では法律がきちんと機能していて、理非曲直は最終的には裁判所で結論が出るのですが、国連には国際司法裁判所がありながら、世界という場で見ますと紛争を国際司法裁判所で解決するということは至難の業のようです。

 「世界」ということになると、そこでは「法治」という概念が必ずしも機能しないのです。 その結果過去には2度にわたり世界大戦が起こり、人類は悲惨な経験をしました。その経験から、世界を法治国家のように合理的な仕組みのものにしようという希望を持って生まれたのが「国際連合」つまり国連です。国際司法裁判所はその司法機関です。

 国連憲章の前文には、そうした人類社会の合理的システムの構築に向けての意識が明確に謳われています。しかし、既に戦後70年という長い時間がたちましたが、人類社会がそちらに向かう気配はあまり感じられません。

 何故でしょうか。解り易く言えば、力のある国の多くは、自分たちが国連という組織の下に入る事を望まないからのようです。
 国連では、大国も小国も平等に扱われることになっています。法の下の平等という考え方に立つのでしょう。大きい国は、時に、これを嫌うようです。

 国際司法裁判所を例にとってみましょう。法治国家では、原告に訴えられた相手は被告人として法廷に出て行かなければなりません(行かなければ原告勝訴)。しかし国際司法裁判所の場合は、訴えられてもそれを認めないことが可能です。
 訴えられても無視したい国は、その規定の条項を受諾しなければいいのです。
 因みに、常任理帰国で受諾していない国は、アメリカ、フランス、ロシア、中国です。

 日本はもともと国連中心主義ですから受諾を宣言していますが、国連を主導した連合国(第二次大戦の戦勝国)の中心である常任理事国の中で宣言しているのはイギリスだけです。
 国際紛争多発の中で、国連中心主義の日本は、いかなる主張・行動をすべきでしょうか。これこそ本当の積極的平和主義の一番の基本問題でしょう。