tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

なぜ平均消費性向に注目なのか

2015年10月28日 11時12分07秒 | 経済
なぜ平均消費性向に注目なのか
 今、「日本の景気は踊り場」などと言われますが、「景気」というのは文字通り「気」ですから、経済といった数字で表せる(例えばGDP)ものとは違います。
 ただし、景気が良ければ経済成長も好調、経済成長が順調なら景気も良いのが普通で、経済状態と景気状況はほとんど一致しますから、通常は同じように使われます。

 それはそれでいいのですが、それでは、経済成長があまり元気なく、したがって景気も踊り場、といった時、どうすれば経済成長も加速し、景気も良くなるかというのが今日の日本の問題でしょう。

 大学の経済の授業なら、そういう時は財政支出をするとか金融を緩めるとかという伝統的な財政・金融政策ということになるのでしょうが、今の日本では金融はゼロ金利、財政は巨大な累積赤字です。

 経済学では教えない経済政策のイノベーションが必要なのです。そこで、景気は「気」ですから、国民の気分を明るくして経済の回転をよくしようということになり、安倍さんもその辺を意識して「一億層活躍社会」を言い、担当大臣まで置いたのでしょう。

 かつて、金でなく 「頭を使った経済政策」を書かせていただき、当時やられていた具体策も挙げましたが、本当は、政府が強制するのではなく国民が安心してお金を使えるような環境を整備することでしょう。

 そうした政策が成功して、国民が安心して消費を増やすことになると、それは平均消費性向に現れてきます。前回述べた、ジャパンアズナンバーワン時代と現在の平均消費性向の差が端的に示しているということでしょう。

 繰り返し述べていますが、必要な政策というのは、国民に不安感を持たせない政策、将来に期待を持たせる政策です。
 現状は国際関係にしても、高齢化問題にしても、雇用問題にしても、子育ての問題にしても、所得格差の問題にしても、国民に将来不安を感じさせるようなことが多すぎます。

 「失われた20年」は終わったのです。日本は自力成長を続ける力は十分あります。かつて「ジャパンアズナンバーワン」と言われた実績もあり、その時日本は何をしていたかという経験もあるはずです。

 温故知新ではありませんが、過去の良き経験から学び、それを現在に生かすような政策、まさに頭を使った政策を、本気で頭をひねって考え出すことが「経済政策」として求められていのでしょう。
 国民が不安を持つ原因に、掛け声やパッチワークでない本格的、具体的な政策が必要なようです。政権は心して国民の声を聞くべきでしょう。