tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

なぜ組織が壊れるのか?

2017年08月02日 14時38分18秒 | 社会
なぜ組織が壊れるのか?
 先日「分裂の原理、統合の原理」を書きました。
 戦後世界は、国連を頂点に、多様な統合の努力をし、それはかなりの成功を収めたと思っています。
 しかし、21世紀に入り、自由世界の中でも、統合の動きに背を向け分裂を善しとするような動きが、世界中で見られるようになりました。
 統合には、確りした理念や協力しての努力が必要ですが、それに草臥れるからでしょうか、分裂は単なる思い付きや思い込みで、簡単に進展します。
 しかし、多分そのあとには、ある程度の混乱の時期を経て、反省と、統合への再指向が来るのは歴史の示すところです。

 ところで、最近の日本の政治の現実、政党の現実を見ますと、「失われた20余年」の「何をやっても巧く行かない」という経験の影響があるのかもしれませんが、かつては確りしていた組織が、何となく影が薄くなったり、何となく求心力が弱まり、ヒビが入って壊れそうになったりというおかしな状況が広がっているように思われます。

 例えば、自民党もその1つの例でしょうか。かつては派閥という多様性を内包しながら、日本の保守を代表し、多様な問題に柔軟に対応して動じない安定感があったように思いますが、与党の安定は公明党でもっているような怪しげな状態に見えます。

 当面、明日の内閣改造は、その反省に立って、安定感を重視などと報道されていますが、ほころびを繕う事は至難でしょう。
 
 本来ならば、今がチャンスと政権交代へ民意を糾合する立場にある民進党は、「なじかはしらねど」自壊の様相を見せるような状況です。
 二大政党の対立などという理想形は気配も見えず、名前も定かでない小党が分立し、「是々非々」という合理性を謳いつつ、統合の原理とは程遠い動きをしています。

 政党だけではありません。心配なのは、日本人の大多数である労働者を代表すべき労働組合組織の連合も、組織内部の不協和音で揺れています。政府の掲げる「働き方改革」に対抗して、望ましい労働環境、労働条件を求めて、政府や経営と本格論議が必要とされる時、組織の動揺は極めて残念です。

 労働組織に相対する経営サイドはどうでしょうか。現実は、残業100時間問題で、政府に裁定を仰ぐような自主性のない(労使ともに)残念な状態です。
 かつて、経済4団体(経団連、日経連、日商、経済同友会)共同で、強力な対政府行動などをとったような協調体制は、ほとんど見られません。

 日本の国内でも、戦後70年を経て、日本経済・社会の発展に向かって「同床異夢」ならぬ「異床同夢」で願いをともにした統合の原理が、統合へのエネルギーの発揮に些か疲れ、これまでのそれなりの成果に安住し、「自分達ファースト」の分裂の原理に堕してきてしまっているのでしょうか。

 戦後、アメリカに多くを学んだ日本ですが、トランプさんの「アメリカ・ファースト」までは学ばない方がいいように思うのですが・・・。