tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「お疲れさま」の使い過ぎ?

2017年08月22日 11時14分09秒 | 労働
「お疲れさま」の使い過ぎ?
 「お疲れ様」という言葉が、至る所で頻繁に使われるようになったのは、そんなに古いことではないように思います。
 不況が長く続いたので、日本人は疲れ切ってしまったのでしょうか。

 私の記憶では、1990年代の後半か2000年ぐらい以降のような気がしています。勤め先の廊下や会議室などで人に会うと、決まり文句のように「お疲れ様です」といわれるので、「ウチの連中はみんな、そんなに疲れているのか」と思って、相手にもよりますが、「疲れていません」などと返事をしたのを覚えています。

 そのうちに「お疲れさま」は「ご苦労様」と同じように、ただの挨拶だと解ってきました。
 ならば、農作業などの肉体作業が終わった時、ほっかぶりを取って、お互い「お疲れ様」と言っていた言葉を軽作業すらないような現代のオフィスで、かくも一般的にも使うのはなぜだろうと不思議でした。

 いろいろ聞いて見ましたら、入社時の接遇研修などで、「ご苦労様」は目下に使う言葉で、「お疲れさま」は目上に使う言葉だと教えたりしていることが分かりました。

 外国人から見れば、過酷な長時間労働で疲れている日本人は、日常の挨拶に「お疲れ様」というのだそうだ、などという事になりそうですが、どうもあんまり誇らしいことではありません。

 「ご苦労様」と「お疲れさま」は同じだと思っている人も多いようですが、全然違うのです。「苦労」というのは仕事の中身の事で、「疲れ」というのはその結果の体の状態です。
 「ご苦労されている」というのは「大変な仕事をしている」ことへの敬意を表すことですが、「疲れていらっしゃる」というのは、その人間の肉体や精神が弱っている状態の事です。

 諺にも「若い時の苦労は買ってでもしろ」というのがありますが、「苦労しても成果が上がり、ヤリ甲斐、自己実現で、ますます元気」というのが理想でしょう。疲れてしまっては、後が続きません。

 言葉は大事です。聖書にも、「初めに言葉ありき。言葉は神なりき。」とありますが、毎日「お疲れさま」ばかり言ったり聞いたりしていると、本気で疲れていると思い込みかねません。

 人に会ったら、「お元気ですか」とか「快調ですか」と挨拶し、社内では「仕事楽しんでますか」などと挨拶する方が、余程気分がいいのではないかと思うのですが。