世界史を一度変えた人はこう考える
「あらためて付加価値の意味を考える」シリーズを書いていますが、今回はゴルバチョフ元ソ連大統領の朝日新聞への寄稿があったので、急遽取り上げることにしました。
ゴルバチョフ氏は、御存じのように「ソビエト連邦」という共産主義独裁国家を、その大統領として解体した人です。
恐らく、それまでのソ連の体制でこの国が存在しても世界のためにならないと考え、もちろんソ連邦の人々の為にもならないことを的確に理解し、同時に、東西冷戦という構造の中で、核兵器を際限なく積み増していくという事の愚かさを終わらせるべきだと考えた人なのでしょう。
その人がコロナ禍という人類共通の、国家のレベルを超えた災害への対応という意識とともに、人類は、国家の枠組みを超えて協力しなければならないという、あるべき姿を世界に訴えたいという心を抑えきれずに書いた寄稿と思っています。
お読みになればすぐにご理解いただけると思いますが、ゴルバチョフ氏が、今89歳にして本当に言いたいことは米ソ対立の経験を踏まえて、今の米中対立についての指摘
「二極対立のどのようなシナリオも、国際政治の展望に好ましい要素を見せることはあり得ない」という切実な思いでしょう。
現在のコロナ禍に例をとれば
「WHOの崩壊を認めないことが、人間の安全保障分野における国際的な協力のかけがえのない分野」との指摘のように、世界は分断・対立でなく協力の理念でしょう。
そして、この人間の安全保障分野の最も重要な問題としての核軍縮の問題について
「核軍縮のあらゆる枠組みを壊す方向にあるトランプ政権は世界を戦略的なカオスへ導いている」とトランプ政策を批判し、核軍縮の国際的課題を指摘しています。
同時に、「核大国ロシアも、切実に取り組むべき問題」と述べ、これには中国も加わる可能性に言及しながら、核戦争に勝者はないとした1985年のジュネーブにおけるレーガン・ゴルバチョフ声明は役に立つものであったはずだという気持ちも吐露しています。
「米ソが核軍縮の合意に達した時、人類は平和な未来の可能性を意識して呼吸を楽にした」と書いていますが、我々にとっても、東西対立が消え、核戦争の危機が遠のき、世界が同じ自由圏になるといった安ど感でホッとしたことを思い出します。
しかし、現実はそう簡単ではなく、その後「 歴史に学ばない人」が主要国を含めてリーダーになり、事の所、世界は、独裁主義の亡霊に悩まされています。
ゴルバチョフ氏自身も、「せっかく頑張ってやったのに・・・」という気持ちがますます強まり、こうした文章を発表しなければならない心境に至ったのでしょう。
これを無にしてはならないと、つくづく思う所です。
最後にゴルバチョフ氏は
「国家のエゴイズムが生み出す本能に追随するのか、あるいは、国家の相互の結びつきや相互依存が必要な時だと自覚するのか、人類の未来はこの選択にかかっている」
と述べています。
「あらためて付加価値の意味を考える」シリーズを書いていますが、今回はゴルバチョフ元ソ連大統領の朝日新聞への寄稿があったので、急遽取り上げることにしました。
ゴルバチョフ氏は、御存じのように「ソビエト連邦」という共産主義独裁国家を、その大統領として解体した人です。
恐らく、それまでのソ連の体制でこの国が存在しても世界のためにならないと考え、もちろんソ連邦の人々の為にもならないことを的確に理解し、同時に、東西冷戦という構造の中で、核兵器を際限なく積み増していくという事の愚かさを終わらせるべきだと考えた人なのでしょう。
その人がコロナ禍という人類共通の、国家のレベルを超えた災害への対応という意識とともに、人類は、国家の枠組みを超えて協力しなければならないという、あるべき姿を世界に訴えたいという心を抑えきれずに書いた寄稿と思っています。
お読みになればすぐにご理解いただけると思いますが、ゴルバチョフ氏が、今89歳にして本当に言いたいことは米ソ対立の経験を踏まえて、今の米中対立についての指摘
「二極対立のどのようなシナリオも、国際政治の展望に好ましい要素を見せることはあり得ない」という切実な思いでしょう。
現在のコロナ禍に例をとれば
「WHOの崩壊を認めないことが、人間の安全保障分野における国際的な協力のかけがえのない分野」との指摘のように、世界は分断・対立でなく協力の理念でしょう。
そして、この人間の安全保障分野の最も重要な問題としての核軍縮の問題について
「核軍縮のあらゆる枠組みを壊す方向にあるトランプ政権は世界を戦略的なカオスへ導いている」とトランプ政策を批判し、核軍縮の国際的課題を指摘しています。
同時に、「核大国ロシアも、切実に取り組むべき問題」と述べ、これには中国も加わる可能性に言及しながら、核戦争に勝者はないとした1985年のジュネーブにおけるレーガン・ゴルバチョフ声明は役に立つものであったはずだという気持ちも吐露しています。
「米ソが核軍縮の合意に達した時、人類は平和な未来の可能性を意識して呼吸を楽にした」と書いていますが、我々にとっても、東西対立が消え、核戦争の危機が遠のき、世界が同じ自由圏になるといった安ど感でホッとしたことを思い出します。
しかし、現実はそう簡単ではなく、その後「 歴史に学ばない人」が主要国を含めてリーダーになり、事の所、世界は、独裁主義の亡霊に悩まされています。
ゴルバチョフ氏自身も、「せっかく頑張ってやったのに・・・」という気持ちがますます強まり、こうした文章を発表しなければならない心境に至ったのでしょう。
これを無にしてはならないと、つくづく思う所です。
最後にゴルバチョフ氏は
「国家のエゴイズムが生み出す本能に追随するのか、あるいは、国家の相互の結びつきや相互依存が必要な時だと自覚するのか、人類の未来はこの選択にかかっている」
と述べています。