tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

技術開発で経済は成長し世界は進歩する

2020年09月24日 16時54分25秒 | 経済

改めて付加価値の意味を考える -4
 前回は豊かで快適な生活は付加価値から生まれることを見てきました。そして付加価値の増大(GDPの成長)、もっと一般的な言葉でいえば経済の発展の原動力は、それを希望する人間の心(頭脳)だと書きました。

 例えば、1970年代、アメリカでは、若者が「我々は親の代のように豊かにはなれない」と言っていた時期がありました。日本でも今、親の時代は豊かだったが、今はそうはいかない、子供や孫の時代はもっと心配だといった雰囲気がありあります。

 アメリカの場合はインフレと失業が酷かったことが原因のようですが、日本の場合は、 多分、政府の巨大な借金、直接的には公的年金の将来不安などが、こうした将来についての悲観的な見方をもたらしているのでしょう。

 ヨーロッパの歴史を見れば、中世には何百年も経済成長のない時代もありました。経済成長などという概念もなかったのでしょう。豊かになりたいのなら、近隣諸国を征服して勝者 になることが必要だったのでしょう。

 経済成長の概念の一般化、つまり人々が、いまよりも将来の生活は良くなるのが当然と思うようになったのは、産業革命以降ではないでしょうか。人間の使うエネルギーはどんどん増え、付加価値が増え、経済成長が可能になったのです

 産業革命の原点は、ジェームス・ワットの蒸気機関の発明でしょう。エネルギーの供給が「馬から機械」に変わったのです(いまでの単位は馬力㏋ですが)。
性能の良い蒸気機関を開発して石炭を焚けば、動力(エネルギー)はいくらでも作り出せるわけで、蒸気機関車が生まれ、工場は蒸気の力で動くようになり、人々は更に豊かで快適な生活が、望めば実現することを知ったのです。

 その後、エネルギー供給は蒸気機関から電気に変わり、石炭に代わってガソリンエンジンが開発され、更に電化の時代、モータリゼーションの時代、そして今エレクトロニクスの時代、さらにデジタルの時代という技術開発が次々と人間の生活の可能性のフロンティアを広げ、経済成長(GDP=付加価値の増加)を実現してきました。

 しかし今、世界中が何か停滞感を強めています。
こう見てくると、今という時代が経済発展の踊り場にあるという事も何となく実感出来るのではないでしょうか。
 エネルギー供給は原子力まで行きましたが、これが、最終処理問題で行き詰まり状態になっています。モータリゼーションの原動力になったガソリンエンジンは, 石炭とともに、地球温暖化の元凶としてこれも順調には進まないようです。

 もともと地球上に人間が(長い生物進化の末)生活できるようになったのは、地球に水があり、太陽が「適度な」エネルギーを供給してくれたことによります。

今、人間はその太陽エネルギーを中心に、再生可能エネルギーという形で活用することに注力していますが、それが期待するほど順調ではありません。所謂「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成が必ずしも順調でないようです。

 日本では、少子高齢化が低成長の原因のよう言われますが、多分出生率の低下自体が、将来の生活に対する見通しが悲観的であることの結果なのでしょう。

 経済成長は、シュンペータに戻って、イノベーション(技術革新)によって支えられることが必要なようです。
 さて、これから、経済成長のために、どんなイノベーションが必要になるのでしょうか。