tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新型コロナが直撃する平均消費性向

2020年09月08日 15時45分56秒 | 経済
新型コロナが直撃する平均消費性向
 今日、総務省から2020年7月分の家計調査が発表になりました。
 毎月追いかけている平均消費性向はどうなったかを早速チェックしてみましたが、矢張り大幅低下で、GDPの低迷を主導しているようです。

2019年と2020年の1~7月平均消費性向比較

          総務省「家計調査報告」

 先日は、2020年 4-6月期のGDPを見ましたが、企業の設備投資は着実とはいえ、基礎的なものをカバーといった低空飛行の感じですし、家計消費(個人消費支出)は極端な低迷というべき状態が明らかです。
 4月、5月の緊急事態宣言が大きく影響している事ははっきりしていいて、前回6月の家計調査では、低水準の中でも、6月はい4、5月に比しくらか回復の兆しがあるかという感じでした。

 ところで7月ですが、2人以上所帯の消費支出は緊急事態宣言の4月から見ますと、前年同月比で、4月11.0%減少、5月16.2%減少で、6月1.1%減少と回復でしたが、7月はまた7.3%減少(全て名目値)と落ち込みました。

 6月の緊急事態宣言解除による回復が、コロナの第二波を呼ぶのではという意見も多く、再度緊縮という事でしょうか。

その後、GoToキャンペーンなどもあり、第二波は予想外に大きく、9月になって何とか収まりそうな感じですが、比較的大きくなった第二波の影響は少し長引くのではないでしょうか。

 ところで、収入の数字も見られる勤労者所帯(2人以上)の動向を見ますと(対前年同月)、
4月 可処分所得0.5%減   消費支出9.9%減
5月 可処分所得13.4%増  消費支出15.5%減
6月 可処分所得19.0%増  消費支出3.3%減
7月 可処分所得12.0%増  消費支出10.4%減
となっていて、消費支出の減少は、収入(可処分所得)とは殆ど関係ありません。収入より、社会(コロナ)情勢を勘案して支出が決まってくるということでしょう。

 結果的に、上の平均消費性向のグラフに見ますように、1月、2月は対前年の落ち込みは軽微で、従来の消費抑制の延長線上程度ですが3月から落ち込みを強め、その後はコロナによる消費停滞が明白です。

 今後、この傾向が、次第に緩和し平均消費性向が前年同月の水準に追いついていくのか、追いつくのは容易ではないのか、その辺りがコロナによる景気落ち込みの回復への主要なカギになるのでしょう。
長い目で見て、その先、平均消費性向が前年同月を上回るようにならないと、日本経済の本格的回復には繋がらないという事になるのでしょう。何せ、GDPの半分近くが消費支出なのですから。

最後に付け加えますが、勤労者所帯の実収入の中に、特別収入という項目があり7月は66,000円ほど(6月は15万円ほど)で、前年比7.5倍になっていますが、大部分は1人10万円の給付金でしょう。
上の勤労者所帯の収入、支出から見ますと、 前月も指摘しましたが、矢張り給付金は当面は、振り込まれた銀行の預金残高になっているようで、国民全体にというバラマキは問題で、消費されて生きてくるカネにはならなかったようです。
本来の構想のように、本当に困っている人への手厚い給付とすべきだったのでしょう。