tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

異次元金融緩和継続と駅近マンション・バブル

2017年08月12日 10時59分32秒 | 経済
異次元金融緩和継続と駅近マンション・バブル
 知人がJR中央線沿線の三鷹―立川あたりのマンションを探しているというので話を聞いてみました。

 今いる所より少し広い所を考えているというのですが、どうも最近値上がりしているようだと言います。

 私の住む国分寺でも最近、駅の北口開発で入居者募集中のツインタワーをはじめ、すでに、販売、入居が終わったマンションもいくつかあります。
 いずれも駅近で、名のある企業のものですから値段もいいのかもしれませんが、聞いてみると、いわゆる「駅近」、駅から徒歩数分の新築マンションは売れ行きが結構いいようだというのです。

 ところが、夜、駅からの帰途、そうしたマンションを見ますと、どうも半分も明かりがついていません。昼間通ってみても、洗濯物の干してある家は随分少ないなという感じです。

 マンション探しをしている知人の話ですと、どうも実需でない業者などの買いがかなりあって、「完売」といったことになっているらしいなどといいます。
 都心のマンションブームの話もTVのドキュメンタリーなどで見ますが、都心、駅近といったところで不動産バブルが起きているようです。

 考えてみれば、環境条件としては、不動産バブルの可能性は十分考えられます。
 アメリカ、EUなどが、 テーパリング(異常な金融緩和の是正)に動いていく中で、日本だけが2%インフレの達成時期を延ばしてまでも異次元金融緩和を続けようというのです。

 状況は1980年代後半のバブル期とかなり似ています。あの時も、日銀がいくら金融緩和をしても、 物価はさして上がらず、不動産やゴルフ場会員権、書画骨董などでバブルが起き、1990年代に入って悲惨なバブル崩壊が起きました。

 今も異次元金融緩和継続の中で、消費者物価はなかなか上がらず、余ったお金はどこへ行くのかというと、さきのバブル崩壊で懲りた日本人ですから、すぐに不動産とは行かないのですが、その中でも需要の有りそうな都心、駅近のマンションなら(値上がり期待が可能)という所でしょうか。

 その影響か、この辺りでも、駅近の地価が坪(3.3m²)100万円を超えて来たようです。
 かつてのバブルの時、土地やマンションは人間の生活の基礎を支えるものですから、そうしたものを投機の対象にすることは人間生活の基礎を不安定にするものだと考えていましたが、自由経済システムの中では対策は結構難しいようです。

 せめて闇雲な異次元金融緩和の継続はやめて、日銀はバブルがひどくならないうちに、金融の正常化に踏み出し、不健全な副作用というべき不動産バブルとその崩壊の愚を繰り返さないように考えるべきではないでしょうか。

意地の張り合いの果ては?

2017年08月11日 10時03分02秒 | 国際関係
意地の張り合いの果ては?
 この所、ニュースを見るたびに、情けなくなります。数かずの悲惨な経験を経て多くを学んで来たはずの人類の知恵というのは、未だにこんなものだったのでしょううか。

 アメリカと北朝鮮の意地の張り合いが、ますます嵩じてきて、何が起きるかわからないような状態になりつつあります。 
 アメリカでも、「こんなチキンレースはやめよう」と、トランプさんの髪の毛の形を模した鶏が登場したようですが、トランプさんは選挙公約とは違って、世界の警察官を続けたいようです。

 最終的には核の抑止力が、人間の理性に訴えるのではないかと考えている私は、ある意味では楽観しているのですが、私の判断などは何の意味もありません。

 あえて言えば、アメリカは徹底的な脅しをしつつ、基本的には相手の出方を待つのでしょう。先日「 硬軟両様に転換するか、アメリカ?」と書きましたが、この所ティラーソン国務長官の発言よりも、トランプ大統領の挑発的な発言がマスコミに踊ります。

 トランプ大統領の辞書には「ソフトパワー」という言葉はないのでしょうか。もっともっと早い段階で、金王朝が開明的君主として国を開くことで、金王朝は国民の支持を得、北朝鮮は豊かな国になれますよと、今日の世界経済の常識をやさしく北朝鮮に教えてやるような政策を考える人はいなかったのでしょうか。

 経済制裁だけが解決の手段と考えているようなアメリカの政策に対し、多くの国が「忖度」で追随してしまうような国連安保理も、何か情けなく感じられます。
 経済制裁がソフトパワーだと勘違いしているような面さえ感じられます。

 欧米は有史以来征服と支配・被支配という行動が中心であり、日本の縄文時代は、共存・共生という行動原理が基本だったという違いがあるのかもしれませんが、今のトランプ大統領の発言は、あまりに子供じみているというのが、多くの日本人の感じ方ではないでしょうか。

 事ここに至っては、北朝鮮が暴発するかしないかにかかって来てしまったようです。究極の所ではまだ人類の知恵が勝り、平穏な解決がなされることを切に願うところです。

上がらない平均消費性向、グラフで推移を

2017年08月10日 20時18分05秒 | 就活
上がらない平均消費性向、グラフで推移を


 消費不振が景気の 足を引っ張り、低い消費性向が問題として指摘されています。
 このブログでは、消費性向が上がらない原因は、基本的には国民の将来不安にあるのではないかと考えてきています。

 改造成った安倍政権は経済中心と言っていますが、本当の関心は別の所にあるのではないかと多くの国民が考えているようで、アベノミクスも色あせ、政治不信が内閣支持率に見られるように顕著になり、加えて内外情勢の深刻さも増しています。

 かつての「有事のドル」ならぬ、この所は「有事の円」で円高傾向は否めず、円高に逆相関の日経平均は低迷、不安をさらに強めているようです。

 企業業績は比較的堅調であることが救いですが、技術革新で産業構造も変化する中で、企業の盛衰も激しく雇用構造の多様化もあり、格差社会化が進み、富の均霑にはなかなかい行き着かないようです。

 そんな中で何かヒントはないかと、この所の平均消費性向の推移を改めて見直してみました。それが上の図です。
 日本経済は2000年から2002年にかけて「プラザ合意」による円高をある程度こなし、いわゆる「いざなぎ越え」に入りましたが、その時期、平均消費性向は上がり始めています。

 それが2006年に至り急落していますが、この原因をいろいろとみてみますと、1つの原因は金利にあるようです。解り易い定期預金金利(1年物)で見ると、2005年は0.036%ですが、2006年には0.137%に上がっています。その後2008年までは金利が上がり(今の日銀とは違いますね)、貯蓄の魅力は強まっているようです。

 2009年に、平均消費性向がが急上昇しますが、これはリーマンショックのせいで 可処分所得が急降下、2008年に月403千円だった可処分所得は2009年には384千円に落ち、、節約も追いつかず、消費性向が上がったようです。

 このグラフで、リーマンショックによる平均消費性向の急上昇を除いてみれば、円安転換で景気が上向いた2013年まで、平均消費性向は徐々に上がる気配だったのではないでしょうか。

 そうみてくると、景気回復の中での、2016年の平均消費性向の落ち込みはまた別の原因と見なければならないでしょう。このブログでこのところ論じていたのはこの問題です。

 しかし、基本的には、貯蓄志向の強い日本人でも、トレンドとしてみれば、消費性向はかつての正常な水準に服する方向に動くのが本来かと思います。
 1980年代前半までは日本の平均消費性向は77~79%でした。現状ではそこまでの回復は至難でしょうが、これから、日本経済が安定して動いていけば、消費性向も徐々に回復していくのではないかとも思われるところです。
 
 あとは将来不安の問題が、政府の手で、どの程度払拭されるかにかかているようです。

2017上半期経常収支10.5兆円の意味

2017年08月09日 11時33分50秒 | 経済
2017上半期経常収支10.5兆円の意味
 財務省が、今年上期の経常収支の数字と発表しました。10.5兆円の黒字で、マスコミは「リーマンショック後最大」と報じています。

 大幅黒字でそれも漸増しているのですから、マスコミも、日本経済、日本企業の強さと肯定的な論調が一般的ですが、それだけでいいのでしょうか。
 
 ご承知のように、アメリカの経常収支は万年赤字です。今、アメリカが「アメリカ・ファースト」と自国中心になっているのはそのせいです。アメリカが赤字なのは、「黒字国が稼ぎ過ぎるからだ」という事で、何かというと黒字国を目の敵にされます。
 国際投機資本は、そんなに黒字なら、もっと円高にしてもいいという姿勢になります。

 日本経済にしてみても、経常黒字というのは、日本人(法人・個人)が稼ぎ出した「国民総所得( GNI)」を使い切らずに「使い残している」という事で、家計で言えば、家の収入を余して貯蓄しているという事です。

 日本は世界一といわれる貯蓄国で、その分生活は切り詰められ、消費は伸びず、貯蓄は大方がドルですから、円高になれば目減りしてしまいます。

 どうしてこんなことになるのかを、国際収支の中身で見ると、経常黒字の中の最大のものは「第一次所得収支」といって、企業が海外に工場などを作り、そこからの利子や配当などで稼いでいる9.8兆円が最大という事が解ります。

 これはどういう事かといいますと、企業が国内より、海外に工場などを作り、そこで利益を上げ、そこで上げた利益を海外に再投資して、さらにそこで利益を積み上げるという形でしょう。

 ですから、この分は国内総生産(GDP)には算入されません。日本企業の活動が海外で役に立ち、その結果、日本のGDPは増えない、という事なのです。
 これは外国にとっては結構なことで、ある意味では日本企業の国際貢献という事ですが、日本国民にとっては、おカネは海外で回っていて、国民生活の向上はままならないということになります。

 ならば、外国での生産活動だけでなく、国内の生産活動も活発にして、GDPを伸ばすことは考えられないかという事になりますが、それには、国内の消費活動が活発にならなければならないでしょう。

 ここで「 平均消費性向の低下」という問題があることがハッキリします。個人貯蓄1800兆円を持ちながら、さらに貯蓄に励む日本人、その意識と将来不安との関係でしょうか。

 政府は口では言いながら具体的な手は打てず、日銀は、 2%インフレになれば解決すると考えているのでしょうか。

 この国際収支統計でも、旅行収支が上半期8000億円の黒字となっていますが、これはすでに日本の物価水準は国際的には高くないという証左です。インフレで消費を引っ張るというのは、国民生活をさらに厳しくするという事でしょう。

 国際収支統計からみても、日本経済の現状の問題点はかなりはっきり見えてくると言えるのではないでしょうか。


日本経済の現状は堅調推移

2017年08月08日 10時58分27秒 | 経済
日本経済の現状は堅調推移
 政治の混乱は相変わらずの状況ですが、有難いことに日本経済は何とか堅調を維持しているようです。
 昨日、内閣府から「景気動向指数」(7月調査、6月現在)が発表され、前月には同じ6月現在の日銀「短期経済観測」が発表されています。
 そしてどちらで見ても、このところの日本経済の動きは比較的堅調のようです。

 昨日内閣府発表の「景気動向指数」では、景気の先行きのヒントになる先行指数は106.3で、前月比1.6上昇、現状を示す一致指数は117.2で前月比1.4の上昇、実績を確かめる形の遅行指標は118.1で前月比1.7の上昇となっています。
 先行指数と一致指数は11か月連続の上昇、遅行指数は7か月連続の上昇という事になっています。

 この所、為替の変動もあまり大きくなく、企業の財務体質も落ち着き、生産体制についての方針や計画などにも積極的な機運が出てきている様子がうかがえます。

 ただ、中身を見てみますと、鉱工業用生産財の出荷、耐久消費財の出荷などの寄与が大きくて、卸売業販売額は多少のマイナス寄与、小売業販売額は寄与ゼロで、生産は堅調ですが、消費の方は未だ盛り上がりを見せず、その分輸出が増えて貿易収支が改善といった状況でしょうか。

 日銀の「短観」でも、これは四半期調査ですが、6月のDI(良いとの回答の%から悪いの回答の%を引いたもの)は、大企業で、製造業で17、非製造業で、23と、「良い」の回答がこのところずっと多数で、全産業全規模でも12で、3月時点よりも良いの方が差し引き2ポイントの増加と堅調です。

 景気動向指数では卸・小売部門が低調、「短観」では非製造業が好調なのは、サービス業が入るか入らないかの違いでしょう。

 見えてくるのは、この所の景気の堅調は、最近日本の得意とする素材・生産財関係や、いわゆる「車載」関連の生産・出荷が景気の柱になっているらしいという事、サービス業は堅調の所も多いようですが、モノの販売の方は、相変わらず不振という日本経済の姿ではないでしょうか。

 改造内閣の「経済中心」が問われる問題は、矢張り消費不振への対策という事になるようです。

被爆国日本と核兵器禁止問題

2017年08月07日 10時47分11秒 | 国際関係
被爆国日本と核兵器禁止問題
 昨日は、72年前、世界で初めて広島に原爆が投下された日です。日常生活を営む一般市民の頭上で原爆が炸裂するという、人類にとって最も悲劇的な行為が、「戦争」という狂気の中で実行された日です。

 人類はこの経験から何を学んだのでしょうか。核抑止力という言葉が生まれたように、いったん原爆が使われれば、報復合戦で人類は破滅するという現実を前に、核兵器は「持っていても現実には使えない」という事は確かに学んだでしょう。

 しかし北朝鮮のように、原爆を持つことが国を強くすることだという学び方をした国もあります。
 世界唯一の被爆国日本の中にさえ、「核兵器を持たなければ、本当の独立はない」と主張する人たちが結構存在します。

 日本政府が、核兵器禁止条約に踏み込めないのも、「アメリカの核の傘」と矛盾を考えての事かと思いますが、当初国連安保理の常任理事国だけだった核保有が次第に広がってしまったという現実、そしてそれを事実として追認しているというのが現状でしょう。

 こうした現実の行動の背後には、「もし侵略があったら」「もし戦争になれば」という「もし」があることは確実です。

 つまり、今の世界では、大変残念ながら、「ソフトパワー」は基本的に信頼されていないという事なのでしょう。
「やっぱり現状ではハードパワーを持つ事が必要」という議論は、自衛隊の問題から核の傘、核保有まで、進化していくのでしょう。

 その背後にあるのは、北朝鮮もさることながら、世界の平和を創造するために存在する国連の安全保障理事会の常任理事国自体が「ソフトパワー」への信頼を破壊するような行動を現実にとっているという現実です。

 ロシアのクリミアの併合、ウクライナ東部の紛争が現実であり、中国の南沙諸島進出、そして国際仲裁裁判所の判断を「紙屑」と言い捨てるといった現実があるのです。
 こうした問題を当事国間で解決するという事は、つまるところ戦争しかありません。そして戦争は勝ったものが正義という「ハードパワー」万能の世界です。

 矢張り今の地球市民は、ソフトパワーの支配を願いながら、こうした主要国のハードパワー行使の現実の中で、葛藤に悩んでいるのでしょう。

 この問題を解決できるのは、今ハードパワーを行使している安保理常任理事国が「ソフトパワー」国に転換することでしょう。

 中国、ロシアは、北朝鮮問題では「話し合いで」とソフトパワーを強調していますが、こうしたハードとソフトの使い分けではなく、安保理常任理事国5か国が「ソフトパワー」指向で一致した時、「国際紛争問題は安保理で解決できる」という体制が出来上がり、一国一国が自衛力や核武装に狂奔しなくても良い世界が来るのでしょう。

 二回の世界大戦に懲りた経験から、国連安保理といった立派な仕組みを作りながら、本来の活用は70余年たってもできていない情けない人類社会です。
 早く何とかならないでしょうか。そして、非常任理事国日本も、何か役割を果たせないでしょうか。
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核の問題については
http://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/8ff2f57b154ea64a943d60f0735426e2
http://blog.goo.ne.jp/tnlabo/e/48815c5a2147470596a4dd9504ac93f1
でも同趣旨の事を書きました。

第三次改造内閣は経済中心?

2017年08月05日 20時45分35秒 | 経済
第三次改造内閣は経済中心?
 内閣支持率が30%台に落ちた前内閣に代わって、今回の改造改革は、安定感を高める布陣だと言われているようです。

 安倍総理は、まず優先すべきは経済の立て直しといったようですが、その割には閣僚の中に「経済優先」をけん引するような強力な顔ぶれが見えないような気がします。
 しかし顔ぶれはそれぞれに経験豊富な人たちのようにお見受けしますから、知恵者が出てきて、色褪せたアベノミクスを新鮮な色に塗り替えてくれることを望むところです。

 経済最優先は、国民にとってもありがたいことですが、安倍総理の発言の中でやはり気になることが1つあります。
 それは「デフレ脱出を目指す」という言葉がいつも入っていることです。実は日本経済はもうデフレではないのです。経済への基本認識が誤っていては政策効果も期待できません。

 今の世界経済の中では、デフレになるのは、自国の物価水準が外国より高い場合です。現状の日本経済では円レート110円がらみでは、日本の物価は、諸外国に比べて高くありません。日本への買い物旅行、爆買いも起こります。

 こうした国際経済の中では、一国だけがインフレを起こそうとしても、それは不可能で無駄な事です。日本より伝統的にずっとインフレの起きやすいアメリカですら、2%インフレは容易ではないのです。 
 金融を緩めればインフレが起きるなどは今は通用しない経済政策で、起きるのは部分的なバブル現象といった歪んだ副作用ぐらいでしょう。

 実は、安倍総理は2016年8月の時も、当時の再改造内閣の発足にあたり、経済最優先、政府・日銀一体となってデフレ脱却に取り組むと、全く同じこといています。
 しかしその後一年たってどうなったかといいますと、アベノミクスは次第に色あせ、経済回復は、日銀の異次元金融緩和頼りの様相です。

 しかし日銀のインフレ目標2%は先延ばし、経済成長率の改善は見られず、相変わらず消費は伸びず、一方で金融緩和の行き過ぎによる副作用、株価維持や、マンション価格高騰などといったバブル現象が見られるなどの意見が聞かれます。

 経済最優先といくら繰り返しても、実体経済には、捗々しい動きはほとんど見られないのが現状です。
 このブログでは、その中でも、時に統計数字の中で読み取れる、 経済健全性の動きをその都度取り上げ(直近のもの7/28)、経済活性化へのヒントを提供しているつもりですが、現実は一進一退です。

 経済不振の主要な原因は民間消費の不振であることは明らかですが、アベノミクスのではその原因が奈辺にあるかは、ほとんど見落とされているようです。
 今回の第三次改造内閣が、 問題の本質に的確に気付き、何とか真面目で勤勉に働く日本人がその結果を享受できるような政策をとって欲しいと思います。まさか第三次が大惨事にはならないと思いますが、安倍内閣支持率急降下の後です、的確な舵取りを願いしたいと思います。

トヨタ、裁量労働の拡張へ

2017年08月04日 13時31分35秒 | 労働
トヨタ、裁量労働の拡張へ
 政府が「高度プロフェッショナル」制度の導入を考える中で、トヨタが一足先に「裁量労働制の拡張の方向に動き出しました。

 技術職の係長クラス7800人が対象という事で、給与の水準は解りませんが、月45時間の分の残業手当相当分(17万円)を支給して、労働時間管理から外すという事のようです。 
 但し法律がありますから、それ以上の残業をしたら、追加分は払うという事を付け加えていますが、これは本来はオマケでしょう。

 こうした問題は、本来、法律で決めるよりも、労使交渉で、労使の納得ずくで実施していくことが自然だと考えていますが、日本を代表する企業の一つ、トヨタ自動車で、政府の政策に先んじて、新たな働き方を打ち出したことは、大変結構な事と思います。

 もともと経営者、管理者には労働時間制度は適用されません。理由は自分の意志で働いているからでしょう。上司のコントロールで仕事をしている人には「裁量」の余地はありません。拘束される労働には時間管理が必要でしょう。

 トヨタでは対象になる人たちでも、本人が希望しなければ従来通りの働き方で、希望する人には新制度を適用という考え方のようです。
 実はここのところが最も重要なところで、本人の希望と会社の意向が合致して、初めて制度がうまく生きてくることになるはずです。

 人は誰でも、自分のやりたいことをやっている時は楽しく、往々時を忘れます。研究開発などは、苦しい問題を一杯抱えても、その問題の解決、克服が、まさに自己実現というような場合も多いと思われます。

 そういう人には、時間管理などは邪魔でしょう。仕事場に寝袋を持ち込んででもやりたい、そうしてやったから出来たんだ、といった話も沢山あります。
 結局は、本人が仕事に対してどんな意識を持っているかで状況は全く変わってきます。

 さらに企業という場を考えますと、上司の態度が重要です、自主性を損なうような細かい指示をする上司か、「君の思うようにやってみろ」という上司かで、仕事への意欲・態度は大きく変わるでしょう。

 新しいアイデアが結実するまでには「発酵」期間が必要です。この期間は寝ても覚めても家に帰っても、アイデアを追い続けることになります。ニュートン万有引力を発見したのは実験室ではなく公園(作り話だそうですが)でした。

 こうしたものを法律や管理システムで処理しようというのは本来無理なのです。テーマを提示する人、その実現に取り組むエンジニアの組み合せや一体感のようなものが最も大事なはずです。

 法律は最低限の事しか決められません。大事なのは現場の労使関係、人間関係、そして本人の意識と能力でしょう。
 トヨタの場合。適用対象の技術者が、みんな45時間以下の残業で、研究開発の方はどんどん進むという事になれば、ベストの結果でしょうか。

硬軟両様に転換するか、アメリカ?

2017年08月03日 11時27分11秒 | 国際関係
硬軟両様に転換するか、アメリカ?
 先日、北朝鮮に対し「圧力一辺倒」のアメリカの政策は、(かつての日本と同じように)北朝鮮の 暴発を誘う可能性があると指摘しました。

 もともと一方的な被害者意識に固まった北朝鮮の現政権は、いわば窮鼠で、何をするかわかりません。
 北朝鮮の報道は、いざとなれば「アメリカを火の海にする」とアメリカに警告し、恐らく真面目な北朝鮮の人たちはそれを信じ、ICBMの成功を祝っているのでしょう。

 客観的に考えれば、そんなことは不可能でしょう。嘗ての日本の風船爆弾よりも効果はあるかもしれませんが、例えミサイルを何発か打ってみても、その成否は不明でしょう。
 太平洋戦争突入時の日本人が、日本の勝利を信じていたのと極めて似ています。

 そして、独裁者は、独裁体制が強まれば強まるほど、信じている国民の手前もあり、後に引けなくなるのです。
 人類は、そんなことで、歴史上の多くの戦争を引き起こして来ました。

 第二次大戦後、世界で最も豊かで、多様性と良識を持つアメリカが覇権国となったのは自然の成り行きだったのでしょう。
 しかしトランプ政権が登場、世界で最も強い国が被害者意識に固まり、「 アメリカ・ファースト」を掲げるようになって、貿易や移民問題でも見られますように、力による一方的な圧力方式を標榜するかとみられてきました。

 トランプ大統領は、北朝鮮に対して、戦争になれば、多くの人が死ぬ、しかしそれは北朝鮮で、アメリカではない、といった発言までしたようです。
 しかし、ここまで来て、トランプ政権内部でも、「アメリカは、圧力一辺倒ではない、本来は話し合い路線での問題解決を望んでいる」という発言が出てきました。

 これが本来のアメリカでしょう。ティラーソン国務長官が、北朝鮮が核保有国にならないことを前提に、アメリカは北朝鮮の敵ではない、北朝鮮の政権交代の政権崩壊も望んでいない、戦争は望んでいないが、仕掛けてくれば対応せざるを得ない、北朝鮮がアメリカは対話を望んでいることを理解してくれることを望むという趣旨の発言をしました。

 トランプ大統領とティラーソン国務長官の発言が、どう調整されるのか、あるいはすでに調整済みなのか、その辺りは解りませんが、これでアメリカの「硬軟両様」の構えがハッキリしたという事でしょう。
 アメリカは、本来こうでなければいけません。

 北朝鮮の独裁者は、ここで、どの道を進めば、自分の栄光が維持され、国民が栄誉を称え続けてくれるか、考え始めてもらいたいものです。
 リスクを冒して破滅するか、リスクを避け普通の国の元首として、国内の栄光を保つか・・・。

 ボールはアメリカら北朝鮮の手に渡ったようです。ここまで来てしまった独裁者にとって、どんな意思決定が可能なのか。疑心暗鬼の中で迷う事でしょう。
 日本に出来ることは何かないのでしょうか。

なぜ組織が壊れるのか?

2017年08月02日 14時38分18秒 | 社会
なぜ組織が壊れるのか?
 先日「分裂の原理、統合の原理」を書きました。
 戦後世界は、国連を頂点に、多様な統合の努力をし、それはかなりの成功を収めたと思っています。
 しかし、21世紀に入り、自由世界の中でも、統合の動きに背を向け分裂を善しとするような動きが、世界中で見られるようになりました。
 統合には、確りした理念や協力しての努力が必要ですが、それに草臥れるからでしょうか、分裂は単なる思い付きや思い込みで、簡単に進展します。
 しかし、多分そのあとには、ある程度の混乱の時期を経て、反省と、統合への再指向が来るのは歴史の示すところです。

 ところで、最近の日本の政治の現実、政党の現実を見ますと、「失われた20余年」の「何をやっても巧く行かない」という経験の影響があるのかもしれませんが、かつては確りしていた組織が、何となく影が薄くなったり、何となく求心力が弱まり、ヒビが入って壊れそうになったりというおかしな状況が広がっているように思われます。

 例えば、自民党もその1つの例でしょうか。かつては派閥という多様性を内包しながら、日本の保守を代表し、多様な問題に柔軟に対応して動じない安定感があったように思いますが、与党の安定は公明党でもっているような怪しげな状態に見えます。

 当面、明日の内閣改造は、その反省に立って、安定感を重視などと報道されていますが、ほころびを繕う事は至難でしょう。
 
 本来ならば、今がチャンスと政権交代へ民意を糾合する立場にある民進党は、「なじかはしらねど」自壊の様相を見せるような状況です。
 二大政党の対立などという理想形は気配も見えず、名前も定かでない小党が分立し、「是々非々」という合理性を謳いつつ、統合の原理とは程遠い動きをしています。

 政党だけではありません。心配なのは、日本人の大多数である労働者を代表すべき労働組合組織の連合も、組織内部の不協和音で揺れています。政府の掲げる「働き方改革」に対抗して、望ましい労働環境、労働条件を求めて、政府や経営と本格論議が必要とされる時、組織の動揺は極めて残念です。

 労働組織に相対する経営サイドはどうでしょうか。現実は、残業100時間問題で、政府に裁定を仰ぐような自主性のない(労使ともに)残念な状態です。
 かつて、経済4団体(経団連、日経連、日商、経済同友会)共同で、強力な対政府行動などをとったような協調体制は、ほとんど見られません。

 日本の国内でも、戦後70年を経て、日本経済・社会の発展に向かって「同床異夢」ならぬ「異床同夢」で願いをともにした統合の原理が、統合へのエネルギーの発揮に些か疲れ、これまでのそれなりの成果に安住し、「自分達ファースト」の分裂の原理に堕してきてしまっているのでしょうか。

 戦後、アメリカに多くを学んだ日本ですが、トランプさんの「アメリカ・ファースト」までは学ばない方がいいように思うのですが・・・。

朝食が進まない理由

2017年08月01日 13時05分43秒 | 社会
朝食が進まない理由
 この所何となく朝食の際食欲がないような状態が続いています。暑くて寝苦しいでいかと思っていましたが、考えてみれば、お蔭様でクーラーもあり、睡眠時間も歳のわりに長いので、そんなはずはないと思っていたのですが、今朝、何となく原因が分かったような気がしました。

 新聞を取りに行くのは私の役割で、取ってきた新聞は、朝食の支度が出来るまで、なるべく早く目を通します。
 どうも、この所、新聞を見ているうちに食欲が減退することがしばしばだという事に気づいたのです。

 北朝鮮の大陸間弾道弾がアメリカに届くか届かないかとか、大気圏再突入が巧く行っていないとか書いてありますが、北朝鮮はこんな問題も早晩クリアするでしょう。そのときアメリカはどうするのか、圧力一辺倒で、対中、対ロの強硬姿勢が強まりそうですが、日本は対米追随一辺倒で、先行きどうなるのだろうと不安は募ります。

 カジノ法案の骨格が見えてきたようですが、日本にカジノが必要なのかが先ず疑問です。日本人にはマイナンバーで入場回数の制限をし、国際会議場の併設を義務付けるようですから、外国人向けでしょう。
 外貨を稼ぎたいのでしょうが、日本は万年経常黒字国で、巧く行けば国際収支のアンバランスが更にひどくなり、円切り上げを強いられることになりそうで心配です。

 籠池夫妻が逮捕されたそうですが、先日まで、総理夫妻があんなに肩入れしていた友人がなぜこんなことになるのでしょう。この分ではそのうち雲隠れなどといわれる加計氏も同じようなことになってしまわないのか。国民の知らない所でいったい何が起きていたのでしょう。

 アメリカでは政治の混乱はますますひどくなるようなのに、ダウ平均は連日高値更新、そんなことが長く続く筈はありませんが、早晩何か起きれば日本への影響は大きいでしょう。日本も日銀が上場会社の大株主になって、株価維持しているようですが、これも長続きはしないでしょうし、経済の先行きに心配事が増えてくるのではないでしょうか。

 日銀は結局、異次元金融緩和を続けるだけのようで、先行きどうなるかなどには全く答えてくれず、国民の先行き不安はますます募りそうです。
 政府、財務省も、日銀の政策をどう評価しているのか、日銀が国債を買い上げてくれることだけ期待しているのか、ここまで来てしまうとかなりの心配です。

 こんなことを朝起きた途端に連日のように知らされたのでは、食欲が落ちるのも当然という感じがしてきました。
 多少の心に安らぎになるのは、日経産業新聞の「日本企業はこんなに頑張っている」という事実の報道でしょうか。

 食欲が落ちないようにと、新聞やネット、TV のニュースを見ないわけにもいきません。見なくても同じ現実は進んでいくのです。
 ニュースは必要で、問題は毎日現実に起きている事の方にあるのですから。やっぱり気を取り直して、必要なだけは食べなければと努力しています。