東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

海の世界の入り口

2021年11月14日 21時38分45秒 | 引退ブログ

サポートを務めておりました、4年の足立です。

 

全日本の最終日、ちょうど1週間前に引退いたしました。息も絶え絶え、ようやくここまで来たのだというのが正直な感想です。

この4年間が自分にとってどのようなもので、どのような意義があったのか、ということをしっかりと語れるほど、頭の中を整理できているわけではありません。それは、今後生きていくなかで意味付けされていくものなのだと思います。

 

この4年間はひたすら悩みながらも、ゆっくりと少しずつ進んできた、そんな日々でした。疲れやすく、一度疲れるとなかなか体調が元に戻らないという自分の体質と、どのように向き合うか試行錯誤の日々でした。

 

一年生の新歓で入部を決意し、470クルーとして練習に参加しました。2年生の9月には、J/24の全日本選手権に出場させていただきました。

しかし、自身の体調との向き合い方が分からず、だんだんと部活に参加することすら難しいほど、体調はボロボロになっていきました。このままでは部活はおろか日常生活も破綻してしまうという思いから、新3年の1月に、必ず戻ってくると決めて、休部することを決断しました。

 

3年生の間は勉強に励みつつ自身の体調と向き合い、その特徴や管理の方法を手探りで探っていきました。4年間しかないのに、大好きな海とヨットから離れなければならないことが、とにかく悔しかった。

 

4年になり体調も元に戻り、自身の体質との向き合い方が少しずつ分かってきたところで、ようやく部活に復帰することを考えるようになりました。

体調を考えると、フルで部活に参加することはできないかもしれない、それでも自分にできることをしたい、そう言った自分を暖かく迎え入れてくれた同期、後輩のみんなには、本当に心から感謝しています。

 

復帰してからは、サポートとして部活に参加しました。「これが部活ができる最後のチャンスだ。やれることをやって、絶対に後悔のないようにしよう」と決めていたたため、復帰してからは、常に頭の中に引退を意識して活動していました。

 

レスキューとして練習の運営やレースのサポートをする一方で、陸では下級生、特に一年生の座学を担当しました。

この数ヶ月を通して、サポートが強いチームは強いということ、そしてサポートも選手と同じように、その働きによってインカレにおける1点、2点を稼ぐことができるのだということを示せたのではないかと思います。

 

一方で、チームとしての課題もいくつか見えてきました。

コロナの影響で合宿ができない中、レース期間中に一年生がもっと部活に参加し、やりがいを感じてもらう方法があったのではないか。マネージャーが今以上に活躍し、その実力を発揮する方法があったのではないか。4年生と1年生の間に、隔たりができてしまったのではないか。レース期間を通して、上級生と下級生が、同じ志を持って同じ方向を向くことができていたのか。

いま思うと、もっと上手くできた、こうすればもっとよかったと思うことがたくさんあります。

 

サポートが強いチームは強い。

しかし、その強いサポートチームはまだ完成していません。後輩のみんなは、サポートの強い東大を作りあげて、それを東大ヨット部の伝統にしていってほしいです。

 

特に1年生、2年生は、これからの部活のことを一から考える時間が、チャンスがあります。

熱い思いをもって意見を言い合い、同期とたくさんぶつかり合ってほしい。その中で、自然と目指すべき方向が見えてくるはずだし、そうするうちにかけがえのない仲間になっていくはずです。常により良くすること、より上を目指すことを考え、良い意味で先代が作ってきたものに捉われないでほしい。

 

 

ヨット部に入って、たくさんのことを学んだし、何より、人として大きく成長できました。自分との向き合い方、他者との向き合い方、チームの難しさ、楽しさ、強さ、リーダーシップ。

チームと向き合うときは、明確なビジョンを持って、それを熱く語ることが大切だと思います。

 

一年生の新歓でビビッと何かを感じ、即参加を決めた試乗会でヨットに乗ったときに、海の世界に「これこそが自分が行くべき世界だ。それに、なぜか懐かしいものを感じる」と、まるで前にも体験したことがあるような、自分が来るべき場所に来たような感じがしたのを覚えています。

それ以来、海に魅了され、いつの間にか将来の進路も海に関わるものになっていました。卒論では洋上風力に関する研究を行い、卒業後も新領域で引き続き同じテーマの研究を行う予定です。将来は海洋開発に関わる仕事をしたいと考えています。

 

自分に、この人生をかけてでも取り組むべき海の世界、帰るべき世界を教えてくれたヨット部には、本当に心から感謝しています。

ヨット部でシーマンシップとは何かを、少しだけでも学べたのではないかと思います。シーマンとしてはまだ半人前どころか0.1人前くらいかもしれませんが、これからも海の世界で精進してまいります。

 

 

最後に、4年間暖かく見守ってくださったLBの方々、先輩方、小松コーチ、一緒に進んできた同期のみんな、そしてついてきてくれた後輩のみんな、支えてくれた家族、本当にありがとうございました。

 

 

東京大学運動会ヨット部 足立裕次郎