東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

クルーザー班での学び〜ANIORU'S CUP 2022に参加して

2022年03月14日 17時11分16秒 | 遠征ブログ

こんにちは。470クルー新3年の松尾一輝です。

今日は、3/12~3/13の2日間にわたって愛知県蒲郡の三河御津マリーナで開催された、ANIORU’S CUPの振り返りをさせていただきます。ANIORU’S CUPは、弊部クルーザー班の所有艇である、J/24の学生日本一を決める大会です。新型コロナウイルスの影響で、3年ぶりの開催となりました。このような状況下で、開催に動いてくださった皆様に感謝申し上げます。

ディンギー班の僕がどうしてこのブログを書いているのかと疑問に思われるかもしれませんが、実は今回6人目の助っ人という形で参加させていただきました。

ディンギー班の春合宿が始まる前と、遠征直前の3日間、クルーザー班の方で練習して本番に臨みました。

 

正直、自分のような新参者がずっとJ24で練習しているクルーザー班に混じって、どういう貢献ができるのかということは練習の時から考えていました。クルーザー班には、ヨットレースの経験が浅い新2年生が2人いて、フォアデッキでは、タクティシャンの萩原さんが唯一の上級生という状況でした。下級生2人の動作面のフォローや、萩原さんがコース引きに迷った時にサポート役として、フォアデッキに安定感、安心感をもたらすことが自分の役目だと思っていました。

 

この2つの役割については、果たしきれたのではないかと思い満足しています。

 

幸運なことに、レース当日までにど微風から10mを超える強風まで全ての風域で練習でき、フォアデッキの動きを一通り理解した上で、本番はフォローに回れました。特に、バウマンの関根はスタートの経験が浅く、初日はスタート直前に一気にラルに入ったり、風が大きく振って下有利になって出られなくなったりとなかなか苦労していました。2日目は、関根の成長によるところが勿論大きいですが、バウマン任せにせず、次の入ってくる風の状況や、ラインまでのタイムトゥディスタンスを共有できたことで良いスタートが続いたと思っています。

 

コースについても、レース運営の方から「東大のコースが1番良かった」と褒めていただけたので、少しは貢献できたと思っています。昨年のディンギー班の全日本インカレが蒲郡だったこともあり、ディンギー班の過去の議事録や資料を読み返して戦略を立て、当日も萩原さんと海面の情報をたくさん共有して、結果的にコースで追い上げる場面を多く作れたことは、とても良い経験になりました。

 

気になるリザルトですが、神戸大学との優勝争いは最終レースの第8レースまでもつれる接戦の展開でした。第8レースで神戸大に勝てば、優勝という状況。東大はスタートも良し、1上も左のブローを掴んで引き離し、正直勝利を確信していました。しかし、最後の微風ランニングで衝撃的な艇速差を見せられ、5艇身くらいの差を詰められ、最後は数秒差で優勝を逃してしまいました。艇種が違うのではというほどの艇速差で、それはそれは不思議でした(大会後の懇親会で、微風ランニングのスピントリムについて質問攻めにしたので、470にも生かせるといいのですが)。本当に悔しかったです。普段、ディンギーのレースではビッグフリートなので、この船に絶対負けたくない、この船に勝てば良いみたいな意識はそれほどありません。だからこそ、こういう接戦の展開はすっごく刺激的だったし、ヨット部に入って初めて感じるような悔しさの味わい方でした。東大チームはみんなメンブレしていましたが、自分はすごく楽しくて興奮していました。

最後の負けは、走りで負けてたので、もう割り切るしかないですが、自分が個人的に悔しかったのは、第4レースです。自艇の方がVMGが良くて、相手をホープレスに入れられたと思っていました。そして相手がすぐに左に返したので、「ああ、逃げタックしたな」くらいに思っていたら、左から濃いブローが降りてきていました。次にミートした時には、10艇身くらい引き離されていて、やらかしました。ラッキーブローが見つけられたら、それはラッキーですが、絶対にみんなが見つけているようなブローを見逃さない、凡ミスしないというのは大事だなと思ったし、相手を逆海面に追いやったのならそっちの海面で何が起こる可能性があるのかを考えることが大事だと認識しました。

 

他にも「やらかし」はたくさんありましたが、最後に自分がディンギー班から数回練習に参加して得た学びを共有します。

 

具体的な技術面でいくと、ブローをみる目が養われたことです。クルーザーは、ディンギーよりも目線が高いので、海面を高い位置から遠くまで見通せます。自分の普段の目線(特にトラッピーズに出てる時)がいかに低かったか、少し視野を高くすると、見えるブローも変わってくることが1番の発見でした。そして、既に述べましたが、艇数の少ないレースを多く経験して、他艇がどういう位置関係なのかを大局的に見ることや、特定の1艇にどう勝つかみたいなマッチレース的な考え方も学べ、今後に生かせると思いました。

 

もう少し抽象的に言うと、艇内のコミュニケーションの仕方も勉強になりました。クルーザー班は人の目が10個~12個あるので、とにかく共有される情報量が多いです。全員が常に何かを喋っていて、自分が普段いかに発言が少ないか反省しました。「確実な情報しか伝えちゃいけない」みたいに思っていた部分があったけど、周囲を見て思ったこと、気づいたことをそのまま口に出していく部分が自分には足りていないなと思いました。

 

すごく学びもありましたし、燃えるようなレースができて感謝しています。

 

今後、ディンギー班とクルーザー班が相互に学びあって、高め合えるような機会がもっと増えればと思います。

 

松尾一輝