東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

470に新たな風を

2024年07月18日 21時33分17秒 | 七大学戦2024

お世話になっております。三年の槇枝です。先日行われました、七大学戦の振り返りをします。

 

結果は、総合で32年振りに優勝をすることができました。詳細はズーマーさんのブログをご覧ください。

 

ここにきて、東大ヨット部が掲げていた目標の一つをチームで達成できたのは、これまで試行錯誤して積み重ねてきたチーム改変と課題克服の努力が、一つ成果として実を結んだのだと思います。

 

加えて、470級では優勝をすることができました。

 

これは記録が残っている限りでの史上初の快挙であります。スナイプ級と比較して結果を残せずにいた470級ですが、ここにきてその存在感を発揮することができたと思っています。

 

我々のペアが走らない中でも、安藤山本ペアが2回もトップフィニッシュをするなど、前を走ってくれたおかげです。(MVPおめでとうございます。)

(二日目叩いて後味悪い自分と、二日目トップホーン×2でご機嫌の山本)

何より、チームのサポート力のおかげです。我々はレースだけに集中することができましたし、(艤装解装は秒で終わりました)。

 

前日に急遽駆けつけてくださった小松さんと、沢山応援に駆けつけていただいたLBの方々おかげであると思います。本当にありがとうございました。

 

 

結果は結果として、嬉しいものではありますが、個人的には素直に喜べる内容ではないと考えております。スナイプチームが優勝を逃したことにも悔しさが残りますが、我々のペアも主に二日目で大きく崩してしまうレース運びをしたことも悔しさが残ります。安藤山本ペアが走ってくれたおかげで、チームとしてはいい結果になりましたが、個人成績は46点と、4位止まりでした。

 

原因の一つは、1点の重みを気にするあまり、他艇の後ろを通ることに対しての抵抗が大きく、風を吟味して自分の行きたい方向を決めることができない点にあると思います。確証バイアスというやつでしょうか。

 

レグの後半は特に、艇が固まって艇団をなしており、マーク際で身動きが取りにくいということも多く見受けられました。いかに、自分がそのなかで一つ頭を出して、取りたい風を取りに行くということができなかったのだと思います。

 

これは七大戦というレガッタに限ったことではなく、関東の艇数の多いフリートにおいても課題に感じていた点であり、その克服をしない限り全日本では通用しないということを実感しました。

 

同期の北村と三年ペアを組んでから、約二ヶ月間。いい場面も悪い場面もどちらも経験して、お互いにいいところと悪いところが見えてきたところであり、発展途上にあります。目標だった、関個突破は叶わなかったですが、夏休みに入ると残すは秋六大学戦と関東インカレ、全日本インカレとなりますが、そこでの目標を見据えて、着実に成長していきたいです。

 

 

 

固い振り返りブログとなってしまいましたが、ここからは来年以降のチームについて思うところを、簡単にわかりやすく書こうと思います。特に後輩の皆には是非読んでほしいことであります。

 

 

今七大学戦で470級が優勝をしたということですが、私はこれを東大ヨット部における470チームの勢いの始まりとせずはいられないということです。つまりはこの勢いを止めてはいけないということです。

 

ご存知の通り、近年の東大ヨット部はスナイプチームの成績向上に支えられてきました。今年度の目標は、全日本総合入賞であり、総合で結果を残すというところに重きをおいて活動してきました。しかし、470チームは目標を達成することができず、470チームに所属する以上、どうしても比較をして負い目を感じることもしばしばありました。

 

今大会の結果は、一大会の結果にすぎませんが、それでも470チームにとっては大きな一歩のように感じました。「470も強い東大」になるのは、今を逃しては、いつになるかわからないということです。

 

「ヨット部において、未経験から活躍することはそう簡単なことではない。」このことを深く胸に刻んだのは、ちょうど一年前。関東個人戦が終わった頃に、同時の主将の西尾さんと電話をした時です。

 

ジュニア上がりの経験者を多数率いる大学に勝つとは。自分達よりも数倍の努力と寒い冬を超えて練習してきた人達なのだから、リスペクトは少なくとも持つべき。たかが四年で勝とうとしてくる人達に負けるような覚悟でヨットをやっていない。というのはまさにそうで、それに勝る努力が必要なのは明らかである。ということです。それでは、限られた時間の中でどのように努力しなければならないのか?

ということを話していました。

 

「470は経験者の実力者が集まっているし、難しい船。」というのは聞き慣れたフレーズですが、だからといってスナイプが未経験で活躍できるという訳ではありません。東大のスナイプが強いのは、近年稀に見る選手層の厚さもそうですが、それ以上に、スナイプの走らせ方が実力者(西尾さん筆頭)から受け継がれてきたからだと思っています。(偏見ですが)

 

逆に言えば、それが470でも同じことができるはずだということです。小松さんのおっしゃるところの、「東大の伝統」というところに470の走らせ方と技術を組み込むことができれば、一代に縛られない、継続的チームの強さを実現できるということです。以上が、限られた時間の中でどのように努力しなければならないのかという問いに対する答えであると考えました。代交代の時に、その始まりをこの代にすることをチームにおける自分の目標にしました。(私の裏垢はその試みの一つでもあります)

 

 

七大戦直後のある日の夜に、京大ヨット部の友達であるT君に電話をいただきました。

「どうやって未経験だけで、そのレベルまで到達したのか。」

優勝チームとして偉そうに唱えるわけではありませんが、「当たり前のことを、レベルを上げてこなせるように練習する」ということが大事な意識の一つであるのは間違いないと思うという話をしました。そのようなチーム運営をこれからも心がけていかなければ、470チームは七大優勝で止まってしまうということです。

 

今回の七大戦を通して、来年以降のチームの姿について考えることが多くなりました。少しでも470の未来に希望をもって人気が上がってくれたら嬉しいです。470かっこいいし。少し複雑だからこそ飽きない面白さがあります。

 

スナイプと470で迷っている新入生が参考にしてくれたら幸いです。

 

それでは失礼します。

 

3年470クルー 槇枝大祐