東京大学運動会ヨット部

東大ヨット部の現役部員によるブログです。練習の様子、レース結果、部員の主張から日記まで。

あと少し

2023年12月07日 10時59分02秒 | j24全日本

お世話になっております。

クルーザー班新3年の杉山太智です。

 

先月末、愛知県蒲郡にて開催されたJ/24全日本選手権を振り返ってみたいと思います。

 

【リザルト】

7-6-(11)-6-4-7-9 39点 7位/12艇

 

6位とは1点差、5位とは5点差となりました。5位以内を目指していただけに、もう少しというところで強い悔しさを感じます。最後まで5位に入り込める可能性の残るレース展開だったため、尋常じゃないドキドキがありました。

 

 

3日間ピットとして出場した感想を率直に書きたいと思います。

 

 

低次元な感想となりますが、まずは動作のミス・トラブルを起こさなかったことにひたすらに安堵していました。夏合宿で初めてピットをやった頃を思い返せば、さばきが甘くスピンが上がらなかったり巻き付いてしまったり、スピン回収が遅れて回航が間に合わなかったりなど、自分の未熟さから船を止めてしまうことが多々あったのを覚えています。また、そのようなことが起こったあとの復旧作業としてクローズ中にセールをつけ直したりするのですが、その時に焦って間違った付け方をすることも多く、全日本のレース前にはただただトラブルが起こらないことを願っていました。

しかしそんな中、12m/sほどの強風が吹き込む第3レース1下レグでは、スピンがそれ以上風をはらむと危険なため放たれたスピンシートがスルスルと抜け、見たことのない状態でひらひらとはためいていました(!)。心臓バクバクです。今でこそ状況を整理できていますが、その瞬間は何がどうなったのかわかりませんでした。下回航後、強風の中ハイクアウトをできず申し訳なかったのですが、ひとまず2上レグ中で復旧が完了しました。そして上マークが大きく見えてきた中艤装ミスがないかチェックしていると、スピンシートをツイーカーに通していないという致命的なミスを見つけました(!)。心臓バクバクです。なんとかマーク到達までに復旧させました。10艇身のはずの全日本特有のオフセット区間がとても長く感じられました。そして運命の回航、秀さんのホイストの声とともにスピンを引き上げました。この全日本のために購入した、深い青色が魅力的な、計測に引っかかってしまった(!)スピンが風をはらんでしっかりと広がっているのを見て、ひたすら安心しました。

結果的にこのレースはカットが成立したのですが、ここでちゃんとトラブルに対応できた自信は後の4レースに確実に繋がりました。

 

 

第4レースでは、ぎりぎりラインを超えるか超えないかのスタートの後、リコール艇の存在を示すX旗が降りず、かといって引き返せないほどに船を進めていたのでそのままいくしかなく、OCSで13点を抱えてしまうかもしれない、2レース目の11点を消せないかもしれない、という不安の中船は進みました。強風のためスピンを張らず、1マイルもの間足を上げてジブを張るバウマンの源ちゃんを励ましながら仰秀のゴールホーンを聞いた瞬間生まれた一体感・達成感は言葉にできません。まだ3レースも残っているのに、抱き合ったりなんかしていました。

後から聞いたのですが仰秀はジャストスタートだったそうです。

 

 

第5レースは、スタート・海面選択・ボートスピードなど様々な要素がうまくいき1上を2位回航、最終的には名だたる社会人チームに次ぐ4位でゴールインしました。2下レグでは、後ろとある程度差をつけていたためそのまま行けば4位、という中で大きな緊張と期待を抱いたのを覚えています。スピンがまきついたりしないように、誰かが海に落ちないように、というように誰もが船を正しく進めることだけに集中していたように思います。無事何もおこらずフィニッシュラインを切った時、かつてない喜び・達成感が船を包み込みました。こんな戦い方をしたかった。これを目標にこれまで頑張ってきた。僕なんかよりずっと長く努力されてきた皆さんが思ったことだと思います。

社会人チームの方々はディンギーあがりも多く、概してヨット経験豊富です。そんな社会人チームに、ヨット歴最大3年の学生チームである仰秀チームが立ち向かえた瞬間であり、仰秀の可能性を感じました。しかしそれと同時に、安定して良い順位をとれる社会人チームの強さを再認識できました。

 

 

最終レースは、ピンクキッスとダボハゼに勝てば5位に入り込める、というなかでタクティクスも大きく考慮したレースとなりました。それまでの5レースでは良いスタートが切れていたのですが、最終レースでは少しスタートを失敗してしまい、競っているダボハゼが右海面に向かっているのもあってタックしてそのまま右に伸ばしました。結果、左海面に伸ばした船とはミートすることすらほとんどないくらいに差をつけられてしまいました。続いて2上は風向が25度ほど振れたためチャーリーとなり、新しいオレンジ色三角錐のマークを探さなければならなかったのですが、どれだけ探しても見つかりません。レグの半分ほどいったところでそれらしきものを見つけ、慌ててその方向に向かいました。結果的にピンクキッスは7位、ダボハゼは12位、仰秀は9位というぱっとしない順位で全日本選手権が終わってしまいました。

 

ハーバーに戻る途中、自分なりに今回の全日本選手権を振り返ってみました。

 

まず思ったことは、先ほども書きましたが仰秀は社会人チームと張り合えるチームである、ということでした。

普段のフリートレースや関東選手権ではあまり手応えを得られなかったのですが、今回の大会では艇数が多いのもあり多くの船とミートして、しっかりと戦っているという感覚を覚えました。これは船底塗料を落とした仰秀の本気なのか、これまでの練習の集大成としての仰秀チームの本気なのか、はたまたその両方なのか分かりません。しかし、全日本5位という通年の目標は決して不可能なことではない、社会人チームを到達可能な目標と捉えるべきだ、ということを考えました。

 

次に思ったことは、どのポジションもレースにおいて大事な役割を担っているということです。

良いスタートを連発してくれたこと、堅いバングを懸命に引いてくれたこと、良いコースを考えてくれたこと、ボートスピードを追求してくれたこと、フォアデッキが気にすることがないほど思い通りの航跡を描いてくれたこと、、、

挙げ続けるときりがないですが、そのどれもが大切で、ひとつでも欠けると4位フィニッシュ、ひいては今回の総合順位はありませんでした。7位という結果に決して満足はできませんが、これまでの練習は無駄ではなかった、やりきった、そう感じました。それだけに最終レースが悔やまれました。

 

 

なんだか周りのことばかり書いてしまいましたが、個人的な反省もたくさんあります。レース間のリグ上げに手間取ってスタートに影響させてしまったこと、ジェノアアップが素早くできず良い回航ができなかったこと、角度の振れを分かりやすく伝えることができなかったこと、コースについて友成さんと同じレベルの会話ができなかったこと、マークを見つけられなかったこと、、、

特にリグ上げの失敗がなければ11位という順位を取ることはなかったかもしれない。ストラテジーについてもっと理解できていれば友成さんに良い手助けができていたかもしれない。

後悔はたくさん浮かびますが、この気持ちは来年にぶつけたいと思います。

 

 

秀さん、佳奈さん

お二人にはたくさんお世話になりました。船のこと、小網代のこと、お二人に聞いておけば間違いなく、頼ってばかりでした。成長した姿を見せられるように、小網代で練習を頑張りたいと思います。

 

 

最後に

レース運営に携わっていただいた方々、遠く蒲郡まで駆けつけてくださったLBの方々、その他関係する全ての方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

新3年 杉山太智


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