都心の旧校舎にNPOがミュージアムを設立
海外のデザイン性の高いおもちゃや国産の木製玩具で遊べば自然に会話が生まれます
東京おもちゃ美術館ブログ
福島から績ぐ張り子玩具
毎年恒例、おもちゃ学芸員の特別イベント「館長のグッド・トイカフェ」
今回スペシャリストゲストとしてお招きしたのは早川美奈子さんです!
福島県西会津で50年以上張り子を制作している「野沢民芸制作企業組合」で絵付け師として活躍されてらっしゃいます。
早川さんには春休みの特別イベント犬張り子の絵付け体験でも講師をしていただきました。
会津の張り子は東北最古と言われているのをご存じでしたか?
時代を遡る事数百年、豊臣秀吉の時代に会津の初代藩主だった蒲生氏郷(がもう うじさと)公が会津の殖産振興のために技術者を招き、武士達に技術を習得させ生活の糧としたことが会津張り子のはじまりと言われています。
早川さんは今でこそリサ・ラーソンやムンクとコラボレーションした張り子を生み出されていますが、高校を卒業と同時にお父様が代表を務める「野澤民芸制作企業組合」に入職し、絵付け師として仕事をしていた当初は「郷土玩具」のもつイメージや、同じ世代の人と比べて仕事に抵抗もあったそう。
絵付け師ってなんてかっこいいんだ!と思っていたのでとても意外でした。
お話を伺っていく中で福島の代表的な張り子「あかべこ」に青海波(せいがいは)模様を描いた作品は早川さんにとって深く思い入れがあると語ってくださいました。
制作したのは2011年東日本大震災の後、赤べコに絵を描いて復興を支援しよう!というプロジェクトがきっかけ。
東北に甚大な被害を出した津波。
しかし、テレビで被災地の村の漁師が言った「海は悪いことをしない」の言葉が忘れられず、「海」を題材にした作品を作ろうと思い
幸せが波のように押し寄せてくるという意味がある「青海波文様」を描き、人と人との繋がりを表した赤い糸を赤べコにつけたそうです。(あかべこの頭と胴体を繋ぐ部分にある糸)
海やつらい事を乗り越えようとしていく人々への思いを込め作られた「青海波 あかべこ」を見に石巻の方が工房までいらしゃったことがあり「作品を見て『かわいい』と言ってもらえたことがすごく すーっとした」とおしゃっていました。
伝統的な起き上がりこぼしやあかべコを作りつつ、新しいデザインも手掛けているいる早川さん。
次回は是非おもちゃ学芸員と一緒にこうぼうを訪ねてみようとおもいます。
2019年の企画展「祈りを形にする郷土玩具 木/紙/藁」にも
早川さんが所属する野沢民芸品制作企業組合の張り子が展示されています。
家族の安全を願って作られ、人の生活に寄り添いながら広がっていた郷土玩具。
地方によって違う特色は見どころの一つです。
このようなスペシャル企画に参加できるのはおもちゃ学芸員だけ。
ご興味ある方はおもちゃ学芸員についてのホームページをご覧になってくださいね♪
たむたむ