明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(349)朗読劇「The Message from Gaza ガザ、希望のメッセージ」へ(12月16,17日)

2011年12月08日 23時30分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
守田です。(20111208 23:30)

みなさま。今日は日本が真珠湾を急襲し、太平洋戦争に突入した日です。ちょ
うど70年前のことです。それから4年弱経って、アメリカは原爆を開発し、広島
長崎に投下しました。そしてそのときから人類は、膨大に生み出される放射能
の脅威と向き合わなくてはならなくなりました。

繰り返し述べてきたように、原子力発電もまた、原爆製造の過程で生み出されて
きたものです。同時に、放射線が人体に与える影響の評価も、広島・長崎で実際
に起こった被曝を基に行われてきました。しかしそこでは多くの事実が隠された。
内部被曝などはほとんどなかったことにされてしまい、放射線の人体に与える影
響は、非常に小さく評価されてきたのです。

その歴史の流れが、今、直接に私たちを苦しめるものとなっています。膨大な放
射線が飛び交っているのに、その危険性が信じがたいほどに小さく評価されてい
る。そのもとで、新たな、避けられる被曝がどんどん拡大して、今まさに私たち
の悲劇が生み出され続けているのです。

命が軽んじられている。人々の人権が踏みにじられている。放射線との関係で言
えば、それが原爆製造-投下の過程から続いている。もっと広く、考えるならば、
近代が生み出した帝国主義と植民地の時代以降、連綿と繰り返される戦争の中で、
命の軽視が続いているのです。

福島原発事故を考えるとき、そこで生まれた悲劇、いままさに拡大しつつある惨
禍と立ち向かうときに、私たちは時に視野を広げ、今この世界全体で何が起きて
いるのかに目を向ける必要がある。どのような暴力が行使されているのか。そこ
で人々はいかに生きているのか。その一つ一つは、一見、私たちに直接つながっ
ていないように見えるかもしれません。いやそう見るようにしむけられてさえい
るのですが、掘り返していけば、実は多くのことが太い線でつながっていること
が見えてきます。

だからこそ、私たちは、現代の悲劇、戦争と暴力の問題に、繰り返し目をむけ、平
和を愛する心、争いと暴力を戒めようとする心を育てながら、今、目の前にある危
機に向かい合っていかねばならないと思います。そうした問題に目を向けることは
辛い面もありますが、しかしその中でこそ、私たちの英知は研ぎ澄まされていく。
そして悲劇を越えた未来を展望する勇気と力がそこから沸いてくると僕は信じてい
ます。

そうした思いから、今宵、みなさまに紹介したいのは、パレスチナをめぐる朗読劇
です。5月にも行われたものが、メンバーを多少を入れ替えて再度、上映されます。
演じるのは、京都大学の岡真理さん率いる国境なき朗読者たちです。ぜひ一度、ご
覧になってください。

朗読劇の凄さ、素晴らしさは、観ている側のイマジネーション力がフルに動員され
ることです。演技の内容が、シンプルにセリフの朗読によってのみ成り立つために
聴いていると、だんだんと私たちの想像力がかきたてられます。そして実際に、
パレスチナで起こったこと、空襲の凄さ、人々の叫び、痛み、嘆きが、まるで映像
のように私たちの脳裏に広がってきます。そして私たちが向き合わねばならない何
か、尊く、かけがえのない何かが、私たちの胸の奥から熱く沸いてくるのです。

そこにあるのはけして嘆きだけではありません。そのような悲劇と惨劇の中からも
現実に人々は立ち上がり、明日を目指して歩みを続けてきています。そうしたこ
とも含めたパレスチナ・ガザで起こっていることが、観客の心の中に、くっきりと
映像のように浮かび上がってきます。その中から、ぜひみなさんに、明日に向けた
勇気をつかんで欲しいと思うのです。

上映は12月16日に1回、17日に2回、行われます。
お近くのみなさま、ぜひ会場に足をお運びください!

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イスラエルによる、あのガザ攻撃から間もなく3年を迎え
ようとしています。攻撃の記憶が風化しつつある今、「忘却
が次の虐殺を準備する」(韓国の詩人の言葉)のだとすれば、
私たちはすでに次の虐殺への道を整えているのかもしれま
せん。

忘却に抗し、昨日とは違う明日をともに創るための、ささ
やかな試みとして、ガザ攻撃3周年のこの12月、朗読劇
「The Message from Gaza ~ガザ、希望のメッセージ~」
(脚本・演出 岡真理、出演:国境なき朗読者たち)を
12月16日(金)、17日(土)の両日、京都市国際交流会館
にて上演いたします。同会館の東日本大震災チャリティ企画
の一環です(収益は被災地支援のNGOに寄付します)。
私たちの〈肉声〉を通して、ガザの人々の思いを伝える
とともに、震災に見舞われた東日本の方々への思いを込めて、
朗読します。ぜひ、お聴きください。
以下、詳細です。

*チラシの開演時刻・問合せ先に一部、間違いがありました。
正しくは以下のとおりです。ご確認ください。

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朗読劇「The Message from Gaza ガザ、希望のメッセージ」
出演:国境なき朗読者たち(京滋・大阪 市民・学生有志)

■日時
1)12月16日(金)19:00~20:30
2)12月17日(土)14:00~15:30
3)12月17日(土)18:30~20:00

*開場はいずれも開演の30分前。
*回によって開演時間が異なります。お間違いのなきよう、
ご確認ください。

■会場 京都市国際交流会館 特別会議室
http://www.kcif.or.jp/jp/access/

■料金
前売り 一般1500円、学生1200円
当日  一般1800円、学生1500円

■予約・お問い合わせ
事前予約制となっております。下記の連絡先に、
氏名・希望の公演日時・人数をご連絡ください。

電 話 080‐5314‐1539(つくい)
メール gaza.kibou@gmail.com
*当日、満員の際は、入場をお断りすることもあります。

*事前予約された方は、遅くとも開演の10分前までには
受け付け(代金精算)をお済ませください。

■HP http://message-from-gaza.com

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■「ガザ、希望のメッセージ」と「国境なき朗読者たち」について

2008年から翌09年にかけてのイスラエルによるガザ攻撃
を受けて書かれたこの朗読劇は、3つの異なるテクストから
構成されています。いずれも、ガザから外の世界に向けて
書かれた手紙という形で書かれたテクストです。

ひとつはガザのサイード・アブデルワーヘド教授が、爆撃の
さなか、世界に向けて発信した一連の電子メール(『ガザ通信』
青土社)、二つ目はパレスチナ人作家ガッサーン・カナファー
ニーが1956年に発表した短篇「ガザからの手紙」。3つ目は、
占領下のパレスチナ人の人権擁護活動のためガザに赴いた、
アメリカ人女子大生、レイチェル・コリーさんがアメリカに
いる家族に宛てたメールです。

本朗読劇は、2009年7月、京都AALA連帯委員会美術班
主催第35回頴展で、京都大学総合人間学部「思想としての
パレスチナ」ゼミ生有志によって初演されました。同年9月、
京滋市民有志による朗読集団「国境なき朗読者たち」が立ち
あげられ、これまで京都、広島などで上演を重ねてまいりました。
(2009年12月には、神戸の劇団「どろ」が合田幸平演出に
より神戸アートビレッジで上演してくださいました)。今年
5月には、日本中東学会年次大会の一般公開企画として上演
され、160名が鑑賞。肉声がはらみもつ力が、多くの方に
感動を与えました。

ガザ攻撃3周年のこの12月、肉声を通して語られるガザ
からのメッセージにぜひ、耳を澄ませてください。

■「ガザ、希望のメッセージ」を観て…
「約半世紀の時間を経て、一つのテクストの中で構成される
ことによってガザというひとつの地域、ローカルな地域が
発し続ける問題性が時間を超えて訴えかけられている。」
(太田昌国/編集者・民族問題)

「イスラエルは、「我々はこの隣人と暮らしたくないんだ」
ということを隠すこともなく宣言している。この挑戦を受けて
いるのは人類全体である。私たちもそのメッセージを向け
られているし、このことをどう跳ね返すかということには、
思想的そして集団的パワーが要る」
(鵜飼哲/フランス文学)

「本当の意味で「分かる」とか「理解する」ということ。体の
中で声にして振るわせる、あるいはそういうことをしている
人たちのところに居合わせているということが、「分かる」
ということに違う次元をつけ加える」
(細見和之/詩人)

「この朗読劇の圧倒的な凄み。本来「劇」とは激しいものだ。
言語としての記憶は「絶望」だったのに、再演を願うのは、
「感動」を得たからだ。もしかしたら、この感動こそ「希望」
なのかもしれない」
(井上由里子/文筆家・舞人)
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コメント (2)
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