明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(364)アメリカが原発新規着工を認可した(冷温停止宣言の背景)

2011年12月25日 23時30分00秒 | 明日に向けて(301)~(400)
守田です。(20111225 23:30)

みなさま。今日はクリスマスですね。メリークリスマス!どうかよき年の
瀬をお迎えください。

さて今宵も原発情報をお送りします。クリスマスにも絡む情報です。
明日に向けて(356)で僕は、日本政府による滑稽とも言える「冷温停止宣
言」がなされた背景として、アメリカからの強い働きかけがあるのではと
いう推論をご披露しましたが、その裏づけとなり、かつ一部修正を必要
とする情報が出てきました。

何かというと、アメリカで原発の新規着工の認可が、アメリカ原子力規制
委員会によって打ち出されたことです。スリーマイル島事故以来、30年以
上にわたって凍結されていた建設再開の認可です。これがアメリカで22日
に発表されています。「これが背景にあったのか」ととても嫌な気持ちが
しました。

12月16日に日本政府が冷温停止を宣言、22日にアメリカ原子力規制委員会
が、原発新規着工を認可ですから、両者が連動しているのは明白です。し
かも宣言は、明らかに今日のクリスマスを狙って出されています。なぜな
ら、この日は多くのアメリカ人にとって大切な日で、家族や友人と過ごす
ために休暇を取ったり、あるいは身内や地域で、お仲間で集まって時を過
ごしており、その分だけ政治的行動が取りにくい期間だからです。

2008年から2009年にかけてのガザ戦争が、まさにクリスマスから新年にか
けての休暇を利用する形で行われたことを彷彿とさせます。そのために、
今日、12月25日から逆算して、12月16日に冷温停止が宣言され、22日に、
30年以上、凍結されていたアメリカの原発新規建設のゴーサインが出され
たのではないか。だとすれがこれは、米日両政府による、クリスマスの
冒涜ともいえるのではないと思います。

しかも「修正を必要とする」点として、僕はアメリカが西海岸の被曝に多
くのアメリカ国民が気がつくことを恐れていると書きました。それは間違
いないことですが、より積極的に、この時期に原発新規建設の認可をだそ
うとしていることはまったく読めませんでした。なおかつ、当の新着工の
主体が、東芝の子会社のウェスチングハウス・エレクトリックであること、
ちゃっかりと日系企業が、アメリカでの原発新規建設の音頭をとりに成功
しつつあることも知りませんでした。

この点、いろいろと情報を精査してみると、福島第1原発の原子炉のベー
スを設計したゼネラル・エレクトリック社(GE)が、さすがに敬遠され
ていることを利用する形で、東芝は、沸騰式型原発の対極にたつ、加圧水
型原発の新規着工認可をたぐりよせたのだと思われます。つまり今回の
事故をうまく利用すらしているわけです。二重三重にもいやなにおいが
漂ってきます。

私たちがここで明確にしなければならないのは、脱原発と放射線防護の
推進にむけて、アメリカと日本の国民・住民の連携を強くしなければなら
ないということです。アメリカの多くの方たちに、私たちの暮らす国での
原発事故で、西海岸を中心に深刻な被曝を生ましめてしまったことを伝え
る必要があります。その中から、米日両国の市民サイドの協力を深めて、
共に、明日を切り拓いていく必要がある。放射能には国境などないのですか
ら、国境を越えた市民的連帯がとても大事です。


・・・実はそんなことも念頭におきつつ、昨日24日のクリスマスイブに僕
は、明治初期の京都復興を担った多くのクリスチャンの方たちが眠ってい
る同志社墓地を含む若王子墓地に、企画に応募してくださった方たちを
ご案内したのですが、そのうちのお一人に、アメリカバージニア州から
参加してくださった女性がいました。京都出身で、向こうに住まわれてい
るのですが、久しぶりの帰省にあわせて参加してくださったのです。

実はこの方からは、帰省にあたって注意すべきこと、またアメリカが被曝
していると聞いたけれど詳しいことを知りたいとの依頼があり、むこうに
おられるときに、何度かメールを交換していたのでした。企画に参加され
るつもりとは知らず、昨日、集合場所で初めてお会いして、わざわざ駆け
つけてくださったことに感激しました。

その彼女から道々、いろいろなお話を聞きましたが、実はバージニア州は
まさに30年前に事故を起こしたスリーマイル島から近い地域なのだそうで
す。その彼女の周りで、最近、「あの人も、あの人もというぐらい、乳がん
の話を聞くのです」と教えていただきました。データ的な裏づけはないお
話ですが、胸がドキッと痛くなりました。

一方で、彼女、帰国を前に、教会で日本の苦しい現状を話し、チャリティ
を募ってくださったのだそうです。リストバンド(か何か・・・)を1つ
2ドルで売ったのだそうですが、みなさんどんどん買ってくださったとか。
しかもそこで集まったカンパ160ドルを、僕の放射線防護活動に使ってくだ
さいと渡してくださったのです!はじめてドルでいただいたカンパでした。
何か僕はまたも何かに大きな力に、「さらに前に歩め」と背中を押された
ような気がしました・・・。


同じクリスマスを前に、まったく違う二つの流れが動いています。彼女と
僕とその周りの人々のつながりは小さなものかもしれませんが、しかし、
あちこちで無数に動いているたくさんの流れの一つなのだと僕は確信して
います。それはいま、だんだんに結びついて大きな流れになろうとしている。

一方で、本質的にはこうした流れこそが、いつのときも歴史を動かしてき
たことを悟ることのないおろかな人々が、クリスマスを悪用し、冷温停止
宣言を行い、原発新規着工認可を出し、「福島の沸騰水型よりずっと安全
な新型です」とかいって、再び原発を作ろうとしている。30年間、新規着
工を阻んできたアメリカの人々の意志、願い、そしてスリーマイルの痛み
を踏みにじってです。

どちらの流れの側に立っていくのか。今、多くの人が問われていますが、
おろかな流れに心から賛同して乗ろうとする人がほとんどいないのは確か
です。問題は、自分の心に素直になるのか、それとも心に逆らっても、
お金や地位や、権力にしがみつきたいのか、そのどちらかの選択であると
いえるでしょう。

みなさん。自分の心に、ただただ素直に、脱原発の道を、さらに一緒に
歩んでいきましょう!

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米 “新型原子炉の認可”発表
NHK NWESWEB 12月23日 9時35分

アメリカの原子力規制委員会は東芝の子会社が開発した新型原子炉を認可
したと発表し、1979年にスリーマイル島で起きた原発事故以来、アメ
リカで30年以上凍結されてきた新しい原子力発電所の建設が再開される
見通しとなりました。

アメリカ原子力規制委員会は22日、アメリカにある東芝の子会社「ウェ
スチングハウス・エレクトリック」が開発した新型原子炉を認可したと発
表しました。原子力規制委員会によりますと、新型の原子炉は「事故が起
きた場合でも、無人でも原子炉を冷却できるなどの安全性能を備えている」
ということです。今回認可された新型原子炉は、アメリカの大手電力会社
が南部ジョージア州で建設を進めようとしている新しい原子力発電所で採
用されることになっており、1979年にスリーマイル島で起きた原発事
故以来、アメリカで30年以上にわたって凍結されている新しい原発の建
設が再開される見通しとなりました。これについてエネルギー省のチュー
長官は「30年以上にわたって凍結されてきた原子力発電所の建設を再開
するのに向けた重要な一歩だ。オバマ政権は、新たな雇用を創出するため
にも原子力発電所の建設の再開を後押しすることを約束する」として原子
力規制委員会の判断を歓迎するコメントを発表しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111223/t10014860591000.html

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米、30年ぶり原発新規着工へ 東芝子会社が設計
共同通信 2011/12/23 10:12

【ワシントン共同】米原子力規制委員会(NRC)は22日、東芝子会社
の米原発大手ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の新型原子炉
「AP1000」の設計を認可した。米国内ではこの原子炉を採用した原
発の建設計画が複数あり、年明けにも南部ジョージア州のボーグル原発3、
4号機などの建設と運転が承認される見通し。

米国では、スリーマイルアイランド原発事故後、原発の新規着工はなかっ
たが、約30年ぶりに建設が再開されることになる。

東電福島第1原発事故後、「原発大国」米国が推進の姿勢を明確にしたこ
とで、原子力業界は原発への逆風に歯止めがかかることを期待している。
http://www.47news.jp/CN/201112/CN2011122301000965.html

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この件について、「ざまあみやがれ」さんが、マスコミ情報を丹念に集め
て下さっています。とても参考になりました。お礼を兼ねて、ご紹介して
おきます。
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65781922.html
コメント
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