守田です。(20120305 23:00)
タイトルにもあるように、『内部被曝』という本を物理学者の矢ヶ克馬さんと作りました。
岩波ブックレットの1冊としていよいよ3月6日に発売されます。みなさんにぜひ読んでいただ
きたいと思い、ご報告申し上げます。
まず帯につけていただいた案内を紹介します。
「東日本大震災以降、放射能による問題として重要視されている内部被曝とは何か。さらに
人体への影響の度合いに、様々な見解があるのはなぜか。いまの状況にいたるまでの軌跡を
たどりながら、その問題点をわかりやすく解説する。」
目次は以下の通りです。
第1章 被曝直後の福島を訪れて
第2章 内部被曝のメカニズムと恐ろしさ
第3章 誰が放射線のリスクを決めてきたのか
第4章 なぜ内部被曝は小さく見積もられてきたのか
第5章 放射線被曝に、どのように立ち向かうのか
A5版72頁 定価588円(税込)
ご注文先は以下です。
岩波書店販売部 電話03‐5210‐4111
岩波書店ブックオーダー係 電話049‐287‐5721 FAX049‐287‐5742
岩波書店ホームページ http://www.iwanami.co.jp/hensyu/booklet/
またアマゾンの以下のページからも購入できます。送料無料です。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E5%86%85%E9%83%A8%E8%A2%AB%E6%9B%9D&rh=n%3A465392%2Ck%3A%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E5%86%85%E9%83%A8%E8%A2%AB%E6%9B%9D&ajr=0
内容は、矢ヶさんが解明してきた内部被曝のメカニズムと、その驚異が隠され、過小評価
されてきた歴史的経緯を、僕が矢ヶさんに尋ね、答えていただく形で作っています。
一番に心がけたのは「解りやすくすること」。矢ヶさんと一緒にずいぶん、苦労しました
が、何とか初期の目的を達成できたと思います。
そもそもこのブックレットを僕が作ろうと思った動機は、昨年7月に、被爆医師肥田舜太郎さん
と矢ヶさんに連続してお会いし、お二人が懸命になって解明されてきた内部被曝の実相を
できるだけ多くの人に知らしめることこそが、放射線防護を推し進める上で、もっとも大切だ
と考えたことによります。
とくに矢ヶさんの著作、『隠された被曝』を読んだとき、被曝のメカニズムの物理学的解明
や、放射線をめぐるさまざまな解き明かしに、目が覚まされる思いがするとともに、この内容
をもっと平易に、もっと多くの人に伝わる形に書き直せると素晴らしい、ぜひそれを担いたい
という思いが強まりました。
そんな思いで、7月に京都に講演にこられた矢ヶさんに初めてお会いし、『隠された被曝』を
平易に解き明かしたブックレットか何かを作りたいと提案すると、初対面であるにもかかわら
ず、二つ返事で「誰かそういう仕事をしてくれる人が出てくるのを待っていました」というお
答えを返していただけました。
それ以降、僕は講演に呼ばれた際に、肥田さんと矢ヶさんに学んだことを軸に話を組み立て、
いわばお二人のメッセンジャーとして、放射能汚染と前向きに立ち向かっていくことを訴える
とともに、どのようにすれば矢ヶさんが解き明かした内容を、より人に伝えられるのか、考
え抜いてきました。
それで矢ヶさんに幾度かインタビューを行なったうえで、文章を編み出したのですが、次第
に問題は単に、平易に書き表すことだけではないことが見えてきました。何よりも僕自身の
理解が問われました。読んだときには分かっているつもりのことが、説明しようとすると、十
分な把握にいたっていないことが見えてきました。
とくに苦労したのは、さまざまな専門用語でした。学問にはそれぞれの積み重ねがあります。
専門用語はそれらを要約したもので、多くの意味を一言で表せるけれども、それを知らない人
にはさっぱり意味が通じません。それで専門用語を噛み砕いて説明しようとすると、はじめて
自分自身がその積み重ねの部分しか理解していないことがみえてきました。
それで僕はどんどん物理学や放射線科学にのめり込んでいきましたが、さらに見えてきたのが
この領域の科学が、核兵器の開発や核戦略の維持に密接に絡んでいるために、相当に政治的な
介入によって歪められている事実でした。この政治的歴史的背景をつかまないと、放射線科学
の実際をつかむことはできないのです。
そのことを理解し、「専門家」任せにせず、市民自らが科学していくことが問われているのだ
ということが、まさに本書で矢ヶさんが主張していることなのですが、僕自身、本書を編む
ことを通じて、「科学すること」を強烈に体験しつつ、放射線をめぐる歴史を自らが辿ってき
たように思います。
とはいっても僕はまだまだ矢ヶさんの導きのもとに、物理学と放射線科学の大海の、ごく一
部を泳いだに過ぎませんが、ぜひこれを出発点にさらに科学的研鑽を積んでいきたいと思いま
す。その道を歩む楽しさ、素晴らしさもまた矢ヶさんに教えていただきました。本書を読ま
れる方が、そんな歩みの一旦をも追体験して頂けたら幸いです。
なお、本書の作成にあたっては、岩波書店の坂本純子さんが編集の労をとってくださり、校正
者の方とともに、実に丁寧な関わりをしてくださいました。文章を繰り返し読み返し、論述の
曖昧な点、不要な点を実に的確にご指摘くださり、とても頭が下がりました。本というのはこ
んなふうに、編集者の職人芸を通じて編まれてきたのかと、深い感慨にとらわれました。
同時に、この作業は多くのみなさまのお力添えによって可能になりました。とくにカンパをし
てくださったみなさま。本当にありがとうございます。みなさまのお力がなければここまでの
作業を行うことができませんでした。本書の出版に力を貸してくださったすべてのみなさまに、
深く感謝をさせていただきます。
ともあれみなさま。『内部被曝』は自信作です。どうかお手にとってください。本書が放射線
防護を進めんとするみなさまの、何かの力になることを願ってやみません。
タイトルにもあるように、『内部被曝』という本を物理学者の矢ヶ克馬さんと作りました。
岩波ブックレットの1冊としていよいよ3月6日に発売されます。みなさんにぜひ読んでいただ
きたいと思い、ご報告申し上げます。
まず帯につけていただいた案内を紹介します。
「東日本大震災以降、放射能による問題として重要視されている内部被曝とは何か。さらに
人体への影響の度合いに、様々な見解があるのはなぜか。いまの状況にいたるまでの軌跡を
たどりながら、その問題点をわかりやすく解説する。」
目次は以下の通りです。
第1章 被曝直後の福島を訪れて
第2章 内部被曝のメカニズムと恐ろしさ
第3章 誰が放射線のリスクを決めてきたのか
第4章 なぜ内部被曝は小さく見積もられてきたのか
第5章 放射線被曝に、どのように立ち向かうのか
A5版72頁 定価588円(税込)
ご注文先は以下です。
岩波書店販売部 電話03‐5210‐4111
岩波書店ブックオーダー係 電話049‐287‐5721 FAX049‐287‐5742
岩波書店ホームページ http://www.iwanami.co.jp/hensyu/booklet/
またアマゾンの以下のページからも購入できます。送料無料です。
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E5%86%85%E9%83%A8%E8%A2%AB%E6%9B%9D&rh=n%3A465392%2Ck%3A%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%80%E5%86%85%E9%83%A8%E8%A2%AB%E6%9B%9D&ajr=0
内容は、矢ヶさんが解明してきた内部被曝のメカニズムと、その驚異が隠され、過小評価
されてきた歴史的経緯を、僕が矢ヶさんに尋ね、答えていただく形で作っています。
一番に心がけたのは「解りやすくすること」。矢ヶさんと一緒にずいぶん、苦労しました
が、何とか初期の目的を達成できたと思います。
そもそもこのブックレットを僕が作ろうと思った動機は、昨年7月に、被爆医師肥田舜太郎さん
と矢ヶさんに連続してお会いし、お二人が懸命になって解明されてきた内部被曝の実相を
できるだけ多くの人に知らしめることこそが、放射線防護を推し進める上で、もっとも大切だ
と考えたことによります。
とくに矢ヶさんの著作、『隠された被曝』を読んだとき、被曝のメカニズムの物理学的解明
や、放射線をめぐるさまざまな解き明かしに、目が覚まされる思いがするとともに、この内容
をもっと平易に、もっと多くの人に伝わる形に書き直せると素晴らしい、ぜひそれを担いたい
という思いが強まりました。
そんな思いで、7月に京都に講演にこられた矢ヶさんに初めてお会いし、『隠された被曝』を
平易に解き明かしたブックレットか何かを作りたいと提案すると、初対面であるにもかかわら
ず、二つ返事で「誰かそういう仕事をしてくれる人が出てくるのを待っていました」というお
答えを返していただけました。
それ以降、僕は講演に呼ばれた際に、肥田さんと矢ヶさんに学んだことを軸に話を組み立て、
いわばお二人のメッセンジャーとして、放射能汚染と前向きに立ち向かっていくことを訴える
とともに、どのようにすれば矢ヶさんが解き明かした内容を、より人に伝えられるのか、考
え抜いてきました。
それで矢ヶさんに幾度かインタビューを行なったうえで、文章を編み出したのですが、次第
に問題は単に、平易に書き表すことだけではないことが見えてきました。何よりも僕自身の
理解が問われました。読んだときには分かっているつもりのことが、説明しようとすると、十
分な把握にいたっていないことが見えてきました。
とくに苦労したのは、さまざまな専門用語でした。学問にはそれぞれの積み重ねがあります。
専門用語はそれらを要約したもので、多くの意味を一言で表せるけれども、それを知らない人
にはさっぱり意味が通じません。それで専門用語を噛み砕いて説明しようとすると、はじめて
自分自身がその積み重ねの部分しか理解していないことがみえてきました。
それで僕はどんどん物理学や放射線科学にのめり込んでいきましたが、さらに見えてきたのが
この領域の科学が、核兵器の開発や核戦略の維持に密接に絡んでいるために、相当に政治的な
介入によって歪められている事実でした。この政治的歴史的背景をつかまないと、放射線科学
の実際をつかむことはできないのです。
そのことを理解し、「専門家」任せにせず、市民自らが科学していくことが問われているのだ
ということが、まさに本書で矢ヶさんが主張していることなのですが、僕自身、本書を編む
ことを通じて、「科学すること」を強烈に体験しつつ、放射線をめぐる歴史を自らが辿ってき
たように思います。
とはいっても僕はまだまだ矢ヶさんの導きのもとに、物理学と放射線科学の大海の、ごく一
部を泳いだに過ぎませんが、ぜひこれを出発点にさらに科学的研鑽を積んでいきたいと思いま
す。その道を歩む楽しさ、素晴らしさもまた矢ヶさんに教えていただきました。本書を読ま
れる方が、そんな歩みの一旦をも追体験して頂けたら幸いです。
なお、本書の作成にあたっては、岩波書店の坂本純子さんが編集の労をとってくださり、校正
者の方とともに、実に丁寧な関わりをしてくださいました。文章を繰り返し読み返し、論述の
曖昧な点、不要な点を実に的確にご指摘くださり、とても頭が下がりました。本というのはこ
んなふうに、編集者の職人芸を通じて編まれてきたのかと、深い感慨にとらわれました。
同時に、この作業は多くのみなさまのお力添えによって可能になりました。とくにカンパをし
てくださったみなさま。本当にありがとうございます。みなさまのお力がなければここまでの
作業を行うことができませんでした。本書の出版に力を貸してくださったすべてのみなさまに、
深く感謝をさせていただきます。
ともあれみなさま。『内部被曝』は自信作です。どうかお手にとってください。本書が放射線
防護を進めんとするみなさまの、何かの力になることを願ってやみません。