明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1795)「検査なぜ増えぬ」と迫る安倍首相に、医療崩壊を懸念する医系技官らが抵抗!-新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(12)

2020年04月15日 22時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200415 22:30)

安倍首相に屈しない「聖域」としての医療界

PCR検査をめぐる政府内部での対立について、日経新聞が重要な記事を配信しました。
「もっと検査せよ」と迫る安倍首相に対し、厚労省の医系技官たちが抵抗してきたというのです。もちろんその後ろに医療界が立っています。人々の命を守ってきたこの方たちは、けして安倍首相に忖度しないのです。
僕は繰り返し「安倍政権と専門家会議や日本の医療界は別物」「安倍首相と専門家会議の串刺し的な批判はやめよう」と語ってきましたが、この記事はそれを裏付けてくれています。

記事を少し読んでみましょう。

「4月上旬の首相官邸。「PCR検査はなぜ増えないんだ」。安倍晋三首相は加藤勝信厚生労働相や西村康稔経済財政・再生相らとの協議で不満を示した。同席した厚労省の医系技官から明確な返答はなかった。

首相「検査なぜ増えぬ」

厚労省は37.5度以上の熱が4日以上続くなどに絞って検査をしてきた。各国の検査数が増える中で異質の対応だった。
理論的支柱となってきたのは医師免許を持つ医系技官らだった。科学的な根拠や専門知識で政策を立案する。国民の生命や健康に関わる技官らは政治から一定の独立性を保つ。人事への政治の介入も限定的だ。

今回の危機対応ではその独立性が動きを鈍くした。重度に応じ区別するしくみを早急に作り検査の数を増やす方向にいかず、軽症者の入院が増え続ければ重症患者に手が回らなくなる「医療崩壊」への懸念という以前からの姿勢が先に立った。」

安倍1強にも医系の「聖域」 検査・薬で厚労省と溝
日経新聞 2020/4/11 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57942260Q0A410C2EA2000/

ちなみに記事は「検査を増やすべきだ」という視点から書かれています。
その点で、安倍首相が「検査なぜ増えぬ」と言っていたことが事実である点に、信頼性があると思います。


安倍一強の「聖域」について論じた日経新聞


検査を増やした各国は失敗し必要な場面に絞ってきた日本は今のところ成功しているのでは?

安倍首相が「検査なぜ増えぬ」と検査を迫る側にいて、厚労省や日本の医療界抵抗してきたこと、オリンピック開催のために「感染者数を低く見せる」ことなどなかったことをご確認ください。
そもそもそんな、命の問題に反することに、日本の医学界はまったく応じません。だからオリンピックがダメになっても、けして検査は大きくは増えてないのです。
あくまでも必要性に絞って行なわれています。ただし今はその必要性に検査現場が追いついていない面もあります。とくに手術現場では、無症状者でも検査を行わないと院内感染の危険が増すばかりですから、そうした必要性のある検査は当然増やすべきです。

さてそんな日本の医療界、ここまでものすごくうまく難局を乗り越え続けているのではないでしょうか?
世界各国のデータを毎日確実に更新しているサイトは無い中で、ここでは以下のものをとりあげます。日本の数だけは、より正確な厚生省のものに頼り109人(都道府県からの報告では132人)とします。この差は陽性の確定判断を待っているためのものです。

Worldometer
https://www.worldometers.info/coronavirus/

ご覧のように、アメリカ26,064人、イタリア21,067人、スペイン18,579人、フランス15,729人 イギリス12,107人が最も死者が多い五か国です。どの国もWHOが示した「検査の徹底化と隔離」を進めた国です。
これらと比較すると、ドイツは一桁小さい3,495人で、評価が高いですが、しかし日本と比べると30倍近い数です。
しかもアメリカやスペインは、病院に収容される前に、自宅や施設で亡くなった多くの方たちがカウントできていないことも表明されています。もちろん隠しているのではありません。命を救うのが優先で確かめきれていないのです。


各国の感染者数と死者数 表の一部を切り抜き

僕は残念ながら各国とも、対策がうまく行ったとはとても言えないと思うのです。みなさん、どう思われるでしょうか。検査の徹底化によって、かえって病院を中心に感染を拡大し、医療がダウンしてしまったが故の、悲しい結果なのではないでしょうか。
この欧米の惨劇を見ながら、厚労省のもとに集う医師たちが、安倍官邸に抵抗しつつ、検査を一気に誰にでも行うような形に拡大することを戒め、それで私たちの多くの命を守ってきたのではないでしょうか。

その点で僕は専門家会議や医療界の努力、また現場の医療者のみなさんの努力に、心から拍手を送りたいと思います。
医療がパンクしなければ、肺炎に対しての日本の救命救急力もすごい。それぞれにぎりぎりのところで病院を守りながら、重症者の多くを助けてくださっているのではないでしょうか。
そのことに、もっと多くの人の、心からの感謝を集めたいのです。そうでなければ、懸命に命を守ってきてくださっている医療者たちに対し、あまりにも過酷です。


死者数をごまかしている?検証してしろくろつけましょう!国会議員による調査を!

とくに僕が最も胸を痛めているのは、一部のワイドショーで、「死者数がごまかされている」という言質が飛び交い、これを信じているように思える方が多くいることです。
僕はこれまで、日本の医療界のことを学んできて、深いリスペクトを抱いているので、そんなことはありえないと思っています。
また安倍官邸に抵抗してきた医療界にとって、また命を守ることに尽力してきた人々にとって、そもそも死者数を隠す動機など、考えられないのです。

もし死者数が隠されているのなら、医療界や病院がグルだということになります。しかしそんなことを疑うのは、あんまりなのではないでしょうか?
せっかく死者を増やさないように懸命の努力を傾け、重症化した方に、高度で質のよい医療を集中できる体制を保持し、ここまで頑張って、欧米のような悲惨な状況に至らなくしてくれている医療者たちへの、これ以上ないバッシングなのでは?
繰り返して言います。安倍首相と医療界は別物なのです。財務省は忖度官僚ばかりになり、平気で記録の偽造をしてきましたが(赤木さんは耐えられずに亡くなりましたが)、医療界はそんなことはしてきていません。命を守るために奮闘してくださっています。

そこで日本共産党の国会議員団をはじめ、各党の国会議員のみなさんに、強いお願いがあります。
「死者をごまかしている」という一部の言説に対し、徹底した検証をお願いしたいのです。ぜひともここで、しろくろを付ける必要があります。
このことが今後、私たちがこの感染症と立ち向かう上で、最も大事なポイントになるからです。


看護師出身の倉林明子参議院議員をはじめ、国会議員のみなさん。ぜひ「死者数疑惑」を検証してください!

いまの109人、ないし132人という死者数が信頼されないなら、医療界がどんなに頑張っても、「それは隠された数字だ」と言われて評価もされない。あんまりな状況が続いて、医療がひっ迫してしまう。
反対に、本当に一部の人々が言うように、死者数が偽造されているのなら、あらゆる対策の前提が崩れます。だからこの点は、けして放置して良い問題ではありません。
「死者がごまかされている」と語られている方も、ぜひそう語る具体的な根拠を示してください。自分が確かな根拠に基づいているかも点検してください。そして根拠を持たない方は、その憶測を今はとどめてもらえないでしょうか?

僕はいま、素晴らしいパフォーマンスを発揮している日本の医療界を、もっとみんなで支える時だと思うのです。
そうではないでしょうか。そのためにも「死者がごまかされている」のかどうか、はっきりさせて、みんなで前に進みましょう。

続く

***

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明日に向けて(1794)新型コロナ対策のアジャストに成功した韓国に続こう!-新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(11)

2020年04月13日 08時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200414 08:30)

ニューヨークも検査拡大がマイナスに働いた(クローズアップ現代による報道から)

新型コロナウイルスに関する考察の続きです。
「明日に向けて(1792)」で、イタリアが新型コロナウイルス対策でのアジャストを行わないまま、検査を拡大したために、医療崩壊に至ってしまったことを書きました。
アメリカ・ニューヨークでも同じことが起こったことが報告されています。報道したのは4月9日放映のNHKクローズアップ現代でした。

医療崩壊どう防ぐ?ヒント各国の先進事例 軽症者対応がカギ ? 20200409
https://bit.ly/2JXeBcX

当初アメリカは、検査を絞っていましたが、途中から拡大に転換。そのときニューヨークでは、不安が募ったために、無症状の人々まで病院に押し掛け、何時間どころか何日も検査を待つ長い列ができて、クラスターが連続発生したち推測されています。
番組の中ではこの点を、米国日本人医師会会長の柳澤ロバート貴裕教授が説明されています。


ニューヨークでは検査を求めて市民が医療機関に殺到してしまった。クローズアップ現代より


病院の前に連日発生した長い列が繰り返しクラスターになった可能性を語る柳澤医師 クローズアップ現代より

またアメリカはかかりつけ医師の指示で、病院にいくシステムを採っていますが、それだとなかなか病院にかかれません。これに対して救急外来は誰でも受け付けているので、そこに患者が殺到してしまったそうです。
軽症者が救急現場におしかけ、他のたくさんの命を救っている救急現場が大混乱してしまいました。

こうしたことの重なりの中で、アメリカは11日に一日の死者が2000人を越えたそうです。とても悲しいです。
ただしサンフランシスコ州などは医療崩壊などひきおこしてないそうで、アメリカ全体が同じ状態であるわけではありません。


新型コロナウイルス対策へのアジャストに成功した韓国

これに対して、新型コロナに合わせて、いち早くアジャストしたのが韓国でした。企業の研修施設などを、無症状ないし軽症者(10~50代)の隔離施設としたのです。名前は「生活治療センター」です。日本もこれを真似始めたわけですが、これはいい!
韓国では大邱にある特定教団から、巨大なクラスターが発生しました。その大邱では、当初、軽症者が感染症病床を埋めてしまい、自宅待機者が亡くなるなど、医療崩壊が始まり批判が高まりました。
そこで韓国はすぐに舵を切り替えました。3月2日から代替施設使用も明言しました。この施設のこともクローズアップ現代で紹介されています。


韓国はいち早く軽症者を病院外の専用施設に移して医療崩壊を乗り越えた クローズアップ現代より

さらにこれとセットで、韓国が始めたのがドライブスルー検査でした。2月26日に高陽市から始まっています。人々が病院に押し寄せること、院内感染の可能性が高まることを回避したのです。
このドライブスルー方式も、この感染症の致死率が、それほど高くないからできる検査です。エボラ出血熱だったらとてもできない。しかし新型コロナなら、院内感染を防ぐ上でも極めて合理的です。
ちなみにこの方式を日本でも鳥取県が採用するそうです。ただし院内感染を避けるのが目的。検査をどんどん拡大するための戦略ではないと鳥取県は語っています。これまでと同様、医師の判断に基づいて検査が行われます。ちなみに鳥取は医療先進県です!

さて韓国もまた、FETP(フィジカル・エピデミック・トレーニング・プログラム)によるクラスター潰し戦略を採用している国です。
実は韓国では、一時期まで陽性者の大半が、大邱の教団のメンバーでした。なんと3月3日時点で感染者の9割が教団員だったそうです。このため韓国政府は23万人もいる教団員の中から、実に効率よく感染者を補足していったのでした。
この際、コロナの一種であるMARS(中東呼吸器症候群)による手痛い経験から、検査能力をアップしてきた努力が実り、どんどん教団員とその濃厚接触者に検査を拡大していき、クラスター潰しを重ねて行ったのです。

この過程を追いかけた記事がありましたのでご紹介しておきます。3日時点で感染者の9割が教団員だったことも、ここに書いてあります。
「マスク曜日制」「自宅隔離中に死亡」 PCR検査多数の韓国、新型コロナ対策の“反省点”
文春オンライン 20200306
https://bunshun.jp/articles/-/36431?page=2


韓国の「新天地イエス教会」教祖が土下座して謝罪 一時期は感染者の9割が教団員が占めた ネットより

重要なポイントですが、実は韓国もまた、不特定多数への検査は行っておらず、クラスターが発生した場をおさえ、その周りの濃厚接触者を調べる戦略を摂り続けています。
その点では「検査対象は日韓で大きく異ならない」ことを、国際感染症センターの忽那賢志医師が語っています。

PCR検査の対象は「日韓で大きく異ならない」 新型コロナ患者を診る医師が報道を危惧する理由
https://bunshun.jp/articles/-/36805?page=2


ロックダウンなど必要ないことを韓国は証明している

韓国はこのように、FETPによる感染者の追いかけによるクラスター潰し、感染症へのアジャストとしての「生活支援センター」の開設、これまたアジャストとしての院内感染を防ぐドライブスルー方式の活用を重ねてきています。
このもとで死者を少なく抑えている。しかも欧米のようなロックダウンは行っていません。素晴らしい。感染者の徹底追跡のためのスマホ活用の点などで「人権侵害では?」という批判もありますが、それでも民主主義を守りながら、新型コロナの影響を抑えこんでいる。
そして僕も日本もそうだと思うのです。FETPはもともとアメリカで開発されたプログラムですが、アジアでは韓国・中国・台湾・シンガポール・日本が行っており、情報共有もしています。互いに良い点を学びあっていて、各国とも抑え込みに成功している。


1月30日、新型コロナウイルスによる肺炎についての会議に出席する文在寅・韓国大統領(左から2番目)©時事通信社

とても残念なことに、欧米諸国は、韓国の戦略をトータルに摂り入れることができなかったのだと思います。とくに代替施設の用意がないままに、かつまたクラスター潰し戦略もないままに、検査を拡大してしまいました。
でも今からでも、このことに気づいてアジャストを試みれば、苦境を脱することができるのではと思います。
FETPの大事な点は、結果的にそれが民主主義を守ることにつながることです。なぜならクラスターの発生しているところを、細かく特定して、限定的に封鎖する戦略なので、都市全体のロックダウンなど必要としないからです。

だから韓国も日本も、都市封鎖などしていないのです。あたりまえですが、その方が人々への打撃は少ない。だから新型コロナには強いのです。社会的体力の奪われた方が、ロックダウンするよりも軽微だからです。
そしてこのままに対策が成功すれば、感染症対策においても、世界は全体主義を採る必要などないことを示せます。ぜひ韓国と日本のコンビで、そしてまた同じような挑戦を行っている、スウェーデンやアイスランドとともに、その実績を残したいものです。
その点でも確信をもって「都市封鎖など必要ない」と明言し、民主主義を守りながら、最も効率的な感染症対策の道を切り開こうとしている、日本の医療界=専門家会議を、僕は支持し続けます。

続く

***

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明日に向けて(1793)安倍首相!辞めてください!あなたがいると感染症対策が進まない。与党は真っ当な経済政策を!-新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(10)

2020年04月12日 17時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200412 17:30)

必要なのは経済補償なのに「くつろぎ」動画を投稿! 終わってる!

安倍首相による自粛要請に多くの人々が応え、経済的苦境の中で当然の経済補償を待ちわびているときに、なんと「くつろぎ動画」が投稿されました。
星野源さんの歌に合わせ、愛犬と戯れ、お茶を飲み、のんびりテレビを見ているもの。なんのメッセージもありません。いや、補償もなくて苦しんでいる人々に、「もっとのんびりしたら?」とでも言わんばかりです。
これはもう終わっている。こんなもの流したら、ギリギリで耐えていて、もう限界にいる人々を傷つけるだけだということも分からない。人々の苦しみとあまりに離れた場に、安倍首相がおり、人を思いやる想像力がまったく持てていないことが分かります。

専門家を無視し、現場の混乱も考えずに突然の小中高の休校要請を行ったことや、誰ものぞんでいないアベノマスクの、1世帯2枚配布という膨大な無駄や、肝心の人々を支える経済補償は徹底して出し渋り続けるなど、命を大切にする姿勢がまったくみられません。
これ以上、こんなことが続いたら、感染症対策そのものが進まなくなってしまう。「自粛と補償は一体で」と語られている方たちがいますが、そうではなくて「感染症対策と経済補償は一体」なのです。
そもそも生活が困窮すれば体力も落ちる。免疫力も落ちる。感染しやすくなって当然ですし、感染したときの重症化もしやすくなる。さらに人の流れの制御を進めるためにも、安心できる経済的補償が絶対に必要です。

一部で警官隊が警棒を持ち、町を歩いている人を威圧している動画も流れていますが、いま必要なのは威圧ではありません。お金なのです。
みんなが互いの命を守ろうと、懸命に身を削って頑張っていることに対し、当然の、当たり前の、補償がされなければ、新型コロナウイルス以外のことでの命の危機も高まってしまう。
そしてその困難と混乱こそが、感染症に対する社会的な力を、弱めることにもつながるのです。だからただちに経済補償が必要なのです。感染症対策そのものとして必要なのです。お金を配ることが大事なのです。

なおこの動画、僕はtwitterでは批判つきコメントつきで流しましたが、平野啓一郎さんの「批判のコメント付きとは言え、朝からクソみたいな動画が繰り返し回ってくるので、気がヘンになりそうだ」というコメントを読み、ここでは写真だけの紹介とします。


安倍首相のTwitter投稿より


与党のみなさん。首相を代えて下さい

安倍首相、もう完全にダメです。与党のみなさん。自民党、公明党のみなさん。与党としての責任にかけて、ただちに首相を代えて下さい。いますぐ交代させないと、この国はもっと混乱してしまう。
みなさんもそう思っているのではないでしょうか?実はそんな情報も流れ出しています。そもそもこの首相は、森友、加計、桜とウソばかりついてきました。度重なる偽造、ねつ造、改ざんを重ねてきました。だから国民・住民の信用をまったく失っています。
大事なのはそれでも人々が自粛に応じたこと!安倍首相を信頼してではありません。互いの命を守るためなのです。ところがそれへの応答が「くつろぎ動画」です。もうこの方のもとで、信頼を得ることは絶対に無理です。

首相は感染症対策のリーダーの位置も持っています。そのリーダーがまったく信用できないからこそ、社会的混乱が深まっている。経済補償がないからこそ、政府不信が高まっています。
このため専門家会議の打ちだす対策も、たびたび不信の目でみられている。何かを隠しているのではないか?意図的に人を救おうとしていないのではないかなど、憶測が飛んで当然なのです。もはやこの首相のもとで行われるどんなことも信用されません。
こういう状態は最も危険です。「トイレットペーパーの買い占め」に継ぐ何かが起こりかねない。さまざまな差別や偏見も助長しかねません。まさに社会の危機です。それが安倍首相一人のせいで、どんどん深められているのです。

だった病巣を取り除いてしまえばいい!この方を交代させ、まっとうな経済補償を行うだけで、感染症対策はぐっと進みます。人々は、意見の違いはあるとはいえ、互いの命を守り合おうと懸命だからです。懸命だけれど、経済的に疲弊しています。
苦しい中でも頑張っている人々に応え、人々を安心させるのが政治の課題です!そのためには、もうこの方を代えないと、どうしようもない。
感染症対策はまだまだ長く続くのです。安倍首相に、長きにわたってリーダーなど務められないことは明白です。ならば一刻も早く代えた方がいい。与党としての政治責任にかけて実行してください。


記者会見で対策に失敗しても「私が責任を取ればいいというものではありませんー」と安倍首相が明言!


ただちに国民・住民に20万円以上の給付を

同時にただちに全ての国民・住民に20万円以上の給付を行ってください。大人も子どもも誰にもです。困ってない方、お金持ちの方には、受け取り自粛を頼みましょう。これなら所得審査など不要です。
そもそも感染症対策で忙しい時に、所得審査などという、ストレスフルな仕事を増やしてはいけない。余力はすべて、医療を支えることに向けなくてはいけないのです。
それにすでに多くの方が、本当にさまざまな自粛で、政府に協力しているのです。それだけで充分、信用できるではないですか。国民・住民を信頼しないで、なんで政治が進められると言えるでしょうか。

もちろん協力しているのは、日本国籍を持っている方だけではありません。だからすべての住民にお金を回すことが必要です。
子どもも大人も平等に。子どもは食べ盛り。お金もよりかかるのです。しかも学校を休校にして、学ぶ権利も保障できていないし、さまざまなストレスをかけています。だから子どもを減額してはいけない。
財源がないというなら国債を出せばいい。軍事費も削ったらいい。「国防費」というのなら、今、国と住民を守ることにまわせばいいではないですか。

すべての国会議員のみなさん。与野党の垣根をこえて、「国民・住民の身を削った努力に政治が応えよう」との声を上げて下さい。
地方議会の議員のみなさん。自らの属する行政から、この声をあげるべく頑張ってください。「国が出すまでわが町が肩代わりします!」という自治体も出てきて欲しい。政府への有効な突き上げになります。
そして市民のみなさん。友人のみなさん。経済補償を求めた署名を立ち上げたので、協力してください。「つなぐ京都2020有志」の仲間たちと立ち上げました。

https://bit.ly/3ecfFaJ


私たちの税金を、自粛への当然の補償として求めましょう!みんなの命を守るために!

***

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#新型コロナウイルス #安倍首相 #経済補償 #20万円以上の給付を #感染症対策

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明日に向けて(1792)感染症対策を柔軟に変えることが医療崩壊を防ぐ大きなポイント-新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(9)

2020年04月11日 13時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200411 13:00 0413 07:30改訂)

● 医療を崩壊させまいと奮闘している医療者の嘆きから・・・

前回の続きです。

僕が感染症対策を柔軟に変える必要性に気が付いたのは、ある医療者がネットに投稿した嘆きからでした。「みなさん、医療崩壊はもう始まっています。もし私が感染したら医療ができなくなります。その分、助けられる命が助けられなくなる。悲しい」と。
胸がかきむしられるような思いでした。そうです。例えばいま「台数が足りないのでは?」と懸念されている人工呼吸器や、人工心肺=ECMOなども、実は扱いが難しい。熟練したドクターが隔離されてしまったら、台数が足りても力を発揮できなくなります。
でもジョンズ・ホプキンス大学の論文を読んでいたので「待てよ・・・」と思い直しました。この場合、医療ができなくなるのは本来のウイルスの力ではない。医師が倒れたからではないからです。それどころか多くの方は元気なまま隔離されるのです。

同じように、医療以外の場でも感染者が出たら、濃厚接触者のすべてを自主隔離においていく。そのことでシステムが停まり、困難が拡大しています。でもそれは人間の側が作った取り決めですから、もっと柔軟にアジャストすれば良いのではないか?
実は強いられた形でですが、日本でもすでに一部でそれが始まっています。ホテルを無症状・軽症の感染者の隔離施設として使うことです。
感染症法19条・20条で、入院先は「感染症法指定医療機関」となっているので、本来、これは感染症法に反します。でも感染症病床の絶対数が足りないので、この変更はきわめて重要です。

東京都の4月9日の感染症病床の状況を示した図をご紹介しておきます。
いま患者数は1431人。ベッド数は1200床。これだけ見ると医療崩壊なのですが、よくみると軽症・中症等(無症状を含む)の方が1401人、重症者が30人なのです。
もちろん軽症・中症の方から悪化する方もおられますから、これが重症者の割合ではありません。しかし無症状ないし軽症で、若くて既往症もない方たちは、代替施設に移ってもらった方が合理的です。いまやっとそれが始まったのです。


NHK特設サイト「新型コロナウイルス」より

これまた新型コロナウイルスが、SARS(重症急性呼吸器症候群)ほどには致死率が高くないからできることです。そうでなければホテル使用はあまりに危険すぎて、選択肢に入りにくい。でも新型コロナウイルス対策でなら合理的だと思うのです。
ただし現場ではいろいろな懸念も表明されているようです。何せ新たな試みです。ホテルでの感染症対策も難しいし、重症化した場合に迅速に搬送できるのかなど、クリアしなければいけないことはたくさんあるのでしょう。
それでも、このような柔軟な対応をもっと広げて、感染症対応をアジャストし、ある意味でもう少しガードをさげれば、医療現場も私たちももう少し余裕が増えて、その分、医療崩壊を食い止めることにもつながるのではないでしょうか。


PCR検査を増やす危険性とFETP(フィジカル・エピデミック・トレーニング・プログラム)

この観点から、この間のホットな話題も整理できます。というのは僕は当初、この病は致死率が高くないし、19歳未満はほとんど重症化しないので、安倍首相による小中高の一斉休校に反対しました。
しかしその後、もっとも懸念されるのは医療パニックによる崩壊であり、医療が機能していれば助けられる命、重症化する可能性のより高い、高齢者や既往症の方たちを守れると考えて、若い人々に行動の自制を呼びかける専門家会議の提言を支持しました。

一方で、多くの感染症医が、PCR検査の拡大には問題が多いと訴えていることも支持してきました。僕も感染症病床が当時は全国で1,758床とまったく少ないことを知っていたからです。そこに8割の無症状・軽症者を入れると必要な病床がなくなってしまう。
もちろんこれだけでは、町中に存在している感染者を見つけられないことになる。それで良いのかという批判が出続けました。
しかし僕はこの点で、FETP(Field Epidemiology Training Program)を受けたクラスター班による、感染経路の追いかけによるクラスター潰しという、日本の医療界が採っている戦略に共感していました。医療界は検査を感染症対策の軸としてなかったのです。

戦略なしに検査を拡大するのではなく、感染経路を追いかけ、クラスター発生現場をつかまえて、そこを封じていく。
つまり社会活動のすべてを止めてしまうのではなく、クラスターの発生しやすい場を特定し、そこからの発生をおさえていく。それで出されたのは「3つの密(密閉空間・密接場所・密接空間)」を避けようとの戦略です。
FETPはもともとアメリカで開発されたプログラムで、アジアでは韓国・中国・台湾・シンガポール・日本がこれを行っており、アジア各国はネットワークを形成して、情報共有も行っているそうです。

「FETP」をご存じですか? 日経メディカル
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/kansen-j/201004/514877.html


2009年11月にソウルで行われたFETPネットワークの学術集会 日経メディカルより


検査拡大とともにイタリアは医療崩壊を招いてしまった

同時に僕がPCR検査の拡大慎重論を支持したのは、この感染症は、誰が罹っているか分からないからこそ、不安を拡大させるので、検査を拡大すると病院に人が押し寄せ、かえって感染が拡大してしまう面が強くあることです。
実際に各国で病院が、巨大なクラスターになってしまいました。例えばイタリアは陽性者が14万人を越えていますが、なんとそのうち医療関係者の感染者が、1万人にものぼっている。これでは医療はとても持ちません。
イタリアの医療が劣っていたからではないのです。事態の深刻さが見えてきた時、病院に検査を求める人々が殺到し、そこで感染拡大が起こって、医療者も次々と感染してしまいました。しかも病床が軽症者で埋まり、医療崩壊が起こったのでした。

この点を日経新聞が、以下のように伝えています。
「感染者が急増した理由に挙がるのが医療現場の混乱だ。イタリアは、これまでに新型コロナの検査を5万4千件以上してきた。感染者を確定させる狙いだったが、軽症の患者も徹底的に検査したため、病床が満杯に。医師や看護師の不足に拍車がかかり、感染が一気に広がった可能性がある。
米ブルームバーグ通信は世界保健機関(WHO)関係者の話として「検査をやり過ぎて害を及ぼしたようにみえる」と伝えた。無症状の人は自力で回復できた可能性があると指摘した」

イタリア、医療現場混乱で感染急増か 全土で移動制限
日経新聞 2020/3/10 21:52
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO56642800Q0A310C2910M00/

ここから分かるのは、イタリアが感染症病床をどうするのかという点をアジャストしないままに、検査を増やしてしまったことが苦境を呼んでしまったことです。
軽症者が押し寄せてしまい、重症者が見れなくなる。ホテルなどの代替施設などが作られないまま、混乱が続いてしまった・・・。


なおイタリアの悲劇を作りだしたのは、新自由主義のもとでの「医療費削減政策」によって、病院や診療所の統廃合が進められてきたためでもありました。ここ数年間で760もの医療施設が無くなってしまっていたのです。
これに対して日本でも、保健所の統廃合が進められ、だからこそPCR検査が、医師が欲してもできないケースが相次ぎましたが、病院全体では、小泉政権から始まった医療削減政策に本当によく抗ってきました。
もちろん削減されてしまったものもたくさんあります。人工呼吸器やそれを扱う熟練のドクターが減ってしまった。でもそんな中で日本の医療者たちは、社会的共通資本としての医療の根幹を、新自由主義の猛攻から懸命に守りぬいてきたのです。

だからこそ日本の医療界をもっと信頼し、もっとみんなで支えようと訴えたいのです。

続く

***

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明日に向けて(1791)新型コロナウイルスの脅威の正体が見えた!この点を熟慮して医療の危機を乗り越えよう-新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(8)

2020年04月10日 20時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200410 20:00 0416追記)

新型コロナは致死率が高くないからこそ蔓延するうえに人間側の防御態勢の弱点を突いてしまう!

新型コロナウイルスの重要な特徴が見えてきました。端的に言います。この感染症は致死率がそれほど高くはないからこそ、広範に感染を広げうる!宿主の多くを殺さないし、むしろ多くの人を元気なままにしておくからウイルスは広がりやすいのです。
「致死率が高くない」というと、「甘く見ている」という批判が来そうですが、違うのです。だから怖いのです!
肺に感染してウイルスを増やすので、肺活量が高まると飛沫感染でうつるし、発症前、無症状のままでも感染させる。だからとても防ぎにくい。そのあり方が、ウイルスと同時に不安も大きく広げていく。そうしてパンデミックを起こしています。

ここまでだったら「そんなことは知っている」という方もおられるかと思います。さらに一歩進みましょう。
このウイルスは、人間の側の防御態勢に潜む弱点、いわば想定外の点を突いているのではないか。だからこそ猛威を振るっているのではないかと思われます。
しかしここに気づけば、有効な対策を導き出すことができるし、実に一部ではすでに始まっています。

大きなヒントを与えてくれたのは、2018年5月にジョンズ・ホプキンス大学が出版した『パンデミック病原体の諸特徴』という論文です。
IWJさんが3月13日に素晴らしいレポートを出し、著者の一人に重要な点をメールインタビューもくれているので、紹介します。

IWJ調査レポート!新型コロナは「地球規模の破滅的な生物学的リスク(GCBR=Global Catastrophic Biological Risk)」!? ジョンズ・ホプキンス大学の『パンデミック報告書』が、2年前にコロナの出現を予見し、警告! 2020.3.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/469833

ここにあるように、この論文は「地球規模の破滅的な生物学的リスク」(GCBR)を起こしうるものは何かを考察しています。
詳細はこのレポートに譲ります。原典に当たりたい方は以下をご参照ください。

The Characteristics of Pandemic Pathogens(『パンデミック病原体の特徴』)
http://www.centerforhealthsecurity.org/our-work/pubs_archive/pubs-pdfs/2018/180510-pandemic-pathogens-report.pdf


論文の表紙

感染症の脅威は、人間側の防御のあり方によって大きく変わる!

論文には、パンデミックを起こしうる7つの特徴が書かれていますが、その多くが新型コロナに合致しています。この点もIWJさんのレポートが端的にまとめてくれています。
このありがたい仕事を受けて、僕はさらに一歩進めたいと思います。この論文では次の点が指摘されているのです。

「感染症の発生はより大きな社会政治的、地理的、環境的、および経済的な状況で発生するため、付随する複雑さの存在が発生を悪化させ、それだけでは破壊的な能力を有することができない微生物に、GCBRレベルのステータスを与える可能性があります」。
Additionally, as infectious disease outbreaks occur within a larger sociopolitical, geographic, environmental, and economic context, the presence of concomitant complexities can exacerbate an outbreak and confer GCBR-level status on a microbe that is unable, on its own, to possess such destructive capacity. 

要するに感染症は、人間の側のあり方によって、「それだけでは破壊的な能力を有することができない微生物」に、「破滅的な生物学的リスク」のステータスを与えうるというのです。
このことを頭に入れて考えると次の結論が出てきます。「新型コロナは人間の側の防御体制の弱点をついている」のではないかということです。

どんな弱点でしょうか。感染症対策がエボラ出血熱やSARSなど、致死性の極めて高いもの、絶対に感染を防がねばならないものを相手に作られていることではないか。
(注 感染症法は感染症を致死率など危険性の高いものから5類に分けています。エボラ出血熱は1類、SARSは2類で、新型コロナもここに分類されています 4月16日追記)

これに対して新型コロナは、致死性はけして高くない。にも関わらずディフェンスはすごく強固です。だからこそ医療崩壊を引き起こしうる面があるのではないか。
例えば8~9割とも考えられる無症状者・軽症者をも14日間隔離しています。このため医療者が感染すると、元気でも医療現場を離れねばならず、医療のダウンに直結してしまう。

いや一人の感染者が出ると、周りの「濃厚接触者」も自宅待機しなくてはだから、その方のいるシステムのダウンにもつながりやすい。事業所の一時閉鎖等々です。
そのことが感染者が、無症状でもウイルスをうつす可能性があることとあいまって、恐怖を何倍にも膨らませていく。人々の、他者の命を大事に思う優しい心に食い込んでくる。
しかし実はその多くが、ウイルスそのものの力ではないのです。人間の作ったルールによるものです。だったらルールを柔軟に変えることが、戦略的に問われているのではないでしょうか?


論文に添えられた挿絵

続く

***

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#新型コロナウイルス #パンデミック #ジョンズホプキンス #GCBR @安倍晋三

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明日に向けて(1790)緊急事態宣言に反対します!でも出されてしまったらそのもとでできることを広げよう―新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(7)

2020年04月06日 09時17分17秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200406 09:00)

安倍首相が本日月曜日にも緊急事態宣言に向けた準備を始める表明を?

新型コロナの東京での感染拡大などを踏まえて、安倍首相は本日、月曜日にも緊急事態宣言に向けた準備を始める表明をする見通しとマスコミ各社が伝えています。
僕は緊急事態宣言に反対です。憲法が保障している自由をはく奪する超法規的な宣言だからです。
「コロナの感染を抑えるのにやむを得ないではないか」と言われる方もいると思いますが、僕はこれがなくても、この災害を越えていくことができると確信しています。

ただし押さえておきたいには、たとえ宣言がなされても、欧米のような都市封鎖=ロックダウンがなされるわけではないということです。
知事などが行う外出自粛要請に、強制力はありません。出歩いても罰せられるわけではありません。生活に必要な買い物や通勤のための外出は制限されることはありません。
なぜか。日本にはそこまで強制する法的根拠がないからです。反対に言えば諸外国にはあるわけです。戦争を行ってきた国々には、いざとなったら人権をさえぎる法整備がなされていたのです。その点で僕は日本の方が民主主義が発達していると思います。

この民主主義=人権は、私たちの先達が血と汗と涙を流しながら、私たちに送ってくれたもの。私たちもそのバトンを受けついで走ってきました。
だからこの国にはロックダウンできる法がないのです。その点は誇っては良いのでは。そしてそんな法がなくても、あらゆる困難を越えられることを示し、民主主義の強さを世界に示したい!
いざとなったら全体主義に頼るなんてまっぴら!かつまたそんな必要性を僕は感じません。全体主義的な住民管理などしなくても、この災害は越えていける。全世界にその先例を示し、民主的世界の発展に寄与したいです。そのためにも頑張りましょう。

朝日新聞4月6日の記事から


緊急事態宣言が出される場合の条件

緊急事態宣言が出される場合の条件・・・これは4日にNHKスペシャル「“感染爆発”をどう防ぐか」に出演された、専門家会議副座長で、政府が宣言を出す際に相談する諮問委員会委員長でもある、尾身茂さんが述べたことです。

NHKスペシャル 2020年4月4日“感染爆発”をどう防ぐか
https://www.youtube.com/watch?v=nw6Dex3VkJI


尾身さんは「仮に宣言を出すとしたら」と前置きしつつ、4つのことが大事だと述べられました。(1)なぜ出すのか理由をはっきりさせる。(2)何を期待するのか、何を目指すのかをはっきりさせる。
(3)どこがこの問題の急所で何をやるのかをはっきりさせる。(4)市民にとってどういう意義があるのか。出す前と後で何が違うのかをはっきりさせる。

尾身さんはまた欧米のような「都市封鎖はする必要はない」とも断言されました。共感しました。また宣言を出すとしても、地域は限定されます。目的は「感染の爆発的拡大」の山のカーブを下げることで、それができたらすぐに解除する。
またこれに伴う休業補償などの経済政策が、感染防止のために不可欠であることも指摘されました。
僕はあくまで緊急事態宣言に反対ですが、出されたのならこれらの条件を注視し、感染拡大をみんなで食い止め、すぐに解除させるように努力しましょう。また出されてない地域では、過度の自粛の連鎖にならないようにしましょう。

爆発的感染に至る前に、伸びつつある感染数の曲線を下げたい。ただし「それで新型コロナ感染症が終わるわけではない」ことも強調されていました。このウイルスは致死性が低く、宿主をほとんど殺さず、大半が元気なままなので伝搬しやすいからです。
しかも症状が出る前から感染が始まるので、防ぎにくい。そのため恐怖を煽りやすく、パニックも作りやすいわけですが、大事なポイントはこのウイルスとの私たちの格闘は、長く続く可能性が高いことです。
だからこそ対応が、細かく地域によって分かれている。尾身さんはボクサーに例えてこう言いました。対応が長く続くので「ずっとガードをあげっぱなしだと疲れてしまいます。ガードを上手に上げ下げして対応することが大切です」と。


それぞれの制限の中で、最大限の社会的経済的活動を続けよう!

つまり感染が爆発的拡大に向かいつつあるところに、緊急事態宣言が出されることはあっても、必要がなくなればガードは下げる。活動が制限される辛い時期を、できるだけ少なくして、長い格闘をやり抜こうと言うわけです。
その点で現在、3つの地域分類のうちの第二・第三の地域は、ほぼ学校が開校されますが、ここにはこの「ガードを下げる」考えが適用されていることを知ってください。
長く続くからこそ、可能な時は学校を開ける。社会活動をできるだけ制限しない。でもその地域がガードが必要になったらあげる。このため対応が、各自治体の判断に任されている=現場の事情が優先されているのです。


感染がそれほど進んでいない沖縄豊見城市では3月10日から学校が再開された

僕が住んでいる京都市でも、学校が再開されます。(注参照) 僕はそれで良いと思います。対応は長く続く。ずっと学校を閉じておくと、子どもたちの学ぶ権利を止めたままだし、新型コロナ以外のさまざな弊害がつのります。
長い対応が必要だからこそ、可能なところは積極的に子どもたちに学校に行ってもらいましょう。
ただしここでも、それぞれの自主判断の尊重が大事。「それでも心配だから」という親御さんもいるでしょう。「僕は・私は喘息もちでコロナが怖い」という子どももいるでしょう。行かせたくない親、行きたくない子の判断も当然尊重されなくては。

大人たちも、社会的経済的活動を最大限、続けていきましょう。さまざまな市民集会も続けましょう。合意の枠組みの目安は、地域を第一、第二、第三と分けて出されています。
「もっと厳しく」「もっと緩く」といろいろな意見があると思います。きっとそれぞれに間違っていないのです。誰も未来は見通せないのだから。
大切なのは民主的討論を欠かさないこと。穏やかにみんなの気持ちを尊重し合い、みんなで合意の場を探っていくこと。互いへの配慮を大事にしていくこと。その中でさまざまな活動を、元気に、前向きに、進めていきましょう!

注 京都市は4月6日午後に方針転換を発表しました。9日までは開校し、当面5月6日まで休校とするそうです。(16:30追記)

続く

***

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#新型コロナウイルス #緊急事態宣言 #都市封鎖 #パンデミック #専門家会議

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明日に向けて(1789)PCR検査をめぐる「疑惑」を捉え返す―新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(6)

2020年04月04日 13時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200404 13:00)

PCR検査をめぐる「疑惑」が強いのは安倍政権の責任

新型コロナの考察の続きです。今回はPCR検査が意図的に少なくさせられていて、オリンピック延期後にどっと増やしたのではないかという「疑惑」について取り扱います。
僕はそんなことはないし、この検査は精度が高くなくて偽陰性・偽陽性をたくさん生み出すので、むやみやたらに拡大しても意味がないし危険だと考えています。
肺炎に進んだ人にしぼって、的確に検査を行っている日本の医療界の対応は、僕は正しいと思うし、実はそれでここまで医療崩壊を上手に切り抜けてきているとも思います。

しかしさまざまな疑惑や懸念が生じてしまうのも、ある意味で当然です。責任はすべて安倍首相にあります。この方を退任させないと、この困難を越えていくのは難しい。
理由は簡単です。安倍首相が森友・加計・桜など、国有財産を私物化するさまざまな不正を犯し、その上、忖度した官僚にデータ改ざんを重ねさせてきているからです。
そんな中でお役人として誠実に生きようとしていた、財務省職員の赤木俊夫さんが自ら命を絶ってしまった。その手記が公開され、首相の断言をかばうため、パワハラ官僚の佐川氏からの命令で改ざんがなされたことも明々白々になりました。

首相の断言は、自分や妻である明恵氏が「森友に関与していたら、首相も国会議員も辞める」というものですから、どう考えたって安倍首相はもう退任し、さまざまな罪を償うしかないのです。
にもかかわらず「再調査しない」という。ひどすぎます。だから小泉純一郎元首相などからも「辞めるべきだ」と言われているのにそれでも辞めない。こんな首相が信頼できるはずがあるわけない。
さらに多大な痛みを伴う自粛は要請するのに、金銭補償はしぶりまくる。そんな中でマスク2枚を国民に配れば喜ばれるとマンガのような勘違いをするし、側近たちも止められない。こんな政権を信頼せよというのが無理です。

「アベノマスク」が海外でも笑われていることを報じた朝日新聞


安倍首相は新型コロナのことをまったく分かっていない

安倍首相をすぐにも退任させることが必要なのは、新型コロナについても必要な学びをしないので、正しい認識を持っていないことです。
顕著な例が、2月27日に小中高の全国一斉の休校を突然、要請したことでした。理由は「子どもたちを守る」ことでした。しかもそう言いながら保育園や幼稚園、学童は行うというつじつまの合わないものでした。
しかし中国から出されていたデータで、20歳未満の患者はほとんど確認されていなかったのです。「子どもから大人に移した例がみられない」ことも、データの裏付けは不十分ながら指摘されていました。


「子どもの健康第一」とあたかも子どもに危機が迫っているかのように発言した安倍首相 ネットより

安倍首相はこの時、専門家会議に相談もしなかったのですが、専門家会議の面々はすぐに会見を開き、実は安倍首相のデタラメ発言を打ち消したのでした。
それが「10代から30代は重症化する危険性は少ないが、活発に行動しているこの世代に感染しても無症状の人がおり、リスクのある高齢者に感染させてしまっている。人の命を守るために若い方たちに行動抑制をお願いしたい」というメッセージでした。
ただし、いまは10代から30代だけでなく「元気に活動しているすべての世代」にこのお願いを拡張していますが。

PCR検査のことでも、安倍首相はとても顕著な発言を行いました。3月28日の記者会見における神保さんの「なぜ日本がギリギリのところで持っているという確信があるのか」という質問に答えてです。下記に示す動画の52分ぐらいからです。
【ノーカット】感染拡大のなか経済対策は・・・安倍総理会見 (20/03/28) 
https://www.youtube.com/watch?v=pD0M_XMptII

首相はこの中でPCR検査についてこう語ったのです。「私も質問をしたんです。批判があるんだけれどもどうなんだろうか、PCR検査が少なくて。それでうかがったのですが~」と。続いて医師たちの説明の内容を語り、「私は納得した」と言ったのでした。
「やはり何も分かっていなかったのだな」と思いました。当初より、専門家会議は「感染症予防の観点からは、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることは、有効ではない」と語ってきているのに、その点を共有化してきてないのです。
だから実は政府は一度も、PCR検査についての考え方を示していません。分かってないからです!そんな安倍首相を、専門家会議はうまくコントロールし、「緊急事態宣言」の発令をなんとか思いとどまらせているように僕には思えます。


「PCR検査をオリンピックのために抑制してた」論をファクトチェックしよう

さてこの大事な前置きをした上で、PCR検査疑惑、実際はどうなのか検証してみましょう。その際、説得力を感じたのは以下の毎日新聞の記事です。

新型コロナ「五輪延期後に検査急増」は本当か 「感染隠蔽」説を検証すると…
毎日新聞2020年3月28日 16時18分(最終更新 3月29日 12時43分)
https://mainichi.jp/articles/20200328/k00/00m/040/090000c

 

記事によると、安倍晋三首相とIOCのトーマス・バッハ会長が1年程度延期することで合意したのは3月24日でした。その上で以下のように書かれています。
「国内のPCR検査の実施件数は、2月18日~3月25日に計4万6869件。これは3月25日までに自治体などから回答があった件数の合計で、日々修正などもあるため数値は変動することがあるものの、五輪延期の動きがあった22日に772件の検査を実施し、その後、23日=1108件、24日=1959件、25日=1679件(いずれも25日時点)――となっている。
しかし、延期の動きが本格化する前から、一定程度の検査は実施されている。2月18日以降、1日当たり最低でも513件(2月24日)の検査が行われ、3月25日までの1日当たりの平均は1260件程度。3月10日=1945件、3月6日=1794件、3月12日=1718件――など、延期決定前後に匹敵する規模の日も多く、「延期が決定した後に検査が増えた」とは言えない状況だ。」

どうでしょうか。記事に添えられたグラフもぜひご覧ください。


毎日新聞の記事に添えられた東京都の検査数と陽性者のグラフ

あるいは専門家会議の4月1日の会見で出された累積患者数を見ても同じことが言えます。だんだん感染のスピードが上がってるパッと見、怖い表ですが、ともあれ、これを見ても24日以降に隠していたものがどっと出てきたとは感じられません。
その点で「PCR検査をオリンピックのために抑制してた」のではと感じている多くの方に、実はエビデンスのないこの論から離れていただきたいのです。


専門家会議会見で出された累計患者数

繰り返しますが、安倍政権と専門家会議や日本の医療界は別です。
「コロナ、そこまでのものか」と語り、諸外国のように都市封鎖などで自由と民主主義を抑制せず、穏やかにかつ民主的に事態を越えようとしている努力がなされています。
その医療界の合意がないと、安倍首相がどう思ってもPCR検査での隠ぺいなどできない。「オリンピックのために抑制してその後に拡大した」事実はやはりないのです。

続く

#新型コロナウイルス #PCR検査疑惑 #アベノマスク #専門家会議

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明日に向けて(1788)感染拡大を抑え込むには冷静さと寛容さが大事!コロナの「恐ろしさ」をもう一度考え直そう!―新型コロナの影響を民主主義的に越えるために(5)

2020年04月03日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200403 23:30)

新型コロナは「そこまでのもの(都市封鎖をしなければならないもの)」ではないのでは?

新型コロナについての考察の続きです。この感染症の「恐ろしさ」、いま過剰に増幅され、社会的害悪を拡大しつつはないでしょうか?
実際、連日連夜、感染や諸外国の死者拡大が伝えられ、「日本もオーバーシュート間近、緊急事態宣言が必要」などの声も高まっています。
しかしみなさん。一度、立ち止まってみましょう。この病の恐ろしさは本当のところ、どこにあるのでしょうか?


「緊急事態宣言」はまだ食い止められている 安倍首相の記者会見 THE PAGEより

最初に僕が参考にしたのは、中国の以下の論文でした。
中国におけるコロナウイルス病2019(COVID-19)の発生の特徴と重要な教訓
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2762130?fbclid=IwAR2KYa3JRxz06C_bbEBBd_fgA1MDWPG_8Zq5dNTF5jomnFGlYiLxkFYweCg

そこには44,672人の感染者のうち87%が30~79歳。80歳以上3%、20~29歳8%、10~19歳1%(549件)、10歳未満1%(416件)と書いてありました。
致死率は中国全体で2.3%。武漢は医療崩壊で高くなりましたが、その他の中国全体では0.22%。季節性のインフルエンザの致死率が0.1%とされるので、武漢を除けば2倍の致死率でした。


中国から出された論文

ところがその後、中国政府が、陽性でも無症状な人々を「感染者」としてカウントしていないことを明らかにしました。この数が約4万強。それを計算に組み込むと実は致死率はもっと下がります。
無症状・軽症者の割合は80%と言われてきたけれど87%になり、武漢を含む中国全体の致死率も1.5%になる。武漢以外の中国の致死率は計算できませんが、それでも0.22%よりは低くなるでしょう。
さらに20歳未満など検査してない感染者はもっといたはずです。そうなると実は季節性インフルエンザよりも、この病の致死率が高いというエビデンスはどんどん薄まるのです。


新たな病だからこそ気を付けなくてはならないけれども

もちろんこの病は新しいものだから、分からないことが多い。「もっと凶悪かも」「増悪する可能性がある」と言えますが、可能性の全てを考えての対応は合理的ではない。
また「イタリアなどで医療崩壊が起きているではないか」と言う声もあるでしょう。その通り。このウイルスの確かな怖さは医療崩壊を引き出しうることです。

それでも僕は前回、専門家会議の自粛目安に対し、もっと緩くても良いと思っていると書きました。理由の一つは、中国の事例からもこの病の致死率がそれほど高いとは言えないと思うからです。
しかし対策には「社会的合意」が大事。これだけみんなで努力をしているのですから、いきなりひっくり返すのはよくない。だから専門家会議の提言を、社会的合意の軸とするのが妥当だと思うのです。
他方で「危険性」が実態を離れ、独り歩きしているように思えるのでみんなで立ち止まることを提案したい。とくに自由と民主主義を、各国がこんなに容易に手放してしまったことに対し、ここはじっくり考えなくてはいけない。

もちろん危険性が謀略で煽られているなどとは思わないしそんな証拠もない。しかし現状は「奴は敵だ!敵はこんなに怖い!やらなければやられる」と自分たちを煽る危険な戦争の論理と、どこか似たことになっているのではないか?
例えば昨年、2019年1月のこの国でのインフルエンザ死者数をご存じでしょうか。1,685人です。1日平均54人、2月は1,107人、3月は258人でした。
このことは季節性のインフルエンザも十分、怖いことを示しています。でもだからといって、このとき厳しい行動抑制はありませんでした。医療関係者は懸命に警戒を呼びかけていましたが。


「なんと1日50人以上「インフル死者」が日本で急増する不気味」プレジデントオンラインより

あるいはアメリカは毎年インフルエンザで数万人が亡くなっており、2017年から2018年にかけては6万4千人も亡くなっています。
もちろん大問題です。医療制度がすごく悪い。貧しい人は医療費が高すぎて受診できない。中産階級ですら一回の大病で破産する人が絶えません。その中で6万4千人も亡くなったのです。
でも極端な行動制限はされませんでした。多大な社会的害悪がもたらされマイナスだからです。そんなことより貧富の格差の是正や、皆保険制度を作ることがアメリカの課題であり続けています。


新型コロナの恐ろしさは不安がかきたてられやすい特性にこそあるのでは

これらを考えると、今回の新型コロナウイルスは、これまで何度も世界で流行した風邪と、それほど変わらないか、より危険なものぐらいに捉えた方が良いのではないでしょうか。
だから感染症対策をしなくていいのではありません。日本でだって昨年1月に、1685人もが亡くなりました。医師たちは年々、インフルエンザの死者が増えていることにも警鐘を鳴らしています。
みんなで感染症を防ぐことはいつだって正しい。しかし自由と民主主義を手放し、国家に行動制限の権限を与えてしまうのはあまりに危険です。

社会経済活動をどんどん制限すると、むしろそのことで命が危うくなる人も続出します。コロナではなくて、破産・倒産・失職や、社会システムのダウンの中でこそ、人がもっと死にかねない。コミュニティや人間関係の崩壊も進みうる。
実は新型コロナの本当の恐ろしさは、ここにあるのではないでしょうか。感染しても症状が出ない可能性が高く、そこから感染が拡大する可能性がある。しかも実は致死性が低いからこそ、ウイルスとしては長く生き延び、蔓延していく。
つかまえにくく、防ぎにくく、封じ込めないからこそ、人々に絶大な不安を与えやすい。「もしも」という怖さが拡大し、まだ季節性のインフルエンザより死者がかなり少ないのに、恐怖が膨らんでいく。そこにも怖さの正体があるのではないか。

だからいま、私たちは立ち止まりましょう。落ち着きを取り戻しましょう。
一方で「感染を起こすな」、他方で「自粛なんて必要ない」といらだつ人、そんな自分がいたとしたら、「そうですね」と語ってとりあえず微笑みを返しましょう。
冷静に。穏やかに。そう、こんな時には互いにいつもより優しくなり、意見の違いに対しても寛容になりたいものです。僕自身、自らを戒めなくては。

ウイルスとともに「恐怖心」も恐るべき相手です。ならば後者には「愛と優しさ」こそが特効薬なのかもしれない。
それも含めて、自由と民主主義を守りながら、新型コロナの影響を越えていきましょう。


こんな時はジョン・レノンかなと・・。「私たちはみんなを助けることはできない。でも誰もが誰かを助けられる」 ネットより

続く

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明日に向けて(1787)医療崩壊や都市封鎖を起こさずに難局を越えよう(専門家会議提言要旨)―新型コロナの脅威を民主主義的に越えていこう!(4)

2020年04月02日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200402 23:30)

爆発的な感染拡大の前に医療崩壊が起こりうる(専門家会議提言より)

新型コロナウイルスに関する考察の続きです。専門家会議から新たな提言が出されたので要旨をご紹介します。
提言はNHKサイトに全文が紹介され、YouTubeに動画もアップされています。動画には質疑応答も含まれています。

「医療現場 機能不全も」専門家会議が危機感【提言全文】
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/

新型コロナ【政府の専門家会議が会見】緊急事態宣言は?【学校再開は?】FULLフルバージョン2020年4月1日
https://www.youtube.com/watch?v=KkYQqvEiyCA


専門家会議の会見 4月1日

ポイントを抜き書きしておきます。

「日本では今のところ、諸外国のようなオーバーシュート(爆発的な感染拡大)はみられていないが、都市部を中心にクラスター(集団感染)が次々と報告されている。
こうした状況の中、医療体制がひっ迫しつつある地域が出てきている。
クラスター(集団感染)が頻繁に報告されている現状を考えれば、爆発的な感染拡大が起きる前に医療体制の限度を超える負担がかかり、医療現場が機能不全に陥ることが予想される。」

爆発的な感染拡大が起きる前から医療体制が限度を迎える可能性がある、そうさせずに事態を乗り越え、死者を少なく抑えようと提案されました。


3つの地域区分における自粛要請の目安

今回は国内を3つの地域区分に分けて、自粛の目安が出されましたが、各自治体がどの区分になるかは幾つかの指標から自主的に判断して欲しいとのこと。
なお「3つの密」とは密閉、密集、密着のこと。換気が悪く、人が密集し、近距離発生がなされる3つの条件の重なりを避けようということです。以下、それぞれの地域の目安を記します。

(1)「感染拡大警戒地域」
◯期間を明確にした外出自粛要請 ◯10名以上が集まる集会やイベントを避ける ◯家族以外の多人数で会食などは行わない ◯地域内の学校の一斉休校も選択肢として検討すべき

(2)「感染確認地域」
◯「3つの密」を徹底的に回避したうえで、感染拡大のリスクが低い活動については実施する ◯屋内で50名以上が集まる集会やイベントは控える ◯感染拡大の兆しが見えた場合にはリスクが低い活動も含めて対応をさらに検討する

(3)「感染未確認地域」
◯感染拡大のリスクが低い活動について注意をしながら実施する ◯「3つの密」を徹底的に回避する対策は不可欠


目安を軸に萎縮しないで行動を!

専門家会議の提言の特徴は、欧米のように社会経済活動を厳しく抑えこんでしまうのではなく、地域の実情に合わせつつ、できるだけ緩やかなままに、医療崩壊を避けようとしていることにあります。
各自治体の3つの地域区分のどこに属するかの判断もそれぞれに委ね、各地で準備ができるような工夫が提案に盛り込まれています。突然、小中高の休校を要請した安倍首相とは大違いです。
これを受けて私たちは、感染拡大抑止の工夫を重ねつつも、社会活動をできるだけ続けていきましょう。

僕は実は、もっと対策が緩くても良いと思っているのですが、しかしイタリア・スペイン・アメリカの状態を見ていると、多くの人がそうは思えないのも実情でしょう。
どれぐらいの対策をすればいいのか、人々が合意できる目安が必要で、その点で穏やかな行動抑制のもと、自主性も尊重している専門家会議の提言への支持を僕は続けようと思います。この範囲を大きく越えずですが積極的に動きましょう。

中国が都市封鎖を行ったとき、「こんなことは自由主義諸国ではとてもできないだろう」と思いました。ところがフランス、イギリス、アメリカでもあれほどの規制が行われている。
驚きました。「自由主義ではなく根っこは軍国主義なんだな」と思いました。「そうだな。核武装大国だものな」とも。その同じ道をドイツも走っている。医療崩壊で苦しんでいるイタリアやスペインがそうなっているのはまだ分かるのですが。
しかしこれほど簡単に自由と民主主義が手放され、警察的監視が進んでいることに対し、私たちは立ち止まってみる必要があるのではないでしょうか。繰り返しますが、その点で専門家会議の姿勢に共感を覚えるのです。

「コロナ、そこまでのものか」(専門家会議メンバーの岡部信彦さんの言葉)・・・この点に常に立ち戻りながら事態と向き合い続けましょう。


哲学者ジョルジュ・アガンベンによるコロナのもとでの非常事態の拡大を懸念した記事を掲載したフランス紙 イタリア紙から転載 2020年2月26日

#新型コロナウイルス #パンデミック #医療崩壊 #専門家会議 #コロナそこまでのものか 

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明日に向けて(1786)PCR検査は対象しぼって行う方が断然良い!―新型コロナの脅威を民主主義的に越えていこう!(3)

2020年04月01日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1701~1900)

守田です(20200401 17:00)

PCR検査は医療上の意義が少なく精度も低い


防護服を着用して新型コロナウイルスのPCR検査を実施する職員=浜松市保健環境研究所 静岡新聞より

新型コロナウイルスに関する考察の続きです。前回、専門家会議や日本の医療界をもっと信頼しようと述べましたが、今回はその点で大きな位置を持っている「PCR検査」について論じます。
「オリンピックを行いたい安倍政権が意図的に検査を遅らせ、感染者を少なく見せてきたのでは」という懸念についてお答えしたいからです。端的に言って、僕はそういう事実はまったくなかったと思っています。
そもそも当初から専門家会議は「感染症予防の観点からは、全ての人に新型コロナウイルスの検査をすることは、有効ではない。また、設備や人員の制約のため、全ての人に新型コロナウイするの検査をすることはできない」と語っています。(2月24日の提言)

それはこの感染症には特効薬がないので、陽性でも治療方針が変わらず、治療上の意味が少ないことを理由としています。検査は感染の広がりを把握していく疫学的な意義からなされてきたのです。
もちろん治療現場にとっては感染症対策の必要性からも検査に意義があります。その点で医師が必要性を感じたら、直ちに検査できることは大切です。

しかしこの検査は精度が低い点んでもやっかいなのです。陽性の人を見つける「感度」はよくて7割。3~5割と唱える人すらいます。一方で陰性の人を正しく判断する「特異度」は高いようですが、それでも100%はありえない。仮に99%としましょう。
それで仮に30万人を検査して、陽性が7千人とします。3割以上は間違うので、陽性者3千人以上が陰性と判断されてしまいます。残りの29万人以下は陰性ですが、1%の2900人が陽性と判断されてしまう。
そうなると本当の陽性者7千人の8割の軽症者5600人と、本当は陰性の2900人と合わせて、元気な8500人に医療を施さなければならなくなってしまいます。日本なら即入院です。感度や特異度がもっと低ければこの数はもっと多くなります。


感度と特異度 ネットより

この点でこの検査は陽性の人をキャッチしきれず、一方で多数の人を陽性と誤解してしまう限界を持っています。陽性が陰性と間違われる偽陰性、反対の偽陽性がたくさんでてしまい、その分、重症者に振り向ける医療資源を無駄に奪う可能性があるのです。
しかもこのウイルスは感染性が高い。症状が出る前から感染させるので検査によって感染が広がってしまうかもしれない。だから一般の病院やクリニックではとても行いにくいのです。
これらからこの検査は、限定なしでどんどん行うと混乱を招く可能性が高い。だから肺炎が疑われた時にしぼって行っていった方がいいので、実際に医療界はそのように判断し、他国のようにどんどん検査をしなかったのです。

そのことでこそ院内感染を防ぐとともに、重症者にきちんと高度な医療を振り向けて救命措置ができている。だからこそ今日の段階で死者を66人におさえられているのです。医療界の奮闘に感謝です。


日本は検査に優位なCTスキャンの台数が多い

しかし必要な検査を行っても間違いが出る可能性にはどう対処しているのでしょうか。重要なのはCTスキャンです。この肺炎は肺の五つの葉のすべてに起こり、周辺部が犯されやすいのでCT画像を参考にできます。ただし確定診断は難しいようですが。
クルーズ船の感染者100人余りを治療した自衛隊中央病院がこの経験を論文化してくれています。PCR検査の信頼性が低いことを踏まえつつCTでの判断を併用したことが述べられています。肺炎像は軽症の方にもみられたとか。
論文は「医療従事者限定」として公開されていますが、広い意味で医療に関わっていると思う方は誰でもアクセスできるので興味のある方はご覧ください。

自衛隊中央病院HP
https://www.mod.go.jp/gsdf/chosp/


自衛隊中央病院HPより

実はこの点で日本はとても優位な立場にあります。CTスキャンの国民あたりの台数が、他国に比べてダントツに多いからです。MRIもダントツです。
被曝防護の観点からは問題もありますが、いまはそれは横において、CTとMRIの台数をみると100万人あたり日本は112―55台、アメリカ45―36台、OECD平均27ー17台、イタリア35―29台、スペイン19―16台です。
CT台数は日本は同じ人口あたりイタリアの3.2倍、スペインの5.9倍もあります。MRIとともにレントゲンの数も多いので、それらを駆使して肺の状態をより適切につかみ、新型コロナの感染かどうかの見極めがなされています。


OECD Healtu Statistics 2019 より

さらに肺炎が疑われた場合、CT検査とともに他の肺炎の検査も行わっているそうです。黄色ブドウ球菌など細菌性肺炎、マイコプラズマなど微生物による非定型肺炎、そしてインフルエンザなどのウイルス性肺炎などです。
可能性が高いものから優先的に検査され、それらが陰性な時にPCR検査が行われますが、先にも述べたように治療そのものは、呼吸の補助などの形ですでに進行していて、陽性だからといって変わるわけではありません。
このように病状を絞り込んで検査を行っているので、日本ではPCR検査の精度の低さから生じる混乱を上手に抑え込み、院内感染もかわして、医療資源の損失を避け、医療のパンクを防げているのです。

こうした素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれている医療界をもっと信頼しましょう!

続く

***

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