今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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良い面構えのPEN-W

2012年11月01日 20時30分19秒 | インポート

Dscf027321_2 ちょっと手こずっておりました。では、次に掛かります。PEN-W #1090XXが来ていますが、盛大に剥離をしていますね。シャッターは不動となっていますが、外観からは意外にレンズの状態はバルサム黄変はありますが、曇りはありません。

Dscf027574 トップカバーも盛大に剥離をしており、勿論分解歴もあります。ファインダーの清掃をしてありますが、カバーの接着が強すぎてハーフミラーまで付いて来ました。駒数ガラスにはクラックがありますが、交換しなくて良いかなぁ? 右の吊環部が陥没していますので、吊環を外して修正をしておきます。

Dscf027673 シャッターも分解されています。内部も埃の混入が多かったですが、地板とケースを洗浄しています。特に部品に不具合は無いようです。

Dscf027701 組み上がったシャッターユニット。過去に分解組立を受けていまして、ちょっと変なことをしてあるのですが、それでは調子よくは動かないと思いますね。それ以外、外観の状態からは意外に悪くはありません。作動も確実です。洗浄した本体とカバー類。剥離は進んでいる方ですね。塗膜が剥離し掛かっている部分が多いので、洗浄には気を使いました。シボ革の溝に手油ごってりでは洗浄しないわけには行きません。

Dscf027828 塗装以外にシャッターリングと距離リングの劣化も激しいですね。PENのシャッターリング関係は表面処理があまり上質ではなくて、下地の無いハードクロームかと思いますが、湿気の多い環境にあったものは残念な状態になっているものが多いです。距離リングも収納時にレンズキャップを付けずにあたと見えて、先端のローレット部分のアルマイト層が摩滅して、そこから腐食が進行したものですね。過去の分解時に多少歪みになっているようです。

Dscf028047 通常、このぐらいの外観であれば、レンズもバルサム剥れや曇りが進行していることが普通ですが、この個体は多少黄変はありますが、奇跡的に良好な方だと思います。たぶん、継続的に使われていたものでしょう。しかし、外観のコンディションとは異なり、シャッターは快調となり作動は絶好調となっています。あとは、同時にご依頼がありました、フードを製作しておきます。本体の剥離が激しいので、塗装をしなくてもカッコいいんじゃない? 駒数ガラスにはクラックがありましたが、まぁ、換えても一緒だとそのままとしています。

Dscf027951 前後しました。ファインダーのレンズとミラーは分離清掃をして再接着しています。ハーフミラーの位置がずれると光枠の位置が動きますので正確に貼っています。吊環部のへこみは、吊環を分離して修正をしてあります。

Dscf0283671 真鍮のままというわけには行きませんので塗装をしました。PEN-Wはフードが似合いますね。これで完成。