今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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国鉄勤続表彰のセイコー・スーパー

2012年11月07日 23時29分20秒 | インポート

Dscf028515 オークションでセイコー・スーパーの不動ジャンクを入手しました。1954-1月製と、たぶん私の誕生日と数週間の違いで製造された個体でしょう。裏蓋には「永年勤続功績者総裁表彰記念・日本国有鉄道」と彫刻されています。表彰の記念時計には鉄道時計は使わないのですね。この時計を授与された方は恐らくご存命ではないでしょう。それで、処分品として流失したものと思いますが、これを手に入れ方が、不動を治そうとして裏蓋を開けてテンプ付近をごちゃごちゃに壊してしまって、手に負えなくなってジャンクで手放した。というところでしょう。しかし、カメラでも時計でも、下手の何とかはあるものです。ケースはステンレス製のため、大きな劣化はありませんが、手垢の堆積から、自慢で永く身に着けていたことが偲ばれます。テンプですが、天真が折れており、ひげゼンマイもびょ~んです。耐震装置が無いので、不注意により落下をさせて天真を折って不動となったものを、後年、手に入れた方が治そうとしてこのようになったものでしょう。不器用な方は無理なんだって・・

Dscf028616 ピンボケですみませんね。そろそろマクロに強いデジカメに変えないといけませんが、どなたか古いので良いのですが、余っていませんでしょうか? で、いつもように洗浄を終えて輪列を組んでいます。右上の香箱車の中にゼンマイが仕組まれていて、二番車から四番車までの伝達が分かりますでしょうか? 歯車を伝達して行くと共に、回転のスピードを上げて行き中央の四番車には秒針が付くのですよ。

Dscf028701 輪列までには問題はありませんでしたね。ガンギ車を介してその後が問題でした。左上のアンクルはガンギ車の回転運動を往復運動に変えてテンプに伝達する役目ですが、これが、テンプを無理に入れようとして変形がありましたので交換しています。テンプは天真とひげゼンマイが不良のため、組み直しではなく、良品と交換しています。テンプは旧式なチラネジ付きなのに注意。

Dscf028810 これが彫刻入りの裏蓋。摩滅状態から、何十年と長期間の使用はされなかったと推測します。よってケースの状態も悪くはありません。文字盤にはシミがありますが、これも比較的きれいで、長期の使用機ではないこと示しています。落下によって天真を折ったために使用を中止したものかも知れません。しかし、修理歴はありましたね。

Dscf028722 完成した機械に文字盤を取り付けています。ケースは洗浄をして当時の雰囲気を残すように軽く磨いてあります。風防は、バブルっぽい形が良いので、こちらも研磨をして再使用とします。

Dscf028811 ケースに収めてリューズと針を取り付けています。この個体の秒針の色は黒に見えますが、裏面の吹き回りを見ると紺色だと分かります。秒針の塗装色は他に赤、茶、青などのバリエーションがあります。針同士の接触が無いことを確認して風防を取り付けます。

Dscf029013 この頃の腕時計には茶色のベルトが似合いますので、仮に取り付けてみます。ベルトのラグ幅は16mmと、現在の標準的な18mmより、かなり細く、時計もボーイズサイズです。国鉄の表彰記念品ですから、ベルトと同じ色のぶどう2号色の旧型国電とツーショットです。