今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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タイマーフリーズのPEN-FTとセイコー・ユニーク

2012年11月25日 14時21分44秒 | インポート

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30万台の程度は悪くは無いFTですが、この状態でフリーズをしてしまって、巻上げも出来ない状態で来ました。これは、良く見る景色です。巻上げが不完全な状態でセルフタイマーを掛けてしまったのでしょう。或いはセルフタイマーを掛けている時に、無意識に巻上げレバーを巻いてしまったとかね。すると、動作がかち合ってしまい、にっちもさっちも動けなくなります。過去にも何回かご紹介していますので、FT使いの方たちは空シャッターで遊んでいる時には気をつけてください。

Dscf029245 ちょっとイヤなのは、アンダーカバーを外すとアルミのような切り粉がパラパラと落ちて来ましたよ。どこからでしょうね。ダイカストかな?

Dscf029313 結局、巻上げのゴリツキ以外は特に問題の無い個体でしたね。ハーフミラーは交換して、通常のオーバーホールで終了しています。巻上げの感触も改善しています。トップカバーのシリアル№の色入れが抜けていましたので、入れ直して完成しています。

Dscf029413 セイコー・ユニークというモデルをオーバーホールします。ユニークは、いつもやっているスーパーの機械を改良した製品で、スーパーは諏訪精工舎の製造でしたが、このユニークは第二精工舎(亀戸)へ製造が移りました。1955年からの生産ですが、この個体は1956-9月の製造です。全体のコンディションは良好で、風防と文字盤に劣化が感じられる程度で、機械は未分解か、一度の分解を受けた程度でしょう。受けの留めビスが長短、使われるところが間違っていたので・・

Dscf029523 基本的にスーパーと同じ構造のため、眺めは全く一緒でしょ。リューズを巻く鼓車なども全く磨耗をしていません。洗浄した二番車、三番車から組み込んで行きます。スーパーの機械より、カッチリきつめの感覚で、精度はピタッと決まる感じがします。

Dscf029617 リューズの巻き芯の錆加減を見れば、使われていた状況が想像できますが、洗浄した巻き芯は全く錆が無くきれいです。製造がスーパーより新しいせいか、テンプの振りも大きく、確実な動きをしています。

Dscf029747文字盤の程度はまぁまぁで、S入りのレトロっぽい雰囲気はこのましいと思います。次に針を入れます。この表面が丸い針も、スーパーならプレスの折り曲げですが、こちらは裏面はフラットで無垢の作りです。

Dscf029846 この個体も記念品の彫刻入りでした。「船工協記念」となっています。船の竣工記念でしょうか? どちらにしても、必要で購入された時計ではないので、あまり継続的に使用はされなかったのだと思います。

Dscf030012 最後にベルトを付けて完成。中々良い雰囲気ですね。現在の加工方法では、このような味が出せないのは不思議です。スーパーよりは新しいと言っても56年前の製品ですから、保存状態はかなり良いと思います。

Dscf029414 今日は忙しいな。またカメラに戻りますよ。20mm、25mmなどが付属してきましたが、どれも中々程度がよろしい。しかし、分解組立が不完全で、どことしてがっちりと組まれていないので、鏡胴がグラグラしているのですね。全て分解をして、グリスも含めて組み直しとなりますね。