関東地方は9月に入っても気温の高い日が続いています。早くすがすがしい秋が来ないかなぁ・・PENもあまり来ないので時計をやっています。PENの修理ご依頼をお待ちしております。で、この腕時計は国産初のアラーム腕時計、シチズン・アラームデイトです。セイコーにもベルマチックというアラーム腕時計がありますが、こちらの方が発売は早く、1958年から発売されましたが、このモデルは、1965年ぐらいの製造だと思います。ケースの研磨をしますが、今回は風防などは分離せずに研磨をするため、リューターで磨きます。むやみに磨いてしまうと、シャープなエッジが消えてしまいますので慎重に研磨をして行きます。
ケース本体のラグ部分は、3面カットに仕上げられていますので、エッジを消さないように、最小限の磨きに留めます。
風防ガラスのキズも研磨で消してあります。ケースとドッキングをして全体の研磨をしておきます。
シチズンの場合は、ベルはハンマーを裏蓋のダボを叩くことで音を出す構造です。ですから、ケースと裏蓋は、どの位置でも良いというわけではなくて、ケースのノックピンと裏蓋の穴を合わせて位置決めをします。こちらの方式の方が、セイコーよりベルの音量は大きいようです。
裏蓋の細かなキズはヘアラインを再生して消してあります。裏蓋の表側にダボのカシメ痕がありますね。(STAR)の刻印は、シチズン純正を意味します。製造されてからの時間を考慮すると、ケースのコンディションは悪くは無いと思います。
研磨したケースに機械をケーシングして2つのリューズ(巻き芯)セットしようと思ったのですが、これが素直に収まってくれません。オシドリなどにガタが多くて正常な状態に収まらないようです。分解の予定はありませんでしたが、文字盤を外して様子を見ます。
結局、ガタが原因ですね。やっとセット出来ました。この機械は、時計の動力用とアラーム用に2つの香箱(ゼンマイ)を持っています。左右に角穴車があります。各部の注油をしておきます。しかし、別の時計から移植したような丸っこいリュウズがアンバランスですが、操作性は非常に良いものです。
画像では7時の短針の下に隠れていますが、4本(4H)の針を正確な位置に取付けるのはちょっと面倒です。文字盤は、時代なりに腐食やカビがあるのが残念です。
これで完成です。風防ガラスは研磨をしてあります。アラームの持続時間は10秒ほどですから、セイコーベルマチックと大差はないですね。果たして、この音量と持続時間で、飲酒して寝込んだホテルのベットから起きられるか? ちょっと心配ではあります。まぁ、60~70年代のアナログ時代の雰囲気万点の腕時計。玉数は少ないですから、見つけるのには努力が必要です。
続いて笹原ペンさんから譲っていただいたオメガ・ジュネーブです。文字盤とインデックス、針に腐食があって水気が浸入していたことが懸念されましたが、裏蓋が固着をして開けることが困難な状態でした。何とか少しずつ緩めるとゴムパッキンが噛み込んで来る状態。やっと裏蓋を開けましたが、防水性能が落ちて、水が浸入したために、ネジ部が激しく腐食しています。長い間、メンテナンスをしなかったために、ゴムパッキンが劣化したのでしょう。
仮の清掃で文字盤の汚れは多少拭き取りましたが、インデックスは地金が出ている状態。針は外して研磨します。
キャリバーは565と定番のオートマチックです。製造№から1970年の製造のようです。自動巻き機構から分解して行きます。
この頃の機械は銅色にメッキをされていて高級感があります。地板の外周は腐食で色が変わっています。歯車などには腐食はないようです。これから超音波洗浄をします。
機械の組立は終っています。確かに良く出来ているユニットだとは思いますが、セイコーと比べて圧倒的に良いかというと、それほどでもない印象。長期に渡ってメンテナンスをしなかった個体でテンプの天真が磨耗しており、精度は安定しません。自動巻きユニットをドッキングして完成。
文字盤と針を磨いて取り付けています。ケーシングをして裏蓋を閉じます。
オメガの中では中級モデルとのことですが、風防にベゼルがないため、文字盤が大きく見えてケースも薄く感じます。当時としては、新しいデザインだったのでしょう。カレンダー付きの自動巻きモデルですから、普段使いには良いと思います。