以前に入手しておいたセイコーのクロノグラフ 6139-7010 です。風防ガラスは割れてリュウズも欠品しているというジャンク状態。ケースも傷があります。しかし、この種のモデルに多い分解歴は無いようで、文字板は無傷です。これだけでも貴重です。クロノ針の蛍光オレンジも退色していますね。赤色のモデルも存在するようです。機械をO/Hするまえにケースを仕上げておきたいですね。
ケースとべセルの傷を研磨してケースはヘアライン仕上げとしてあります。風防ガラスは純正を見つけることは至難で、あっても高価ですが、北海道のINOBOOさん経由で時計店さんの在庫を譲っていただきました。純正はハードレックスです。リュウズも幸い入手することが出来ました。では、やらなきゃならない雰囲気ですね。
そうそう、このブログはOCNを利用していたのですが、近いうちに閉鎖になるとのことです。どうしようかな?
で、完全に清掃したインナーリングとパッキンをセットします。
パッキンに風防ガラスを正確にセットしてからベゼルを圧入しました。アップすると、取り切れない打痕が見えますね。しかし、オリジナルの形状を変えたくないので程々にしています。
文字板をセットして様子を見ます。ブラック一色で計器みたいで気に入っています。
ボタンの傷を研磨して消しておきました。リュウズをセットして。。なかなか良い雰囲気。では、機械を仕上げないといけなくなりましたね。
すべて分解洗浄をしたところ。キャリバーは6139Aで機械落径27mm厚み6.65mm 振動数21.600回/時(6振動)の小さな機械に、従来では困難とされいた自動巻機構を装備した優秀な機械です。普通の腕時計より複雑な機構と、クロノグラフの微妙な調整が難易度の高い機械ですね。
構造が複雑なので、組立手順は技術解説書通りに行います。(組めなくなってしまうので)各部の注油も指定通りの油脂を使います。
まずは、基本の部分から組んでいきます。香箱、二番車、三番車、ガンギ車をセットしていきます。
クロノ部分を載せて複雑になってきましたね。
テンプ側から。さらにこの上に自動巻機構が載ります。
この機械には軸受部の保油装置としてダイヤフィックスが使われていますが、何故かバネが欠落していましたので、手持ちから追加をしておきます。
カレンダー機構を組んでいます。この個体は、曜日が完全に切り替わらないという不具合がありましたので、慎重に組んでいきます。日車はリュウズをプッシュすることによって早送りが可能ですので、その作動も確認しておきます。
文字板をセットして、仮に針を置いてみます。すでに夜光塗料は劣化して発光はしません。カビのような汚れもありますから取り除いてやり直すことにします。
現在入手出来る塗料は蓄光塗料ですね。長短針共塗り直してあります。オレンジ針は蛍光塗料のため退色していますが、剥げはないので、このまま再使用としました。
完成したユニットをケースに収めてから自動巻機構を組み込みます。マジックレバー式のため部品点数は少なく、ひどい摩耗はありません。最後に回転錘(ローター)を取り付けて組立完成です。この後、歩度調整をして裏蓋を閉じます。
裏蓋は軽く研磨をしてあります。仮に革ベルトを付けてみますが、ラグ幅19mmなのにすごくナローに見えますね。如何にケースが巨大かです。すでに上の発停ボタンをを押してオレンジ針が正常に作動をしています。もう一度ボタンを押して停止です。
下のボタンを押して瞬時にオレンジ針が帰零します。O/Hをしていない個体は針の復帰が緩慢になりやすいですね。
このモデルは多くのデザインバリエーションと機能があって国産腕時計としては珍しく海外にもファンが多いクロノグラフです。ダイバー用のゴムベルトでも似合うと思いますが、オリジナルはステンレスベルトですからデッド品を探したいと思います。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/