今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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最初から不良のPEN-S 3.5の巻

2016年11月20日 22時15分58秒 | ブログ

一昨日辺りから喉が痛くなりましてね。注意はしていたのですが、今日は本格的?な風邪になってしまいまして午後から寝込んでしまいました。インフルエンザの流行っているようですから皆さん気を付けましょうね。で、腰が痛いのを我慢してやったところまでUPです。この個体は里帰りのft機ですね。シュー周りが、海外ものにしては腐食がありますね。前面ガラスや対物レンズはすでに脱落していました。

最初の点検で気になったのが・・シャッターリングがガタガタしています。この場合、通常はシャッターユニットと本体(ピンセット)を留めるネジの緩みなのですが、この個体は緩んでいませんよ。寸法を測ってみると、真鍮皿ネジの座繰りが深すぎるのでした。これは、工場で組んだ女工さんは不良で撥ねないといけなかったですね。

画像の通り(と言っても見にくい)ネジの不完全ネジ部まで裏側に出てしまっているのです。これでは、いくらネジを締めても留まりません。

 

ワッシャーを入れるわけにもいかず、良品と交換することにしました。しかし、完成検査でも発見できなかったのですね。この頃は抜取検査に移行していますからね。

 

シャッターをすべて分解して洗浄します。

 

 

スローガバナーの先端にキズがあります。これは結構シャッターを切っている証拠です。症状が進むと低速停止などの症状が現れます。

 

 

例によってターミナル接片の半田付けが脱落していますので再半田付けをしました。ここで、体調が限界となりました。みなさんおやすみなさい。

 

どうも。ひどい風邪を引いてしまいました。あまり改善しませんが始めます。でと、イメージでは3.5の輸出機であれば、程度は良い印象がありますが、この個体はそうではありませんね。水気が多い感じです。カム板も緑青を噴いています。

それを研磨して(風邪の時に水溶きはつらいです)取り付けます。スローガバナーを取り外しましたので、カムとの当たりを調整しておきます。

 

でも、製造が新しい分レンズは良かったです。ヘリコイドグリスを塗布して組み込みます。

 

やれやれ完了かなと思ったら、裏蓋もあまり良くなかったです。角のへこみが気になります。なるべく修正をしておきます。

 

これはご依頼にも無かったし、見なかったことにしようと思ったのですが・・先端部が激しく錆びています。このまま放置すると錆が進行していますのでう~ん、ほっておけません。

 

浮き上がった塗料をめくっていくと、どんどん広がってしまって・・すでに錆は深いのでタッチアップということではすまなくなって来ました。止めておけばと思っても後の祭り。画像はプライマーを塗布したところ。

 

結局、筆塗りでは無理でエアブラシにより塗装しました。自然乾燥塗料の塗装は返って難しいです。まぁ、母材の保護ということで。

 

本格的に直すのであれば焼付塗装を行います。意外に状態がよろしくなく工数が掛かってしまいました。シャッター完成 昭和41.2 製品完成1966-3。昭和34年4月公布の輸出品デザイン法による日本写真機検査協会の輸出品検査シール(PASSED)が貼られていますが、製品が小さいので、この位置にしか貼れなかったのでしょうかね。私が海外の購入者だったらすぐに剥がしたいところですが、正規輸入品として剥がしてはいけなかったのかな。輸出検査では、この個体の不良は発見できないということですね。

追加がありました。チノン 35EE-Ⅱという珍しいカメラですね。絞り優先AEの電子シャッターですが、シャッターの動きが正常ではないようです。じつは2台ありまして、もう一台は電池室液漏れからシャッター部まで腐食破損していました。

それがこちら。この個体は諦めるしかありません。

 

 

電池X2が特殊なので簡易的にセットして作動を見ています。注油によって光源によってシャッタースピードは変化するようになりました。シャッターを切った時とセルフタイマー作動時はファインダー横の赤LEDが点灯します。基板は生きているようです。

巻き上げレバーの化粧プレートは溶剤を滴下してテープで剥がします。

 

 

巻上げ部分に電子基板が見えますね。アイビースの右にLEDがあって、中央の緑が点灯すれば適正露出上下はオーバーアンダー。こちらも正常に変化するようです。

 

コンパクトでも距離計連動レンジファインダー。しかし、二重像は小さくて見にくい。曇っていましたので清掃をしておきます。

 

外装はオリジナルの方が黒アルマイトの状態は良いのですけど、へこみは致命的です。アルミアルマイトの宿命です。少し赤味となっている別個体のカバーを使います。Lの右下が隆起しているのはピンセット先のカバーの高さ調整用ネジが突き上げているもの。両方同じ状態。PEN-FTでも同じ問題があります。

コニカC35に似ているとか言われますが、この時代のコンパクトの流行りですからね。CHINONEX COLOR LENS38mmは写りで定評があるようです。機械式プログラムシャッターではないのでメンテナンスとしておきます。

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