今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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遊んでましたの巻

2017年02月05日 22時07分56秒 | ブログ

すみません、限定修理のPEN-FTを終えてから自分の時計を研究していました。オリエントスター・ダイナミック(どこがや)というモデルですが、1956年から発売されてヒットとなったモデルでして、現在でも同じペット名の復刻モデルなどが発売されている由緒正しいモデルです。セイコーでは、スーパーからマーベルの頃でしょうか。セイコーも好きですが、同じような雰囲気のオリエントも好きですね。この個体は耐震装置が付いているモデルです。ケースの状態などはステンレスのため良いコンディションですが、文字盤がいけませんね。

この当時の腕時計は非防水のため、殆ど3時の竜頭の位置が腐食していますね。手持ちのデッドストックには適合するサイズがありませんでした。

 

あらあら、アップルパイが来ちゃいますと作業は中止です。

 

 

いっそのこと、塗装で黒文字盤にしようかと思い、剥離剤を塗布しましたが反応がありません。はい、ここは塗装ではなくメッキだったんですね。素材は銅でニッケルのような下地の上に装飾メッキが施されていました。インデックスの金メッキは残したいので化学剥離は出来ませんから手磨きでシコシコ落としていきます。さて、どうなりますか? 取りあえず進捗があれば続きをUPします。

粗削りでメッキを落としたところ。銀色のメッキ層はニッケルよりは柔らかな錫のような感じ。これから、インデックスの稜線までヤスリの番手を上げて平滑面になるように研磨をして行きます。

 

自然乾燥塗料とも考えましたが、追加工やクリヤー塗装をすることを考慮して塗膜の強い焼付塗装としました。下塗りのつもりでしたが、丁寧に下地の研磨をしたことから、まずまずの仕上がりのため、これで良しとします。画像は仮にケースにセットをして針を置いたところ。やはり外周の秒インデックスと文字がないため殺風景な印象です。タコ印刷が出来ると良いのですけどね。インクジェットプリンターの簡易印刷も試してみましたが上手く行きませんね。特に金文字は再現できないし・・。どなたか裏技などありましたら教えて頂きたいものです。一見、セイコーマーベルにも見えますが、12時下のマークでオリエントと分かります。

 機械をオーバーホールしておきます。コンディションは悪くはなく、たぶん過去に完全分解はしていない(注油のみ)と思われます。サイズはセイコー・スーパーと同じ10型です。地板にテンプだけ取り付けて、振り石がドテピンの中央に来ているかを確認しておきます。

 

 カレンダー機構も何もないシンプルな機械ですので、部品点数は少ないです。超音波洗浄をしておきます。

 

 

ゼンマイの入る香箱車は小さいため、それではと、当時物の工具ピスターでゼンマイを巻いてセットします。

 

 

地板と受けの嵌め合いが硬いです。かっちり精度が良いというよりも、多少無理に押し込んでいるような感じで、輪列のホゾが入っているかの甘組みでは感触が分かり難く組みにくいです。

 

丸穴座はヤスリ掛けをされた形跡があります。工場で修正をしながら組んだようです。

 

 

耐震装置付(SHOCKRESIST)ですから60年代に入ってからの個体でしょうね。設計はオーソドックスというかセイコー・スーパーと極似していますね。チラネジ付のテンプと小さな耐震装置。

 

 

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