リターンミラーが剥離したPEN-FT #2311XXですが、この時点でミラーを接着するだけの限定修理かO/Hかが決まっていません。観察するとすでに過去にも剥離をしていて、再接着を受けていますね。この接着剤はセメダインの多用途型(黒)かなぁと思いますが、リターンミラーの接着には向きませんね。
トップカバーを開けて見ると・・電源のリード線が紫色。渋いですね。たぶん電池室の液漏れにより交換をしたのでしょう。プロの仕事です。しかし、Cds部の遮光テープは無いし、モルトも省略されているようです。
ルーペ基部のモルトも古いモルトはきれいに取り去られているのですが、新しいモルトを貼っていない。見えないからいいかな? と悪魔のささやきがあったのでしょうか?
23万台の頃ですと、セルフタイマーの留めネジ位置がレンズマウントに近いので、マウントを外さずにタイマーユニットを分離しようとすると・・画像のようにドライバー軸でマウントが削れてしまいます。みなさんの愛機も見てください。これは非常に多いです。30万台の中頃から、ネジ位置がマウントから離されてドライバーが干渉しないようになっています。ふだんSSからのフィードバックでしょうか。この変更によって、セルフユニットの穴位置も二種類存在します。
で、ミラーホルダーです。ちょこちょこっとヤスリ掛けをして貼ったのね。古い接着剤をミラー共、完全に清掃をしておきます。
接着完了。前板に組み込んでいきます。
リターンミラーユニットの調整ネジ部が曲げられていますね。これはダメですよ。ここで、オーナーさんからのご連絡が入りました。状況からO/Hにされるそうです。
23万台ですでにテンションスプリングは条数の多いタイプに変更されていますね。シャッターユニットは悪くはありません。
この個体はリターンミラーユニットに問題があったようです。⇧のバネカケの角度が変です。これは、ネジが緩んで軸との嵌め合いがズレているのです。このような場合、テンションが落ちてリターンミラーが復帰しない症状になります。急速回転する部分ですので、緩み止めを塗布していないと容易緩んでしまいます。
結局、バネの掛かり位置も不適で、調整をしてあります。
メカ部完成。ハーフミラーはすでに社外品と交換されていましたので再使用としてあります。
付属は25mm f2.8ですけど、過去にカビの清掃を受けていますが、結構厳しい状況ですね。
問題は前玉です。ここは2枚貼り合わせですが、その接着面が水滴状に見える劣化があります。カビ痕もありますね。
不具合がリターンミラーの作動ユニットに集中していましたが、ファインダーのピント調整も出来てめでたしめでたし。人様の修理機は思わぬところで落とし穴があったりしますので気を抜けませんね。
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