「遅れて来たペンマニアさん」からマニア向けの3台が送られて来ました。まず、このPEN-Sブラックですが、中古店さんで美品として売られていたそうです。しかし、私は見た瞬間にあっと思いました。私も職人ですから自分の作ったものは瞬時に分かります。
当ブログを継続で見てくださる方でしたらお気づきと思います。ネジのゆるみ止めの色を見てください。リペイント機を作っていると、いつかこのように流通してしまう懸念は心配でしたが、それだけに完全にオリジナルコピーではなく、販売のプロが鑑定すれば分かるように作っていたのですけどね。しかし、「本物の美品」として売られたものか、単に「後塗り美品」として売られたものかにもよると思いますけどね。
では次の三光PEN #1070XX ですけどね。もうこの時代になると、部品の劣化と過去に何度も分解を受けているのが普通ですからね。初期型に付いていた乳白色のレンズキャップが貴重ですよ。
で、外観で気になるのはファインダー樹脂の白化と左前面のへこみです。白化している部分と、していない部分がきれいに分かれています。これは同じ石油系で出来ている発泡材やビニールなどが長期に渡って付着していたことが原因かも知れません。劣化は深そうです。
こちらの打痕は修正しておきますが、自動車のデントリペアのような完全は無理です。
白化は一皮むくしかないですね。打痕は出来るだけ修正をしておきました。
では、ジョンブリアンもあるので画像は少なめで。ダイカスト本体を洗浄して組み立てていきます。
レンズは後玉にダメージがありますが、このレンズの持病です。極初期型も見れば普通でしょう。
対物レンズは初期ですから樹脂製ですが、ちょっと曇り気味です。しかし、拭くと傷と曇りが大きくなりますので程々にします。
仕上がってみれば結構きれいですね。「遅れて来たペンマニア」さんは三光PENの収集家になってしまいましたね。私の作業記録帳を見ても相当ありますよ。
ジョンブリアンの方もファインダーの樹脂が劣化していますね。作業は三光PENと同じです。
過去に分解されていますがゴテゴテですね。こちらは対物レンズはガラス製となっています。黄ばみは進んでいますね。
で、ファインダーの研磨とトップカバーのへこみ修正をしたところ。
スプールの滑り機構は初期型の仕様です。スプール内径に拡張バネが仕込まれていてスプールの回転抵抗となっていますが長期間の拡張によりスプールにクラックが入っています。現存の殆どが同じです。クラックが大きくなっている個体はスプールの回転抵抗が軽くなっています。
ということで、とんだ子供との再会でした。遅れて来たペンマニアさんの手元に行って良かったです。
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