今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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犯人は私ですPEN-Sブラックの巻

2020年11月15日 11時00分00秒 | ブログ

「遅れて来たペンマニアさん」からマニア向けの3台が送られて来ました。まず、このPEN-Sブラックですが、中古店さんで美品として売られていたそうです。しかし、私は見た瞬間にあっと思いました。私も職人ですから自分の作ったものは瞬時に分かります。

 

当ブログを継続で見てくださる方でしたらお気づきと思います。ネジのゆるみ止めの色を見てください。リペイント機を作っていると、いつかこのように流通してしまう懸念は心配でしたが、それだけに完全にオリジナルコピーではなく、販売のプロが鑑定すれば分かるように作っていたのですけどね。しかし、「本物の美品」として売られたものか、単に「後塗り美品」として売られたものかにもよると思いますけどね。

では次の三光PEN #1070XX ですけどね。もうこの時代になると、部品の劣化と過去に何度も分解を受けているのが普通ですからね。初期型に付いていた乳白色のレンズキャップが貴重ですよ。

 

で、外観で気になるのはファインダー樹脂の白化と左前面のへこみです。白化している部分と、していない部分がきれいに分かれています。これは同じ石油系で出来ている発泡材やビニールなどが長期に渡って付着していたことが原因かも知れません。劣化は深そうです。

 

こちらの打痕は修正しておきますが、自動車のデントリペアのような完全は無理です。

 

 

白化は一皮むくしかないですね。打痕は出来るだけ修正をしておきました。

 

 

では、ジョンブリアンもあるので画像は少なめで。ダイカスト本体を洗浄して組み立てていきます。

 

 

シャッターも過去に分解されています。特に問題はありません。

 

 

レンズは後玉にダメージがありますが、このレンズの持病です。極初期型も見れば普通でしょう。

 

 

対物レンズは初期ですから樹脂製ですが、ちょっと曇り気味です。しかし、拭くと傷と曇りが大きくなりますので程々にします。

 

仕上がってみれば結構きれいですね。「遅れて来たペンマニア」さんは三光PENの収集家になってしまいましたね。私の作業記録帳を見ても相当ありますよ。

 

ジョンブリアンの方もファインダーの樹脂が劣化していますね。作業は三光PENと同じです。

 

 

トップカバーの打痕が目立ちますので修正をしておきます。

 

 

過去に分解されていますがゴテゴテですね。こちらは対物レンズはガラス製となっています。黄ばみは進んでいますね。

 

で、ファインダーの研磨とトップカバーのへこみ修正をしたところ。

 

 

スプールの滑り機構は初期型の仕様です。スプール内径に拡張バネが仕込まれていてスプールの回転抵抗となっていますが長期間の拡張によりスプールにクラックが入っています。現存の殆どが同じです。クラックが大きくなっている個体はスプールの回転抵抗が軽くなっています。

 

ということで、とんだ子供との再会でした。遅れて来たペンマニアさんの手元に行って良かったです。

 

 

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