革ケース入りのPEN-FT #1747XX の買い取り機を整備せよとのことです。ケースに入っていたにしては汚れ放題でシボ革が茶色になっていてトップカバーの傷も多いです。道具として使われたのでしょう。ケースはF用で三脚ネジ部をFTに合わせて穴開けされたようです。それによって微妙に穴位置が合わず、アンダーカバーを傷にしています。
38mmが付属していますが、レンズの汚れがあります。このレンズはカメラとセットで出荷されたものではなく、レンズは後期の生産(設計変更後)後年買い足されたものですね。ほぼ普通には動きますが巻上げのゴリツキは大きいです。大人の事情で修理工賃を節約した簡略メンテナンスをする予定でしたが・・
これを見ちゃうとね。内部のギヤ列も古いグリスとホコリでぐちゃぐちゃです。仕方がないので完全分解で洗浄から始めることに変更します。
こういう時に限って厄介が起こります。スプールシャフトを留めている3本のネジのうち1本が折れていました。この頃は真鍮ネジが使われていて折れやすいのです。画像はドリルでネジを削り取り、M1.7のタップを立て直したところ。ではスプロケット軸から組み立てて行きます。
シャッターユニットなどは変更前のユニットですが、幸い不具合は無くメンテナンスを終えています。プリズムのコーティングも良好でした。電池室からのリード線は交換してあります。
セルフタイマーのリンケージレバーを取付けてタイマーを作動させてみると・・レバーが上昇せず↑レリーズ←に追従しません。これはセルフ側のバネの張力劣化とレバーの取付ネジを締め込むと動きが重くなるためです。両方を改善させます。
ちゃんと追従してセルフタイマーが作動するようになりました。セルフレバーがお辞儀をしています。
付属の38mmはフィルターリングにアタリがあり変形をしています。
レズを装着して作動を確認します。光学系はハーフミラーは交換しました。あとは露出計の調整やピント調整をします。
一緒に来たPEN-EEですけど、汚れ具合がPEN-FTと一緒なので同じ所有者さんだったのでしょう。針押えを見ると1/30.1/250の2速タイプですからEENです。露出メーターにカバーが付いているタイプは古いので、セレンが生きているか・・あっ生きてましたね。それでしたら直します。現状はシャッター不動、絞りも不動です。
シャッターの不動の原因はシャッター羽根ではなく、ガバナーなどの軸の作動不良です。分解して洗浄します。
EE精度を点検して真鍮製のカバー(以後は省略)を取り付けます。
EEはセレンが生きている個体が少なくなっていますのでラッキーでしたね。PEN-FTは17万台という微妙な時期の個体で、使われているユニットが改良前の仕様なのと、とにかく製造が古いので露出計の精度に不安がありますが、この個体は感度は良好でした。2台共露出計に恵まれましたね。