シャッター不調のリコーキャディが来ました。オリンパス・PEN-Wと並んで25mmの広角レンズの写りは定評があるようですね。この個体はfeet機なので北米辺りからの里帰り機でしょうかね。特徴的な巻き戻しダイヤルのポップアップがゴリゴリでスムーズではないのかまず気になりました。かなり摩耗といじられた形跡があります。そもそもストッパーネジが+の皿ネジが入っています。頭のサイズが大きく干渉しているのです。海外修理はこんなもの。
ストッパーネジを作り直しました。グリスを塗布してスムーズに上下するようになりました。
で、問題のシャッターですが、その前に中玉が親の仇のように外れません。あの手この手でやっと分離しました。しかし、PEN-Wのレンズと違ってリコーのレンズは曇りやバルサム剥がれなどがなく良い状態を保っているのでその点は有り難いです。
精工舎のシャッターは繊細な作りがしますが、スローガバナーのギヤが激しく腐食しています。これでは低速は動きません。
ガバナーのギヤやアンクルは精度が非常に大切です。ギヤの表面処理が通常のメッキではないのが錆びの原因です。特にガンギ車を損傷させないように錆の除去と超音波洗浄を行います。
左端のアンクルの動きが問題でした。分解をして軸の研磨をして組みます。
ファインダーのレンズを清掃します。一見、PENによく似たユニットですが、現在も作動する露出計が内蔵されているのはキャディーの勝ち。
底部の巻上げ機構を清掃とグリスを塗布します。巻上げダイヤルはPENより大径なので、巻上げは軽いかと思いきや、結構ギッチョンという感触。
裏蓋を閉める時、トップカバー下端にあたる傾向がありまして・・観察するとトップカバーの留めネジ部に製造時は調整ワッシャーが入っていた形跡があります。途中の分解で無くされたようですので追加して組みます。裏蓋は接触しなくなりました。
デザインもオーソドックスで目立たないカメラですが、ハーフの撮影派にとってはPEN-Wと同じくらいの評価があってよいカメラかも知れませんね。