久しぶりにPEN-FTが来ましたけど、このカメラは何百台か修理をして来ましたが、少し時間を空けて掛かってみると、「こんなに工数の掛かるカメラだったかなぁ」と思いますね。皆、同じように組んでも、それぞれに個性があって思ったように仕上がってくれない。それをどうやって修正して行くかという作業になりますね。オーナーさんが入手した状態とのことでしたが、外観は手垢で汚れ放題でしたので、分解・洗浄をして組み立てて行きます。
今回は細かいところは飛ばします。この個体#3056XXは過去にSS系の修理を受けています。30万台初期とするとシャッターユニットが最後期型ですので、或はユニットを交換されているかも知れません。点検のところ、特に問題はありませんが、チャージギヤと軸に多少の摩耗があり、2回巻上げの傾向があります。洗浄とグリス交換をして行きます。
30万台でこのユニットが使われているかギリギリのところですけど。メインバネのテンションが、通常より低く組まれていました。張力劣化を考慮して、通常位置で組みます。
プリズムのコーティングがゴシゴシやられて剥がれています。ここは優しく拭かないと・・
スプロケット・ロアーギヤが異常に錆びていまして(錆落とし後)軸と歯車も腐食が進んでいました。なんでこのギヤだけ? これも2回巻き上げに影響があるかも知れません。交換部品はありますが、ん~、今回は再使用で。
ハーフミラーは新品として組立完成。露出計の調整とファインダーのピント調整を行いました。過去に調整を受けていますが、少し後ピンでした。このカメラは単に作動すれば良いではなく、作動のフィーリングや操作感などを考慮して組むことによって仕上がりが変わってしまう難しさがあって、未だに極意が分かりません。
2台共良いコンディションとなりました。ハーフカメラファンの皆さん、頑張りましょう。