初期型のPEN-FT #1496XX (1967-7月製)は汚れた革ケースにレンズとシューアダプター付きで、どう見てもお家の形見のような出で立ちですが、オーナーさんからいわれはお聞きしていません。で、初期型を修理依頼するとは良い心がけです(笑)
ざっと点検すると、シャッターは切れるがフリクションが大きく露出計は不動(でしょうね)で、付属のレンズ38mmは回転ゴリ、絞り羽根油、レンズ曇りなどあり。しかし、最近PEN-FT系の修理ご依頼が多いです。どうしたのでしょう?
いつものように分解清掃からの作業です。シャッターユニットは意外に初期型ですけど悪くはありません。摩耗もないです。初期のユニットはナット類が緩みやすいですが、点検のところ大丈夫でした。では、洗浄注油をして行きます。あっ、初期型なのでシャッターバネのテンションは低めです。
シャッター幕の軸受けに抵抗が大きい傾向があります。これは長期放置をした個体に起こりやすい軸受けの腐食が原因です。軽く回転するようにしてから組み込みます。
問題の露出計ユニット。初期型は調整抵抗は半固定抵抗が使われていました。何とか動かすことに成功しました。ただし、感度はかなり低下していて調整抵抗一杯です。ハーフミラーは新品と交換しました。
メカ部の組立ほぼ終了。セルフタイマーのリンケージの戻り不良を修正しておきました。リターンバネの形状が初期は弱いのです。
長期間シューアダプターを取り付けたままにしてあったので、トップカバーのメッキに腐食が出てしまいました。シューの取付面にも腐食が出ていて、接眼側を傷にしますから取付けない方が良いです。
全て分解洗浄で組み立てます。絞りリングの作動面が激しく錆びています。(スチールボールも)
初期型特有の巻上げ軽くシャッターは快調となりました。レンズも大丈夫です。問題は、長期に動いていなかった個体に多い、リターンミラーの接着剥がれですがしばらく気を付けてください。シャッターを切った時に異音を感じたらシャッターを切るのは止めること。剥がれたミラーがスクリーンを傷つけます。