広島のご常連さんからFT3台が来ていましたがブラック1台にして頂きました。この個体#2541XX(1968年11月製)はシャッターの調子は悪くはないと思いますが・・
また、電池をセットしても露出計が動きません。25万台なら動くと思うけどなぁ・・
25万台で露出計が動かないのはこんな原因だよなぁ、と予想はしていましたが、それにしても大量の電池液漏れを起こしています。裏蓋まで染みているのは見たことが無いかも?
裏蓋を開けてみると・・内部にも影響がありますね。塗装面にも染みているので塗料が侵されていて洗浄で剥がれる可能性もあります。
電池室から基板に来ているリード線も腐食をして断線しています。電池液はリード線の芯線を登って来るのです。これは全てやり直さなければなりません。
このような酷い電池液漏れの場合は、ガスが露出計のCds、基板、メーターを侵していることがあって不動になることが多いです。簡易的に導通テストをしてみると・・特性感度は別にして取りあえず動きます。まぁ、一安心と。予想以上の電池液漏れによるダメージを受けた個体ですが、これから修復して行きます。通常のオーバーホールは他と一緒ですから割愛します。
電池室のターミナルに新しいリード線を半田付けして取り付けます。
この個体には絶縁座(パッキン)が入っていませんでした。露出計が動かないので電池室を分解してみたものの・・パッキンを入れずに戻したのでしょう。初期型の場合は材質が紙に近いため、電池の液漏れにさらさられると崩れて無くなってしまうことはありますが、25万台ですから材質は樹脂になっているはずですから紛失でしょう。パッキンを入れずに組むとショートをしてしまうので、ストックから取り付けます。
完成したシャッターユニットを取付け、ロア・スプロケットギヤで巻上げ側と連結します。
25万台付近まではボトムキャップがダイカスト本体に接着されていますが、この接着が剥離している個体が意外にあります。今回はダイカストの洗浄中に外れましたので再接着をしておきます。以後は金属のキャップではなく、樹脂の〇型抜きに変更されますが、それに伴ってダイカストの型も変更されています。
25万台ではハーフミラーはこの程度が普通の劣化具合です。新品と交換します。
と、ここでまた問題。露出計の調整をしていると赤マークが出て来ません。メーターを分解してみると、セルの赤マークの接着が外れていました。もちろん再接着です。
最近、自分のお受けする作業は性能維持のオーバーホールなのかレストアなのか分からない時があります。今回の個体のように、電池の液漏れで放置をされていた個体を再び現役に戻そうとすると、いろいろなところに不具合が出て来るものです。お返しした後でも例のリターンミラーの剥がれなど、問題が発生するかもしれません。あとは付属のレンズの清掃をしますけど割愛します。