中古店様の商品の整備です。ローライ35T #6314XXXですがローライ35の生産が終了したのは1971年とのことで、その3年後の1974年に復刻されたモデルで仕様はローライ35と同じですが、クロームモデルでもカバーがアルミとなったり、組立に+ネジが多く使われたりしています。
アルミなのでトップカバーも簡単にへこんでいます。これは出来るだけ修正をしておきます。
微妙にシボ革も変わってシボが浅く材質も柔らかくなっています。この部分はオリジナルのローライ35の方が質感が良いです。
通常の整備をしますが、1つ大きな問題がありました。それは巻き上げをしていない状態でも沈胴ボタンを押してチューブを捻ると回転してしまうことです。原因は、巻き上げをしていない時に飛び出してチューブの回転を止めるロックレバーの先端部が欠けているためです。ローライ35使いでしたらレンズの収納は巻き上げをしてからは常識ですが、どこの世界にもセッカチや横着者は居るものです。
地板を分離しました。樹脂部品ですから力一杯にチューブを回せば壊れてしまうのは分かりますね。
ついでにスローガバナーのメンテナンスをしておきました。右から時計回りにレリーズを押すとシャッターが作動しています。
困ったこと2つ目。公差内の個体差かと思いますが、沈胴チューブをセットするスライダー工具がきつくて入りません。ローライ35ではこのようなことは起きたことはありません。フェルト部の内径が小さいのです。
沈胴チューブは別の方法で本体に取付けました。前カバーを取り付けて絞り、シャッターダイヤルを取り付けます。
へこみを修正してメーター窓の再接着をしたトップカバーを取付けて完成。カメラを直す立場から言うと35Tの方が新しいので露出計やレンズなどの状態は比較的良好なので作業性は良いのですが、トップカバーやシボ革の材質変更など、質感という観点からは少し残念に思うところもあります。