たまたまでしょうけど、最近送られてくるローライ35の程度がひどいものが多くなったような気がします。中古店の店長様も「仕入れは賭けだ」とおっしゃっておりました。特に露出計が故障しているものが多いです。メーターのコイル断線は修復できませんからね。このジャーマニーは、巻上げも出来ない。シャッターも下りない。完全な固着状態です。
強制的にシャッターを切ってみます。ロックは外れるが正常に作動していない。
トップカバーを開けてみると・・1976年に海外で修理を受けているようです。一見何でもないように見えますが、電池の液漏れを起こしたようで、左下、絞りからのリンケージが完全に固着錆びついて動きません。右のレリーズ部分も固着。メーターの追伸針用ギヤも固着。そもそもこのメーターは後期のもので交換されています。そのメーターもコイルの断線で使えません。ふぅ・・
スローガバナーをコントロールするリンケージが全く動きません。
トップカバー横の留めネジが折れてネジ孔に入ったままです。しかも、姑息にもネジ頭がゴム系接着剤で貼られていたのです。
↓はメーターユニットを留めるネジですが、そこにリード線が半田付けされています。なんでこんなところからアースを取るの? しかも赤リード線は抵抗に繋がっている。ショートしちゃうじゃん。意味分からない・・どっちにしてもこのメーターユニットは使えませんが。
メーターカバーを外してみます。↗の部分が錆びついていて追伸針を動かす板ギヤが固着しています。メーター自体も電池の液漏れによるガスの影響でダウンしています。このように電池の液漏れを起こすと、内部のメカが激しく腐食したり電気部品をダメにするので、電池の入れ忘れには充分注意しましょうね。
この個体も過去に電池の液漏れを起こして電池室の接点を修復されています。で、沈胴のロック爪が動きません。これはトップカバーの連動レバーが液漏れのガスによって可動部分が腐食して動かなくなっているのでした。
その修復された電池室の接点。しかし、再び腐食していて導通がありません。
しかし、上手く接点を修復していますね。これは参考になります。薄いリン青銅板をループ条に巻いて終端を半田付けしてありました。海外のリペアマンはこのように直すのかぁ・・
でも、私は手間は掛かってもオリジナルと同じ形で修復をしておきます。こんなのが続くのでローライ35も疲れます。
この個体は#3064XXXだからジャーマニー初期型になるのでしょうけど、巻上げレバーがプラプラになっています。この状態の原因は決まっていて・・
チャージギヤの歯が対角2か所欠損しています。電池室に入っていた古い電池がUK製でしたので、力の余っているイギリス人の仕業でしょう。今回はストックが辛うじてありましたが、このギヤは破損している個体が多いですので、どなたか3Dプリンターで製作してくださいませんかね? 大量に発注します。一部のオークションなどで簡易的に3Dプリンターで製作したものが出品されているのは承知していますが、精度と強度が保証出来るレベルの部品が欲しいのです。
本体に裏蓋をセットすると・・なにかしっかりと嵌らない感じでグラついています。カウンター板の中央はCリングが嵌っていて本体側の突起と合致することによって本体と裏蓋の一体性を確保するようになっているので、孔は空いているわけですが、何やら挟まっていますね。
表から見ると・・あぁ、この個体はトップカバー背面の化粧ネジが欠落していたのですが、なんと三脚孔に嵌り込んでいます。これは故意にねじ込まなければ起きない状況です。しかし、ネジ孔の奥は完全ネジではないので、入ったわ最後取り出すことが出来ません。あ~ぁ、どうすんの? このようにいろんな人が考えられないことをしてくれるので疲れます。
私は、どんな小さなな部品でも、ちゃんとしているものを壊すことは大嫌いですが、今回は仕方がありません。リューターで削りネジ孔から取り出しました。裏蓋を閉めてみるとロックキーがゆるゆるです。完全に閉まらない状態に合わせてロック爪などを調整されていたからです。しかし、なぜネジを嵌め込んだのでしょうね。孔が抜けているので光線漏れが起きると思って対策をしたのでしょうかね。