中古店様への修理ご依頼カメラです。シンガポールのローライ35 #3249XXX ですが、当初は沈胴の下降で来ましたが、全体のメンテナンスも実施することにします。画像のように、まったくフェルトのダンパーが利いていません。ここまでの個体は珍しいです。それだけ愛用されているのでしょう。
巻き戻しレバーは曲がっていませんが、軸を受けるプレートが曲がっているようで、レバーがトップカバーに接触寸前です。
使い込まれたことの証明でしょうね。スプール軸が摩耗して使い続けたために軸受けも拡大しています。ここまでの個体は珍しい。
軸受けを分離してみました。軸の先端がテーパ状に摩耗していて軸受けの中で遊ぶので軸受け内周に偏摩耗が起きています。本来は交換したいところですが、今回は清掃とグリス塗布としておきます。
過去に分解整備を受けていてファインダーも清掃されているようです。正規は透明テープですが、アセテートテープが貼られています。清掃をして透明テープを貼っておきます。
スプール軸上と受けも摩耗はありますが、下ほどではないです。清掃とグリス塗布をして組みます。
問題の沈胴フェルトですが、下に入る(入っていない個体もあり)調整用の紙片ですが、フェルトが紙片に接着されていました。普通は接着されていませんので初めて見ました。たぶん工場での作業だとは思いますが、フェルトと紙片を接着してしまうと、ちょうど内燃機関のピストンのピストンリングが固着した状態になると圧縮漏れを起こしますが、このカメラの場合もフェルトが自由に動けずチューブを保持できないのではと考えます。まぁ、紙片も厚いものを使ってやっと調整が取れましたので、フェルトの摩耗もあるのでしょう。
また問題です。シャッターユニットを分解して行くと・・パーツリストの⑥のシムが入っていませんでした。へぇ。入っていなくても問題なく動くんだぁ・・さて、どうするか?
あまり保管が良くなかった個体でシャッター羽根に錆が多く発生しています。
まぁ、何とか完成しました。(右) 手前は2台目のジャーマニーですが、状態はよろしくないです。
ジャーマニーのアイビースは成形がか細くて樹脂の劣化もあって割れて一部が無くなっています。シリアル№の彫刻がありません。
Rollei 35 の彫刻文字がジャーマニーにしては太いようで初期の物ではないかも知れません。このカバーは補修部品かな?
沈胴は良好なので過去に調整されているようです。しかし、ヘリコイドグリスがスカスカです。
問題は、スプロケットの下部シャフト(スクリュー)が欠落していますので追加しておきます。
前玉を取り付けました。あとはピント調整をして距離リング、化粧リングを取付けて完成です。