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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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初期のPEN-FVの巻

2024年06月23日 13時00分00秒 | ブログ

先日やりましたPEN-FVと同時期の初期型ユニットが使用されている個体#1171XX (1968年1月製)になります。セルフタイマーも含めて変更前のユニットですので信頼性が出るか・・見える症状としてはフィルムカウンターの固着でした。

この個体の場合、固着の原因は小ギヤの回転不良でしたが、リターンスプリングも変更前が使われているのでバネが弱く戻り不良となるものがあります。

 

ご指摘にはありませんでしたが、接眼枠に破損があります。

 

 

全反射ミラーは下部に曇りが出ています。清掃か新品交換か? それより問題はプリズムの汚れです。これはコーティングが劣化して剥離を起こしているもので、経験的に清掃をすればコーティングは失われます。

拡大するとこのようになっています。この頃の製造ではFTでも保管の悪い個体は同じようになります。

 

この個体にも裏蓋にモルトが追加されていますが、剝がれかかっていますし裏蓋の開閉の支障にもなるので取り除きます。

 

FT,FV共、初期型はまだスリ割(-)ネジが混用されていまして、吊輪部とスプールシャフトを留めるネジは真鍮の頭が大きな(-)ネジですが、強い緩み止めが塗布されていますので、無理に緩めようとするとネジ頭が折れるので注意が必要です。以後は標準の+ネジになります。

シャツターユニットは特に問題はありません。殆どの個体はトリガースプリングはの位置に掛かっていますが、この個体の位置に掛かっている個体も稀にあります。既定のテンションが出なかったのでしょう。

何とかプリズムのコーティングを残すことに成功しました。

 

 

それでは前板を取り付けます。過去にファインダーの∞調整をされていました。

 

修理や交換のご依頼はありませんでしたが、接眼枠の欠損部分を荒仕上で成形しておきました。サービスです。

 

セルフタイマー連動のRレバーは当然旧型が付いていますが、取り付けネジ部の寸法勘合によってはレバーにガタが出て、セルフユニットとの接続が外れてしまう場合があるので、裏側にベークのスペーサーを接着して動きを規制されているものがあります。しかし、その接着が剥がれているものが多いです。

レンズマウントの取付け部に調整ワッシャーが入っている個体があります。この個体の場合は8時位置のところ。分解時には注意をして、どこに入っていたかを正確に記録しておく必要があります。分からなくなった場合は殆どこの位置です。前板のダイカストの中央が慢性的に引けているのです。

問題のフィルムカウンターはすべて洗浄をして組み立ててあります。全反射ミラーはオーナーさんのご希望で新品にしてあります。これで組み立て完成。

 

PEN-FVは希少性から根強い人気がありますが、この個体の場合、FTで言うと20万台最初付近の個体と同じ頃の製造ですからFTであればすでに世の中から消えている個体が多いわけです。当然使われているユニットも変更前のものですから信頼性、安定性は落ちます。FVであっても変更後のユニットが使われている個体もありますので、入手の時はその点も考慮されても良いかと思います。ただし、変更後のユニットは別の問題もありますので必ず良いわけではありません。

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