直接ご依頼の方のPEN-F #280609 ですけどね。ファインダー像に黒点があって、これはプリズムが腐食しているのですが28万台で腐食かぁ? まぁ、保管条件によっては無いことは無いですけどね。あと、巻き上げが重くフィーリングが悪いです。
トップカバーを開けてみると・・あらら、シンクロのリード線がカットされていますね。乱暴なことを・・当然ストロボは同調しません。
問題はだ。このシャッターユニットは28万台ではないです。恐らく19万台付近かと思います。トップカバーがヘコンでいたので別個体から移植されたのではないかと想像します。それだとプリズム腐食は納得できます。19万台の個体をO/Hすると思えば何の問題も無いのですけどね。さて、どうするか・・
オーナーさんから作業続行とのことです。この個体は底部から水油を多量に着けられています。樹脂のスプールにまで油が回っていますのであまり良くありません。
すっ飛ばして、ボディーの洗浄からモルト貼り、スプール軸、スプロケット軸を組み立てて行きます。
FTに比べてFのユニットは表面処理が劣化していますが、点検のところ特に悪いところはなく、ブレーキもまぁ、利いているのでそのままとします。これからユニットの洗浄です。
完成したシャッターユニットを搭載して清掃した裏蓋を取り付けます。
20万台以前の個体はプリズムに黒点の腐食が発生している場合が多いです。FTになると腐食不良は目立ちませんので、製造上の改善があったものかも知れません。
接眼のプリズムはコーティングが弱く、PEN-Fでは余程保存状態が良かった個体以外は劣化しています。
全反射ミラーは過去の清掃で傷が付いていますが曇りは清掃できれいになりそうですので再使用とします。
古いPEN-Fで稀に見るのがレンズとマウントの接続が緩い個体。裏側の板バネの張力劣化が原因です。あまり固いのもマウントにキズか付くので困りますが、確実にレンズをホールドできないのも困ります。板バネを矯正をしておきます。
トップカバーを付けるとレリーズボタンの上下作動が渋い。点検するとレリーズ板が曲がっています。トップカバーはレリーズボタンを受けるレリーズ受がトップカバー裏側に接着されていて、微妙に個体差があるので、今回のようにトップカバーを交換された場合は無理が掛かって曲がってしまうことがあります。
上が今回の個体(19万台付近)。下は21万台の個体。→のレリーズ送りが変更されていることが分かります。(関連のレリーズ板も変更)以後、FTでも下の方式が継承されていきます。また、→のチャージ地板もこの後28万台などでは形状が変更されてFTに続きます。