PEN-Fは38mmを清掃して終了。同じオーナーさんから次々と送られて来ます。PEN-W #1099XXですが、最近入手をされたようです。機能的には問題はないがフィルターが外れなくなっているので全体のオーバーホールをご希望です。ここで、状態を見るために操作をしてみましたが、あれっ、これ過去に私が手掛けた個体ではないか? かなりの台数をオーバーホールして来ましたので良くあることではあるのですが、記録ノート(アナログ)を見ていくと2006年にオーバーホールをしていました。良く動いていてくれました。
フィルターの固着は良くあることですが、無理に緩めようとして強く回すと絞りユニットごと回ってしまい、絞り値と▽がズレてしまいます。組立時、微調整をすることから回り止めのキーのような機構を付けることが出来ないのです。
分解をするとこのようになっています。左端のリングナットの締め付け圧力のみで固定されているので、強い力を掛けるとユニットが回ってしまうのです。
「シャッターは全速切れますが弱々しい」とコメントされていましたが、髪の毛より細いバネ1本で作動させているシャッターですから確かにそういう印象ではありますね。バネの張力も落ちているので、正常に安定して作動させることは見かけより難しいのです。セイコーやシチズンのように強いバネで強引に引っ張るようなシャッターとは違うコパル独特の設計。画像中に大きな作動バネは見当たりませんね。
正しい絞りとなるように調整をしたユニットを本体に組み込みます。
ファインダーを見て「ん?」前面ガラスがゴム系接着剤留めれています。これは私の作業ではありません。
対物レンズも分離が困難でした。↑の部分にゴム系接着剤を付けられています。これですと次回の分解時にレンズの取り出しに非常に苦労することになります。
工場での作業通り、エポキシ接着剤を使用して内部にしみ込まないように表面に塗布しておきます。ファインダーは比較的短期間で汚れや曇りが発生しますので、次回の分解時に部品を傷めずに分解できるように心がけます。
約20年ぶりに戻って来た個体。オーナーさんは若い世代の方に変わり、途中でファインダーの清掃を受けていました。機械はいつまでも生きて行けて羨ましい。次の機会には若い世代のリペアマンが対応するでしょう。
このPEN-Wの前オーナーは1968年に購入して最近まで使っていたとの事です。
これからは僕が使っていきます。
後、20年くらい趣味で続けられるといいんですけどねぇ…
またお願いします!
ワンオーナーさんでしたか。私の記録はオーナー名は記載しない(移り変わるので)のですが、まぁ、良い方に受け継がれて良かったです。