今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

PEN-S系少し続きますの巻

2018年10月16日 21時02分53秒 | ブログ

中古カメラ店様から来ているPEN-S系の作業待ち機が沢山残っているので、ご飯のためにしばらくやりますね。よって、UPは少なめになると思います。このPEN-S 3.5 #1004XXは3.5としては初期生産機ですね。画像ではそこそこに見えますが、汚れ放題でシャッター不動、ファインダー曇り、巻上げはガチャガチャのクツワムシ状態。このままでは売れませんね。

駒数ガラスは曇って脱落しています。

 

 

ターミナル接片の半田付けは外れているものが多いです。

 

 

シャッターは開きっぱなし。

 

 

工数を掛けられませんのでちゃっちゃと行きます。シャッターを組み直しています。このシャッターは未分解機なのに、シャッター羽根の1枚の穴開き部分が折れ曲がっていました。修正をして再使用とします。

 

洗浄した本体を組み立てて行きます。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に組み込みます。調子は良好です。

 

 

接片を半田付けしてカバーを取り付けます。

 

 

今日の進捗はここまで。ピカピカできれいでしょ。本当は1日で完成させないと工数が合わないのですが、買って頂ける方のことを考えると手は抜けませんからね。

 

距離リングに打痕がありますね。どうもジャンクで流通過程で乱暴に扱われた気がします。裏蓋の塗装ハゲなどタッチアップしておきます。

 

グッと良くなりましたね。レンズ、シャッター共良好な個体です。純正フィルター付。都内有名カメラ店様で購入お願いしますね。1965年2月製。次は後ろの2.8ですが、いろいろ有りそうです。

 

#1558XXと初期の生産なのでシボ革などが厳しいところに来ています。

 

 

開閉鍵が腐食している・・

 

 

その他は意外に素性は悪くは無くて組立も終盤。レンズの清掃をしましたが、絞りの指標▲の塗料が劣化をしてみすぼらしいので入れ直します。

 

入っていた調整ワッシャーは正確に戻して組みます。

 

 

但し、最初期ではないので、レリーズバネは強化されたタイプに変わっています。

 

 

最後は例の開閉鍵。使用には支障ないし交換しても部品代は頂けないのですが、これが欠点で購入してもらえないとカメラが可哀想なので交換しておきました。但し多少すり傷の中古ね。左は新品もあるんだけどさ。

 

指標▲もきれい。仕上がって見れば良い個体です。これらの要修理機は長期に中古屋カメラ店様にストックされていたので返って消耗が進んでいないのかも知れません。二度と生産されないカメラですから、このような個体を出来るだけ復活させて個体数を維持したいのです。レンズ、シャッター共良好な個体です。1963年6月製。

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ミノルタ・ALSは良いカメラの巻

2018年10月14日 19時39分25秒 | ブログ

すみません。変なところから始まりました。じつは他の作業の合間に作業をしていてので画像がどっか行っちゃってさ。メーカーさんによってそれぞれ製品製造に対する考え方があるのですが、普段オリンパス系の作業が多い私としてはミノルタのカメラはカルチャーショックだよね。真面目にしっかりとした物作りが伝わってきます。いえ、オリンパスが真面目でないという意味ではありませんよ。(-_-;)ミノルタALSはミノルチナSの後継モデルになるのかな、受光素子がCdsになってホットシューを装備しています。1966年製らしいですが、安物カメラを作ろうとはしていないことが分かります。この個体、外観は美品クラスですが露出計が動かない、シャッター羽根が開かないというもの。メーターの保護ガラスが何故か針の部分だけ曇っていますね。

清掃をしますが、これが本物のガラスです。時代もあると思いますが、安易にセル板などを使わない威勢が気に入った。

 

シャッターの確認のために分解をして行きます。追伸式メーターの可変抵抗用ブラシが見えます。

 

シャッターはセイコーSLVと本物ですね。スローもダメなのでガバナーを分離します。

 

これ、だいぶ日数が経ってます。シャッターを切れるようにしてシャッタースピードを計測すると、どうしてもあるスピードで大きく外れる傾向があります。ガンギとアンクルが2つずつある複雑なガバナーのためか、他の個体を計測しても同様な傾向にあるのです。今回は良好の方のシャッターユニットと交換することにしました。

シャッターユニット交換なので取り出します。

 

 

では組み立てて行きます。シャコウトウは2本のイモネジで個体されていますが、それが緩んでカタカタと遊んでいる状態でした。モルトが劣化して固定されずに緩んだのでしょう。新しいモルトでがっちりと固定します。

 

整備をしたシャッターユニット。ヘリコイドグリスも交換してレンズを取り付けます。

 

 

これは巻き戻しサイドにある電源のON-OFFスイッチ。ベークの基板がスライドする設計のため、リード線にストレスが掛かって断線するようです。

 

こんな感じに取り付きます。

 

 

シャッターユニットを組み込んで配線をしておきます。

 

 

Cds回路はすべてトップカバー側に付いています。配線を完了して露出メーターが正しく作動するか見ます。

 

ファインダーの清掃をして距離計を調整しますが、調整ポイントはメーター左下のネジ。トップカバーが付いている場合の調整は、黒い樹脂(巻上げレバーストッパー)のネジを緩めてカバーを外します。

 

表から見るとこうなります。

 

 

電源スイッチのノブを取り付けます。

 

 

裏蓋のモルトはこれから交換します。サボりました。

 

 

巻上げレバーの指当たりが大きく、軽く巻き上げが出来ます。

 

 

追伸式のメーター針が動きます。

 

 

デザイン的にはCdsの受光部が飛び出していて、セレン式の方がきれいなデザインかも知れません。ロッコール40mm f1.8は非常に良く写ると定評がありますね。高級コンパクトを目指した良いカメラと思いましたね。

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風防ガラスの交換の巻

2018年10月12日 17時17分35秒 | ブログ

USPA ユーエスポロって言うのかな? ポロシャツのメーカーさん? まぁ、最近はファッションブランドでも腕時計を出していたりしますね。高級時計ということではなくファッション時計の範ちゅうなので費用を掛けて修理するか微妙な時計でもあります。風防ガラスが割れているので交換して欲しいとのことです。しかし、時計の部品商さんに頼んでも純正部品は入ってこないでしょうね。

そこで、汎用の平面ガラスを使うことにします。オリジナルの寸法は外径23.27mm t=1.3mm ですが、汎用は半端な寸法は無いので23.2mmと23.3mm t=1mmを用意しました。結果は23.3mm規格のものが実測23.27mmとドンピタでした。厚みは少し薄くなりますが仕方ありません。

厚みが若干薄いのでね。圧入には注意をして何とか成功しました。今度は、ベゼルをケースに圧入します。

 

 

ユニットは"AKITA"と刻印されていますので秋田エプソン製でしょうか。

 

特に違和感も無く完成しました。裏蓋パッキンは交換してあります。費用を掛けて修理するか難しいところのモデルですが、思い入れがあるのでしょうね。

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連休中のPEN-Fの巻

2018年10月08日 12時28分28秒 | ブログ

お問合せメールを差し上げている複数の方から、どなたも返信メールが来ませんね。手配している部品も届かないので仕掛の仕事が留っています。連休中に仕事をしている方が悪いのですが・・で、予測で作業を始めちゃいます。この個体は、ご常連さんがフリマで救出して来たPEN-F #2044XXと良い頃の個体ですよ。外観もきれいです。現状は不動でしたが、応急復帰をさせて正常に作動するようにはしました。その他、ファインダーに汚れが見えてリターンミラーに傷がある程度。これはフリマとしては良い買い物だったんじゃないですかね? いくらで購入されたのか知りませんけど・・まぁ、PENを見る目は正しいということです。逆にフリマの出店者の方が見る目が無い気がします。

接眼プリズム(PRISM#1)のコーティングが曇っていますが、これはどの個体にも起こっている現象でモルトが悪さをしていますね。

 

当初は全反射ミラーの腐食と思った汚れですけど、プリズムの蒸着腐食でした。

 

 

原因は(PカバーCA5793)と生意気に型番もあるビニールテープの接着糊が悪さをして塗装面を侵して蒸着に影響を与えています。ほんとモルトなどでどれだけ光学部品が被害を受けているのか。。

 

私の手持ちのプリズムは少数ありますけど、この程度の腐食であれば、撮影には影響はないわけですから再使用としたいのですね。数ないし・・

 

では、すべて洗浄してから組み立てて行きます。

 

 

シャッターユニットは良いですね。摩耗も少ないです。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に組み込み、前板関係、こちらのプリズムは意外に良好です。保管が悪い個体は黒点の腐食が出ます。

 

巻上げもスムーズでシャッターの調子も大変良いです。さて、接眼のプリズムはどうするかな? まだご連絡がありません。

 

結局、接眼プリズムは、実用上問題ないと判断してそのまま使用して組みました。スムーズに終わるかと思いましたが、駒数板の引っ掛かり、ボタンドメの固着など、やはりフリマ上がりの放置による不具合が出て、少して手こずりました。

巻上げスムーズ、シャッター快調で、まずまずの仕上りになりました。続いてPEN-FV #1019XXと露出計が無いのがお好きですね。初期型としては悪くはありませんが全体のO/Hです。

 

この頃の個体は駒数ガラスの劣化が目立ちます。

 

 

ボトムキャップの接着剥がれ。これ、意外に多いです。

 

 

初期型は-ネジが多用されていまして真鍮ネジですので分解がし難いのです。しかし、ツリカンなどは+ネジより緩みにくい傾向にあると思います。

 

洗浄して組んでいきます。右が今回のFV。駒数板の中心軸のネジが初期は雄ネジ、以後は雌ネジに変更されます。

 

FVの#1019XXはFTで言うと12万台の初期頃ですから、ユニットはすべて改良前ですね。FTは殆どの個体が露出計がダウンしていることから、ジャンクとなって世の中から消え去っていて、FVだから生き残っているようなものです。製造は1967年1月です。スローガバナーもそうです。このユニットは歯車を損傷し易い。

 

チャージギヤ上にワッシャーのようなものが乗っていますね。これは・・分かった。型番のある正式な部品ではありませんが、ベークライト製で分かりました。

 

セルフタイマーとレリーズを連動させるRレバーの裏に接着されいてたワッシャーです。これ、すべてに貼ってあるわけではありません。Rレバーの動きが不安定な場合の補正用ですね。

 

シャッターは初期型なのでバネのテンションが低下していてシャッター羽根が正規の位置まで戻りませんでしたので、やむなく1段張ってあります。

 

ピンセットの位置までしかシャッター羽根が戻りませんでしたが、調整後は正規の位置まで戻っています。

 

ビューファインダーのレンズは、PEN-Fと同じねじ込み式です。その後、スナップリング固定となります。

 

部分的に+ネジが採用されてはいますが、殆どのネジは-(スリ割)ネジの混用時期です。なぜ+ネジに移行したかですが、HIOSなどの電動ドライバーが使えないからです。昔の機械はすべて-ネジですね。零戦もすべて-ネジです。ホンダが二輪の世界グランプリに参戦するため、ヨーロッパへ視察に行って持ち帰ったレーシング部品の中に+ネジがあって、それまでは-ネジで組み立てていたエンジンも以後は+ネジを採用したのでした。

接眼枠は破損していましたので新品と交換してあります。この頃の初期の個体はトップカバーの梨地が細かいというかテカテカ気味ですね。巻き戻しノブはPEN-Fから継承したローレット型で、後に樽型に変更されます。

 

ということで、巻上げの軽い感触は初期型特有のもので、バネが弱いということでもあるんですけどね。初期型のユニットを使った個体としては機械の調子は大変良い個体ですね。

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出戻りのPEN-FTの巻

2018年10月07日 22時05分12秒 | ブログ

台風の影響でしょうか、関東地方も季節外れの暑さになっていて、二度目の風邪を引いて進行中の身としては暑さのぶり返しは体調に堪えます。世の中三連休の影響でしょう、修理方針のお問合せをしている方お二人からご返事が来ません。どこか旅行でも行かれたのでしょうね。私も今年の鈴鹿のF1は見たかったですけど、スペック3を投入したホンダエンジンで予選は好調だったトロロッソ・ホンダも決勝では惜しい結果でした。まだまだホンダも頑張らないとね。で、作業待ちなので限定修理をやっておきます。過去にO/Hをした個体ですが、突然巻き上げレバーが停止してしまった。とのことで、原因はツリカンRのネジが緩んでいます。ここは工場で緩み止めとしてエポキシ接着剤を併用してネジ留めしてありますので普通はまず緩みません。O/H時もあえて分解しません。ネジは一度緩めると緩み癖がついてしまうためです。しかし、ツリカンに負荷を掛けるような使い方をすると緩む個体があります。

分解洗浄と脱脂をしてからエポキシ接着剤を塗布して組み立てます。

 

 

ネジの頭にも接着剤を塗布しておきます。

 

 

ファインダーの清掃と各部の点検をして終了。ツリカンに負荷を掛ける使い方をされる方は定期的にツリカンの緩みが無いか点検してください。

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