今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

フジカ・ミニを仕上げるの巻

2018年12月18日 20時52分51秒 | ブログ

ミノルタ・レポSが出て来ません。みなさんのジャンク箱にありませんでしょうか?

これも中古カメラ店様のストックですけどね。すべてジャンクですけど、1台は部品取りで来ましたが、メーター不良が多いので1台のみしか仕上げがらないと思います。

 

セレンも不良で点検すると、アースのリード線が断線しています。

 

 

アース側で良かった。半田付けをして補強のためにエポキシ接着剤で保護しておきます。

 

絞り機構とレンズを取り外します。

 

 

シャッターはビハインドシャッター、1/125単速。絞り羽根とレンズを清掃します。固着しています。

 

メーターはコイル断線とピポット固着ですから部品取り機から交換です。

 

 

レンズと絞り機構はPEN-EEとそっくりです。フジカミニの発売は東京オリンピック開催の前月1964年9月で、PEN-EEの発売はそれより前の1961年7月ですから、完全に参考にしていますね。

 

結局、ダイヤルを回すとセレンからの配線と摺り合って断線をしている個体が多いようです。設計が良くありませんね。

 

露出メーターは作動はするのですが、上下のヒゲゼンマイが変形していて針の動きがオーバー目に出てしまいます。調整はしてありますが、感度調整用の半固定抵抗では、僅かな調整範囲しか取れません。ファインダー清掃とモルトの交換。

 

内部もきれいに仕上げてあります。スプールのスリップが早い傾向があります。中央対角2本のネジを締め込んで調整します。

 

 

裏蓋の清掃とモルト交換。先端のモルトと接触をする部分がモルトの変質によって錆びていましたので、研磨のうえタッチアップ塗装をしてあります。

 

巻上げは親指と中指で挟んでギリギリッと回します。メーター部の宝石(イミテーション)は赤ASA25 青ASA50 黄ASA100 緑ASA200を表し、使用するフィルムの感度に置き針を合わせて、メーターの針を合致させれば適正露出となります。

 

残念ながら今回は3台のうち1台のみ現役復帰です。後日、部品取り機が調達出来れば仕上げることは可能ですので残存部品は大切に保存です。女性をターゲットとした製品ですが、発売価格は¥9,600ですから当時としては安くはないですね。最後に専用のチェーンを取付けて終了。

これ無くしている個体も多いですが、専用のチェーンストラップも超音波洗浄をして取り付けました。銀色のシボ革裏地は紙なので剥離は非常にリスクがあります。ブラック塗装と銀のシボ革、怪しい紫系の保護フィルターの組合せは、私が子供の頃に流行った斬新でお洒落なデザインの匂いがプンプンしますね。

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MINOLTA repo-S を起こすの巻

2018年12月16日 19時39分30秒 | ブログ

先日お譲りしますとご案内をしましたPEN-Sは無事に新しいオーナーさんの手元に届けました。ありがとうございました。

昔、ホンダS800やライフをレストアしている時に、自動車修理のプロに「起こし屋トミさん」つて言われてました。起こし屋とは一度、登録抹消で廃車された書類の無い車を整備をして新規に登録、現役復帰させる職業の人です。このミノルタ、レポS 2台は中古カメラ店様からの修理ご依頼ですが、普通の中古と言うよりは、故障廃棄されて長期に放置されていたと思われる個体ですね。シャッターは不動、外観のメッキ、裏蓋の塗装劣化、シボ革は剥がれまくりという状態です。しかし、二度と生産されないカメラですから、1台でも現役復帰させて市場に戻したいと思います。

まず1台目はトップカバーが凹んでいて他にも問題があります。私のところには、あいにく資料用の1台があるだけなんですね。どなたかレポSのジャンクをお持ちの方で譲って頂ける方はいらっしゃいませんでしょうか? よろしくお願いいたします。

では始めます。この個体は過去に分解をされています。シャッターやレンズにも分解キズがあります。

 

レンズは過去に清掃をされているのできれいですね。ヘリコイドグリスはカラカラの状態。

 

シャッター羽根も絞り羽根もがっちりと張り付いています。このシャッターSEIKOは張り付きが多いです。強制的に開いて状態を確認します。スローガバナー他、メカには特に問題は無いと思います。では分解して羽根の洗浄をします。

 

決まって遮光用のモルトがバラバラになります。

 

 

シャッターのO/Hとヘリコイドグリスの交換をして完成しました。

 

 

底部の巻上げリンケージのグリス塗布、アンダーカバーの洗浄をして組み立てました。鏡胴は特殊なEE制御方式ですので沢山のリングがあります。パールアルマイトが劣化気味ですので、一つずつ磨き出してから組んであります。

 

ファインダーのレンズを清掃して取り付けます。シボ革剥離の補修と裏蓋塗装の磨き出し、モルト交換をしてあります。

 

これで生き返りました。後はトップカバーが・・

 

 

こちらは2台目ですけど、1台目より製造は古いです。内部は全体的にこのような惨憺たる状態。カビなのか圧板も腐食しています。ふぅ・・

 

こちらもシャッター不動、ヘリコイド固着レンズ汚れがありました。本体にシャッターユニットを取り付けます。

 

問題はね。絞りリングを嵌めようとするとスムーズに入りません。上から力を受けたようで歪んでいるようです。よって回転が重いので修正を試みます。

 

清掃をしたファインダーと、露出メーターを取り付けます。

 

 

洗浄と研磨で内部もきれいになりました。

 

 

普通に現役として使われて来た中古機ではなく、一度、廃棄除外になった個体ですね。私は、このような個体を見ると可哀想で何とかしたいと思う性格です。経済の観点からは、使命を終えた製品は廃棄されないとダメなんでしょうけどね。

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コンタックスⅢ型のメンテナンスの巻

2018年12月12日 11時22分06秒 | ブログ

北海道のINOBOOさんからコンタックスが来ていました。露出計が付いているのでⅢ型ですね。ファインダーが激しく汚れているのと、シャッターが正常に切れない症状です。

 

コンタックスはトップカバーを分離するのにも巻上げ、巻き戻し側も多くの部品が組まれているので簡単ではないですね。

 

焦点調節ギヤはユニットになっています。内部の機械は上方へ引き抜くため、レンズマウントなどを取り去ります。

 

レンジファインダーはプリズムですが、残念ながら張り合わせが劣化しています。

 

 

おぉ、鎧戸シャッター。リボン切れはしていないようです。各部の点検をして行きます。

 

シャッターユニットを取り出した本体と露出計ユニット。

 

 

シャッター不調の原因はシャッター本体の問題ではなく、コントロール系にあるようです。作動の固着があります。

 

縦走り金属製フォーカルプレーンシャッター。

 

 

接眼レンズの清掃はやりずらいです。

 

 

ユニットをボディー本体とドッキングします。

 

 

留めネジはこの1本と両肩2本の3本だけです。

 

 

スローガバナーの復帰が不良でしたので洗浄注油をしてあります。

 

 

ちょっと業務連絡です。先日やりましたPEN-Sを購入ご希望の方。メールを差し上げていますが、すべて戻って来てしまいます。原因は不明です。再度、電話番号を記載の上ご連絡頂けると助かります。よろしくお願いいたします。

結局、シャッターテンションが弱めのため少しテンションを上げました。露出計ユニットを取り付けます。

 

セレンのシャッター窓の建付けを見ています。

 

 

内部の状態も非常のきれいです。

 

 

裏蓋中央に大きくZEISS IKON と記されています。

 

 

清掃をするとメッキの状態も非常に良く、ピカピカ光って良く写りません。プリズムの腐食は残念ですが、素晴らしいコンディションに間違いはないでしょう。

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PEN-S欲しい方の巻

2018年12月08日 19時29分27秒 | ブログ

一年は早いもので、今年も12月8日の開戦記念日が来ました。毎年書いていますが、私はアメリカは帝国海軍の真珠湾奇襲を知っていたというのが20年以上前からの持論ですが、最近はアメリカの公文書の機密解除などでアメリカ保守層にも真実が論じられるようになって来たようです。ハワイからの厳重な索敵線を張る中、空母6隻からなる大機動部隊が隠密裏にハワイ沖まで到達することなど不可能です。開戦前夜、日米交渉は好転せずアメリカは通商条約を破棄して資産を凍結(戦争行為)したし、すでに邦人引き上げのための龍田丸は内地を出発していて、もはや開戦は必至の状況。パラオ基地からの我が飛行艇部隊がフィリピン東方方面の索敵を実施するも、アメリカ側からの偵察機も頻度を増していて緊張状態が続いた。開戦第一撃のフィリピン攻撃に参加した搭乗員の手記では、敵は塹壕を構築して待ち受けていて、開戦は既成事実であったと書いている。コミンテルンの策略に日本とアメリカが嵌った悲劇です。

で、本題です。時計をやるつもりでしたが、部品が破損していて調達中のため、ご常連のINOBOOさんからご提供頂いていたPEN-S #2051XXを仕上げます。長期保管っぽいですけど、へこみなど大きな欠点はないようです。

内部のダメージはないですね・スプールがグレーの頃です。

 

 

ファインダーは盛大に曇っていますけど、逆に言えば修理の手が入っていない個体と言うこと。価格は作業の終了後に決めますけど、オーバーホール済みのPEN-Sが欲しい方にお譲りをします。ご希望の方はご連絡をお願いいたします

 

 古いエポキシ接着剤は剥離をし易いです。駒数ガラスがポロッと落ちてきました。再接着をするので問題ありません。

 

シャッターも全く消耗していませんね。地板もきれいです。前期の生産機ですので、レリーズレバーの留め方がスリ割ネジ(軸)になっていますが、その後の設計変更で軸は地板に植えられていてスリ割付のナットで留める(逆になる)構造となります。理由? たぶん組立現場で組みにくいのと、ここはネジが緩むことがあって、緩み止めのネジロックを塗布出来ないので、ナットで留める設計としてネジロックが出来るようにした? まぁ、そんなところでしょう。のレバーの形状も変更になります。

組み立てるとこのようになります。性能には一切関係がありません。

 

 

各部の清掃で駒数ガラスの接着とファインダーの清掃組立が完成しています。

 

 

特に問題のない個体ですので書くこともありません。レンズを除いて本体の組立完成です。

 

 

内部も非常にきれいです。黒のスプロケットは、まだちゃんとアルミ製です。後にプラ製になります。

 

裏蓋の開閉鍵はあまり分解しない方が多いと思いますけど、グリスの劣化や異物の噛み込みなどでスムーズに回らないものが見受けられます。洗浄の上、新しいグリスで組んでおきます。

 

こんな感じね。遮光材の貼り替え、圧板の研磨をしてきれい。

 

 

一点惜しいのは、シャッターダイヤルはそこそこきれいですが、インナーにメッキの劣化がありますね。

 

ファインダーのリンクル塗装もきれいで、基本的にはあまり使われなかった個体です。美品ではありませんが、実用機としてはO/H済みで安心してお使い頂ける個体と思います。純正レンズキャップ付き。素材を入手してO/Hをするよりお安くお譲りします。ご希望の方はメールでお問い合わせください。

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精工舎モリス型2題の巻

2018年12月05日 19時20分32秒 | ブログ

う~ん、こういうの自分の所有機なら嫌いではないのですが、工賃を頂いての作業となると「止めましょうよ」と言いたくなっちゃうんですよね。精工舎のモリス型は9型が多いように思いますけど、この個体は一回り大きめの10型になるようです。文字盤にのマークがありますので、すわ戦中に旧帝国海軍で使われた個体かな? と思われますけど、現在では現存する部品を組み合わせてある個体の方が多いですから簡単に信用は出来ません。そもそも、ケースの裏蓋に鶴のマークがありますので、戦後すぐの10型用ケースではないかと思いますけどね。あまり知識はありませんので断定的なことは言えません。

この手の時計で問題は、まず間違いなく天真が摩耗していることです。時計旋盤によって天真を作り出すスキルが無い私としては、ここで摘んでしまうのです。また、耐震装置の無い受け石は、何度も注油によってネジがバカになっているものが多く、一度開けたら最後みたいな場合が多いのです。この個体も・・まぁ、9型に比べて若干大きい分、組立は楽ではありますが。

8型、9型、10型と同じでデザインの設計ですから画像にすると差が分かりません。受けにSEIKOSHAと入っていますので、戦後の個体ではないかと思います。(戦前はSKS)ガンギまでの輪列はホゾ穴の拡大はありますが、まぁまぁです。

 

天真が摩耗していて、画像の姿勢ですと天輪と地板のクリアランスが僅かです。モリス型の天真を製作している方はいないのかな?

 

日ノ裏側。小鉄車にガタがあります。

 

 

文字盤と針を付けますよ。スモールセコンド機の場合、短針と秒針が接触しないような位置関係を微調整しないと6時30分で衝突して時計が止まります。

 

私のところに来るこの時代の時計は決まって機械留めネジが無くなっています。このネジは代用品が無いので、私も手持ちのジャンクから調達していますが、調達出来る数も限られていますので困っています。後年のスーパーとはネジ径が異なり使えません。

文字盤は本物と思いますが、その他は寄せ集めて作られた個体ではないでしょうかね? 私も9型の旧軍用文字盤を探していますが、見つけても高価になるので入手が出来ません。で、左のパリス環式ケースの南京虫は意外にきれいですよ。

 

 

1円玉が直径20mmで、機械はそれより小さく実測19.24mmでした。8型になるのでしょうか? このサイズの組立は苦手です。

香箱のサイズはこんなもの。小さいでしょ。ゼンマイの先端が変形をしていて香箱真に掛かりません。

 

すべて洗浄したら地板が白くなりましたよ。組立は↑の方と一緒ですけど機械台の幅の違いに注意。

 

この個体は、消耗する前に使用を止めて仕舞い込まれていたようで、後年の分解歴や天真も極端な摩耗が無いようです。これは掘り出し物かも?

 

筒カナが強く締められていて、長期に摺動されていなかったこともあって固着気味で運針が出来ない状態でした。注油とエージングで解決しました。

 

ホーローの文字盤は白さも失われずきれいな状態を維持しています。ブルースチールは秒針は錆が出ていますが、長短針はきれいなブルーが残っていますので、このまま使用します。

 

SKSと打刻されていますから精工舎純正のケースです。しかし、それにしては年代を感じないきれいな状態ですね。

 

ケースの厚みの差もありますけど、10型とはずいぶん大きさが違いますね。特に女持ち(婦人用)というわけでもないようですけど、腕時計以前は懐中時計だったことを考えると、ちょっと小さ過ぎやしませんかね。

 

リューズ込みで直径23mmです。現在、パリス環式用のベルトは入手できるのでしょうか?

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