今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO ビジネスA 30石の巻

2019年02月10日 13時21分36秒 | ブログ

もう一つ時計をやります。私のストックのセイコー・ビジネスA 8306-8001です。機械は8306Aで1967年12月の製造。ケースは酸化で曇っていますが大きな傷はありません。文字盤外周にケースとの擦れあり。一番の劣化はプラ風防で黄ばんで中央に細かなクラックが入っています。これは交換しかありません。

機械をO/Hする前にケースを仕上げておきます。ケースは全て手磨きです。

 

 

風防ですが、先日やりました27石の8346-8000と同じ315W02ANが指定ですが、右のオリジナルと比較すると角が角ばっています。8346-8000にも手巻きの頃のようなドームが強い風防がセットされていましたので、途中で補修部品として統一された可能性がありますね。私はドームの強い方が腕に馴染んで好きですけど仕方ありませんね。

では、機械を洗浄して香箱の注油から始めます。

 

 

二番車、二番車受をセットして秒針カナ押エバネを組みます。

 

 

巻上げ機構と繋がる二番伝エ車です。

 

 

輪列をセットして一番受を取り付けます。

 

 

丸穴車にはS-4ウォッチ油を塗布して取り付けます。

 

 

ダイヤショックを洗浄注油します。

 

 

う~ん、83系はカッコ良い。

 

 

日の裏側は先日の8346Aと同じ。最後に曜車をセットして文字盤を取り付けます。

 

文字盤の外周はケースとの擦れで塗装が剥離していて黒く目立ちますのでタッチアップをしますが、シンナー系の塗料を使うと文字盤のニスを痛める危険性があるのでアルコール系のペンを使います。私はガンダムマーカーです。https://amzn.to/2SqEqZP

 

針とインデックスが立派で良い感じです。

 

 

ケーシングをして注油をした回転錘を取り付けます。

 

 

左が先日仕上げた8346-8000 27石で右が8306-8001 30石です。日本人は時計の高級度を石の数で測るので、これは準高級機になるんでしょうかね?

 

風防の角が現代風でイマイチ気に入りませんね。

 

 

文字盤の擦れも殆どインナーリングに隠れるので気になりません。83系は今、私のお気に入りです。

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SEIKO 鉄道時計 セコンドセッティングの巻

2019年02月07日 19時30分26秒 | ブログ

私物の時計で遊んでいましたが、眼精疲労が回復せずケースは仕上げても分解を躊躇していたところに鉄道時計の19セイコーが来ました。あぁ、このサイズなら楽だわ。機械は9119Aで秒針規正付きの15石です。製造は1970年4月ですから91系としては後期の頃の個体です。風防ガラスは1時付近にクラックがあります。交換した方が良いですけど、今回はそのままとします。

風防はガラス製です。カチッと当ててしまったようですね。ケースはACRPというクロームメッキ製。ゼンマイは巻き上げられた状態ですがビクとも動きませんね。

 

たぶん、歩度調整以外にO/Hはされていないと思います。素晴らしくきれいな機械です。しかし、受ケに昔のような化粧加工は施されていません。ケースと紐は洗浄します。

 

アンクルを取り去っても輪列は全く固着して動きません。二番車の固着のようです。

 

 

すべて洗浄をして組み立てて行きます。まずは日の裏側と巻き芯を付けます。

 

 

秒針規正装置のレバー。リューズを引くと四番車に植えられているピンと接触をして歯車を止めます。

 

輪列はスムーズに回転します。

 

 

テンプを取り付けて再び目覚めて動きだしました。天真の注油とアンクル、ガンギへの注油。

 

天真の受石は非常に注油がし易いです。

 

 

機械の組立は完成。きれいな機械ですね。

 

 

秒針規正レバーが四番車のピンを止めています。運転手が出庫点呼を受ける時にリューズを引き上げて秒針を止めて置き、時間整合をしたのでしょう。

 

 

文字盤と針は非常にきれいな状態。しかし、残念ながらこの頃の針はブルースチールではなく黒塗装となっています。ちょっと味が無いですね。

運転席の計器盤にセットしておく時計なので、ポケットに入れておくにはちょっと大きくて重いですかね。つりさげ紐は洗浄してありますが、糸切れもありますから、現在でも純正が入手可能なので交換された方がよろしいかも知れません。カメラの方もだいぶ到着しているようです。

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PEN-S 3.5なんだがの巻

2019年02月01日 21時51分18秒 | ブログ

過去に修理歴があるPEN-S3.5 #1215XXです。レンズを無限にした時に絞り表示が下側になっていますね。工場では、上側に向くように組まれています。シボ革は透明接着剤でゴテゴテに着いています。

 

シャッターは動いていますが、ご依頼は2  5 位置とクリック位置が合わないとのこと。確かに彫刻文字と裏のクリック切込みの位置がずれていますね。厳密には加工不良ということでしょうけど、実用上の問題はないので良品の範囲として出荷された可能性もあります。

巻上げが引っかかるとのご指摘。観察するとリンケージ部分に硬いグリスが塗布されていて、動きがスムーズでない状態になっています。しかし、それだけが原因ではなかったのですが・・

 

圧板にカビのような腐食が目立ちますね。

 

 

このように清掃をしておきます。

 

 

ダイカスト本体を洗浄して組み立てて行きます。

 

 

 シャッターも分解されていますね。白いネジロックは工場のもので、その上から透明(多分接着剤)を塗布されています。ちゃんと白いの落そうね。

 

 シャッターを組みました。特に問題はありません。

 

 

駒数ギヤ軸と駒数板が曲がっていますね。これは作業時に夢中になって不注意で手で圧力を掛けたためです。私は、事故防止のため分解の最初に取り外して、トップカバーを付ける最後に取り付けます。これは再カシメをしておきます。

 

本体とファインダーが完成。

 

 

軸の一番下に入るワッシャー(ピンセット)が欠品していましたので追加して組みます。

 

作動を見ましたが、稀に巻き上げが僅かに引っかかる現象があります。これは、2回巻き上げ防止レバーが干渉していると思われます。部品としては不良ではなくとも、関連の部品との相性や嵌合の問題で不具合が出ることはあります。今回は、予防的に部品を交換しておきます。

PEN-S3.5は途中で横のネジは-から+に変更されますが、12万台でしたらまだ-のはずです。しかし、このネジはオリジナルではありません。

 

オリジナルのネジと交換しておきます。

 

 

確かに 5のクリック位置がずれていますね。

 

 

まぁ、正直なところ、前回の分解が原因で組みにくい個体でした。で、PENの修理ご依頼が終わってしまい、次のネタがありません。しばらく、時計と自転車で遊んでいるかもしれませんので更新は不定期になります。修理ご希望がありましたらよろしくお願いいたします。

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