今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

しばらくローライ35系の巻

2024年03月13日 10時59分58秒 | ブログ

しばらくの間ローライ35系をやります。#31009XXはドイツ製ではあるが、歯車関係などは樹脂製に変わっている頃の個体。大きな問題はありませんが1/2秒が速く切れてしまう状態。裏蓋はカウンターが途中で戻らない。着脱レバーの〇が錆びているなどが気になります。

1/2はガンギとアンクルが正確に当たっていないため。レリーズボタンを下げても正確に動かない。

 

ガバナーの清掃をしても動きが良くない。問題はのバネが張力劣化をしているのです。一巻きのバネですから耐久性は無いのです。

 

定番のメンテナンスで沈胴の作動を調整しておきます。

 

 

ドイツ製は古いですからフィルムカウンター盤の内径(摺動部分)が摩耗をしていてスムーズに回転しない個体があります。清掃と調整をして改善しました。

 

カウンターの戻りは良好になりました。樽型の着脱レバーの〇が錆びています。修正をしておきます。

 

 

シャッターユニットとレンズのメンテナンス。レンズの状態は非常に良いです。

 

巻き戻しレバーの規制用バネはすでに変更後のタイプになっています。

 

 

基板部分の絶縁シートを貼ってレバーアテを取り付けたトップカバーを閉めます。

 

 

巻き戻しダイヤルと着脱レバーは初期型の良い雰囲気を残している個体。

 

 

すみません。作業はしたのですが、特に書くこともなく作業が終わってしまいました。ローライ35のレンズは比較的カビなどの発生が少なくきれいなものが多い印象(稀にバル切れあり)ですが、初期のドイツ製などには画像のようなカビ? が発生します。

次のドイツ製も同様です。しかし、清掃できれいになるので助かります。

 

 

底部のチェックです。矢印の部分は定番で緩みやすいところです。今回は(沈胴レール)が緩んでいました。

 

これで完成。次は直接ご依頼のローライ35系です。

 

 

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ローライキンのカウンターノブの巻

2024年03月10日 15時00分00秒 | ブログ

最近ブログで取り上げましたところ修理のお問い合わせを頂くようになりました。ローライフレックス用の35mmアダプター、ローライキンのフィルムカウンターノブは、作動に問題があるものが多く、ボタンを押しても赤が正確に進まないという不具合が多いです。

部品点数はそれほど多くはないのですが、各部品をしっかり超音波洗浄をしてから組み立てます。この送り爪の留めネジは緩んでいるものがあって、それによって送り不良となっているものもあります。

 

以前には送り爪のリターンスプリングが外れているという不具合もありました。

 

 

超音波洗浄をすると劣化した彫刻文字の色が剥離してきます。それを赤黒入れ直したところ。

 

シャフトと爪にグリスを塗布してボタンを取り付けます。

 

 

ノブを何度も分解するとシボ革が痛みますからおまけで製作しておきます。

 

 

本体への取り付けは、普通のスプールノブを取り外して、専用の長ネジにより取り付けます。

 

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PEN-S3.5使いさんのカメラの巻

2024年03月09日 20時00分00秒 | ブログ

今日は新宿の病院に定期健診で行ってまして、帰宅してからの作業となりました。ご常連さんはPEN-S3.5がお好きで過去にも別の3.5のオーバーホールをご依頼頂いています。今回の個体は、友人に貸し出していたら巻き上げが出来なくなった。(シャッターが原因)というもの。#1229XXは1965年10月の製造で、どことなく梨地のメッキがくすんでいますが保管の問題でしょうか。

気になったのは絞りリングの動きが非常に重いこと。これは分解してみることにします。

 

レンズはカビや曇りは少ないのですが前玉に小キズが目立ちます。

 

 

分解をしていくと駒数ガラスの接着が外れました。

 

 

問題はこれです。シャッターユニットのハウジングを留めるネジの1本が飛び出しています。コパルでの白い緩み止めが塗布されたままでしたので未分解のシャッターです。

 

内部に油が回っていますが、このシャッターは油が出るようなシャッターではないのですが・・すべて分解して脱脂洗浄をします。

 

問題のネジです。これは作業者がネジを斜めにねじ込んでしまい途中でニッチモサッチモいかなくなって「し~らない」とそのまま組んでしまったのです。

 

ネジ山を壊していますが、材質がアルミですのでタップを立て直すとネジが瘦せてしまうので、新品の鉄ネジを逆から締め込んで修正をしていきます。だめだよコパルわぁ・・

 

本体は洗浄をして組み立てていきます。

 

 

3.5のファインダーブロックは樹脂製で、PENに比べてシャープに成形しているので強度がありません。落下や前面ガラスを外そうと力を掛けると劣化もあって簡単に割れてしまいます。今回はすでに割れていてGクリアーで貼ってあったのです。

本体とトップカバーの組み立て完成。

 

 

問題のレンズユニット。絞りユニットの洗浄と潤滑をして組み立てます。レンズはまぁまぁです。

 

ピントリングが回らず絞りリングが軽く回る絶妙なグリスワークをします。

 

 

巻上げも軽くシャッターも快調の良いコンデションとなりました。

 

 

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二眼レフは大変なのだの巻(2)

2024年03月06日 11時00分00秒 | ブログ

で、もう1台のローライフレックス3.5Eですが、普段、作業に掛かる前にフィルムを装填して作動を確認するのですが、なぜかこの時は忘れて作業を始めてしまいました。それが失敗の原因です。一通りの作業を終えてフィルムを通して見ると巻き止が解除されない。シャッターボタンを押すとのレバーが動いて巻き止を解除するのですがそれが動いていない?

本来のハウジングリングはアルミのカバーリングの内側(裏側)に入っているのですが、カバーリングを留めるネジが1本緩んでいまして、ハウジングリングが正規の位置から脱落していたのが原因でした。この脱落によりシャッター側とレバーが連動しない状態

ハウジングリングを正規の位置に戻してこれでシャッター側と連動します。カバーリングは過去に分解歴があり、ネジの緩み止めが外されていたのがそもそもの原因。メーカーが緩み止めを塗布してある部分は必ず緩み止めを塗布しておくことが肝心です。

ディーゼル機関車のDD13ですが、なんと2号機が来てしまいました。このエンドウ製DD13は改良されながら生産された経緯がありまして、この2号機は最終型になるのかな? こんどはちゃんと全軸駆動になっています。

動力の伝達は初期のスプリングベルト方式からユニバーサルジョイントのギヤ駆動に改良されています。

 

ボディーは基本的に同じですが、初期ではエッチング表現であった換気孔が開口されて網が張られています。また、省略されていた手すりも付けられました。

 

前部のヘッドライト部にも手すりが追加されています。

 

 

台車は駆動方式の変更により全く別物に進化しています。

 

 

今度の運転会までに一度分解をしてオーバーホールをしたと思います。エンドウ製のDD13は何故か塗装が良ろしくなくメーカー製とは思えないレベルです。現在別のメーカーより発売されているモデルは時の流れと言いますか素晴らしい製品ですが、価格は工芸品並みとなって非常に高価です。私には60~70年代のおおらかな頃の製品が似合っていると思いますね。

で、ローライフレックス3.5Eに戻りました。この個体はもう一つ問題がありました。被写界深度スケールの動きが悪く、また黒帯が途中までしか動かない状態でした。

 

被写界深度スケールを動かすメカは以後のモデルとは異なり、絞りレバーと一体の下部にある(見えない)カムによりを上下に動かすことでスケールを動かしています。しかし、メカ的には作りは良いとは言えず、長期の使用によりカムの接触面の摩耗もあってスムーズに動かないという状態でした。なんとか折り合いの良いところに調整をしたところ。

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二眼レフは大変なのだの巻

2024年03月04日 21時59分59秒 | ブログ

ローライフレックスの作業が長引いていましてブログの更新が進みません。二眼レフのメンテナンスはローテクではありますが、どの個体も基本的に古いですから色々なところに手を入れなくてはならず工数が掛かるのです。現在はローライフレックス3.5Eを2台並行で作業をしています。2.8Fのようなてんこ盛りの機種もありますが、私としてはこの3.5Eや3.5F辺りが好ましいと思っています。比較的古いですから2台供巻き上げ系の潤滑不足により巻き上げが非常に重くなっています。巻き上げギヤ関係を分離して古いグリスの清掃と新しいグリスの入れ替えをします。

しっかりとした革ケースに入れると巻き上げクランクだけケースの外に出ますが、するとクランクが押されて長い間に独特な曲がりが伸びてしまうのです。すると本体のセット孔に収まりにくくなりますね。これを直すわけですが、正確な材質も不明ですので下手をすると折ってしまう危険もあるので、ブレスで慎重に力を掛けていきます。

さすがにミラーの外周が腐食気味です。清掃をして再使用とします。

 

 

3.5Fになるとスクリーンは交換式となって近代的になりますが、3.5Eは古典的な設計です。ガラスのスクリーンを取り外して洗浄します。

 

テイクレンズはカビが発生しています。シャッター羽根の前後にカビが発生しやすいですね。

 

この頃はシボ革は本革が使われていますが、確かに質感はビニールレザーより趣があって良いと思いますが、問題は何度も接着を重ねられていると革がバリバリに硬化をしてしまって再接着が非常に厄介です。私は面倒でも接着剤部分をペーパーヤスリで削り落としてから接着するようにしていますが、それも手間が増える要因です。

こちらは2台目の個体ですが、なんとミラーが割れていましたので新品をおごっています。

 

こちらもレンズのカビが盛大です。ビューレンズをすべて分解して清掃します。

 

カビは一番奥のレンズの内側でした。

 

 

この個体はローライキンのカウンターノブがついていました。例によって途中から送りがミスをします。

 

すべて分解洗浄をして組み立てていきます。

 

 

組立を終わったノブを本体に取り付けてシボ革を貼ります。

 

 

とりあえず1台は完成。もう1台は少し問題があるので継続で作業をします。UP予定がありませんのでしたので簡単にしておきます。

 

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