今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

カツミED100が来ましたの巻

2024年06月10日 18時00分00秒 | ブログ

次も難儀なFTが続くのだが、ここで少し息抜きです。自由形(実在はしない)電気機関車のED100を入手しました。この手の製品はEF58をモチーフとして軸の数を減らしたED58やEB58などがあって、ちょうど小学校の高学年の鉄道好きな子供におもちゃではない鉄道模型の入門用としてレールやパワーパックとセットで発売されていたモデルになります。じつは私は中学生の頃にEB58を所有しておりまして、ED58が欲しいなぁとか思っていましたが手に入れることは出来ませんでした。今回はその後継モデルでしょうか恐らくEF61をモデルとした製品で、「ED61」は実機が実在することからED100としたのでしょう。

今回、鉄道模型の経験のない友人が運転会に参加するための入門用教材として入手をしました。高級機ではないので乱暴に扱われた個体が多い中で、この個体は傷もなく走行も少ないようです。ただし、現状はレールからの集電ではモーターは回らないので分解整備をして行きます。モーターは状態は良好でブラシの清掃と軸への注油(マッハのLPS)をして復活しました。

や殆ど絶滅したインサイドギヤ方式のメカです。ギヤ軸のガタもなく、洗浄をして、水油ではなくセラミックグリスを軸に塗布します。また、絶縁側の車輪が緩んでいました。絶縁材のベークが緩みやすいのでしょう。緩み止めを塗布して締め込みます。

ウォームギヤとのクリアランスは上質紙1枚を挟んで調整します。

 

 

モーターレス側の台車も清掃注油をしておきます。もう一組モーターとインサイドギヤを入手して2モーター化も出来ると思います。

 

これを見ると現在のパンタグラフは当時のものと比較して進化していますね。しかし、1個5,000円ぐらいしますから1両分(2個)だと厳しいです。

 

一般的に金属製の鉄道模型の材質は真鍮ですが、このモデルはブリキのブレス表現とコストを下げています。そう言えば、現在は高級メーカーの「エンドウ」が昔発売していた貨車はブリキ製でした。私の所有していたEB58は確かエンドウ製と記憶していますが、カツミブランドとエンドウブランドが存在するのかな? 良く知りません。今ならLEDのライトも麦球でテールライトは塗装表現です。窓のHゴムを塗装してガラスを入れたらよいかとも思いますが、まぁ、オリジナルのままにしておきましょう。

殆どの個体はカプラーはケディーなどに交換されていますが、この個体はオリジナルのままベーカーが付いています。このまま運転会に持ち込んでも連結できる車両はないでしょうけど。

ということでテスト走行は快調でした。構造の勉強用としては打って付けのモデルと思います。

 

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O/H済み?のPEN-FVの巻

2024年06月05日 17時00分00秒 | ブログ

「ベテランのプロがO/H済み」とのふれ込みで購入したと言うPEN-FV #111160 (1967年5月製)と製造から3月の初期型です。内部に使われているユニットも改良前の初期型ですので安定性に難がある頃です。外観はきれいですが、購入直後にシャッタースピード変わらないという問題があって、空シャッターを切っているうちにリターンミラーも動かなくなったとのことで私のところに来ました。絞りレバーの停止位置が変ですね。

応急復帰をさせようとアンダーカバーを取り去ると、強い水油の臭いがします。ユニットの全体に油漬けのような状態です。当然、応急復帰も出来ません。

 

のリターンミラーユニットのバネカケの停止位置が変です。これは恐らくバネが折れています。

 

そもそもシボ革が接着されていません。

 

 

「シャッタースピードが変わらない」ことから当初はのコントロールレバー折れ(持病)を疑いましたが幸い折れていませんでした。しかし、ユニットは汚れて油まみれ、私には何もしていないように見えます。(油を付けた?)

シャッターユニットの問題は初期型のスローガバナーは歯車に錆が発生している状態で良くない。正しくシャッタースピードをコントロールできない原因では? 

 

別の問題。一番上のリングナットが緩んでいるため下のブレーキカンにガタが多くなって下のブレーキジクが乗り越えてしまうため巻き止が解除されない。

 

リターンミラーユニットのバネですが、孔にバネが見えません。

 

 

はい、折れていますね。恐らくシャッターユニットとの同調が崩れてダブルテンションが掛かったのでしょう。交換が必要です。

 

 

とりあえず仮組をして作動を見ます。

 

 

すでにUPしたはずなのに消えているので再UPします。油の浸透していたダイカストボディーを脱脂洗浄をして組み立てて行きます。

 

リターンミラーは再使用の予定でしたが、オーナーさんのご希望で急遽交換することになりました。よく見るとかなりひどい状態でした。

 

古いミラーを取り除きました。

 

 

ミラーを接着して光学系を組み立てて行きます。

 

 

リターンミラーユニットは超音波洗浄後に点検と注油をして良品のバネを組み込みます。

 

これで前板関係は完成。

 

 

で、本体に組み込みましたが、何故かシャッターユニットとリターンミラーユニットの位置関係が通常と異なり、ギヤの噛合いが適正にならない。初期型の部品間の勘合不良なのか、あるいは前板が別の個体のものなのか?? 各ユニットの組み立ては皿ネジが使われることによって組み立て位置が決まってしまい、自然に正しい位置関係となるようになっているのですが・・

セルフタイマーに問題がありましたが調整しました。作動自体はミスもなく安定して作動しています。このように過去に問題のあった個体は思わぬところで落とし穴があったりするので気が抜けません。

上下カバーを取り付けて完成。リターンミラーは新品できれいです。

 

 

初期型のユニットを使われている頃の個体ですから信頼性は高くないのと、過去の疑問のある分解で一時はジャンク? 状態とも思えましたが、このカメラが希少なFVで外観がきれいであったことが幸いして復活した状況です。修理決断のオーナーさんに感謝です。

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奇跡の外観PEN-Wの巻

2024年06月03日 17時00分00秒 | ブログ

その前に、カメラ店で購入したPEN-FTのリターンミラーが剥離をしたとのことでお店経由で送られて来ました。幸いリターンミラーの割れやフレネルレンズへの衝突もなくラッキーでした。

 

接着面の剥離はかならずミラーホルダー側のクロメート層側でおきます。まず、剥離をしたミラーから古い接着剤を取り除きます。

 

接着後、ファインダーの∞を確認して終了です。リターンミラーの剥離はFTの持病ですので、どの個体でも突然起きる危険があります。注意のしようがありませんが。ところで、きれいで作動も良好な個体だなぁと思いましたら、過去に私がメンテナンスをした個体でした。回り回って帰って来たということです。

で、本題です。ご常連のPEN-W コレクターの方から塗装の状態が素晴らしい個体#1029XXが来ました。恐らく私が確認した個体のうち2番目ぐらいに良いです。

 

内部もきれいで殆ど使用されていませんね。例によってシャッター作動せずとファインダーの曇りです。

 

つや消し黒の塗膜は、まだつや消し層が摩滅もしていない完全な状態です。

 

で、オーナーさんもシャツターが開かないのでレンズの後玉の確認が出来ませんでしたが、あ~ぁ・・

 

後玉を取り出してみます。これはコーティングの劣化で、すでに剥離をしている部分もあります。

 

清掃をしてみました。幸いバルサム劣化はないので良いかなぁというところ。

 

では定番の作業からしていきます。このファインダーのレンズを接着した作業者は非常にまじめに作業をしていて、それが分解しにくい原因です。やっと分離しました。

 

シャッターもほとんど使用されていません。洗浄後に組み立てています。最後にシャッター羽根をセットしてハウジングを閉じます。

 

画像にすると分かりませんが「OMS」の文字に部分的な色抜けがあります。オーナーさんから修正ご希望ですので修正をしておきます。

 

レンズは後玉にコーティング劣化がありましたが、すでにオーナーさんが所有されている同時期製造のレンズの方が状態が良好のためレンズユニットを交換しました。これで外観とレンズ共、現存では最高レベルのコンデションとなったと思います。羨ましい方がいらっしゃるものです。

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