以前にも満身創痍のローライ35がありましたけど、高級コンパクトなのに乱暴に扱われるカメラですね。#6020XXXはシンガポール製です。アルミのトップカバーは零戦の外板のようにペコペコで、板厚は塗膜を含めて0.6mmしかありません。この個体は巻き上げレバー側を下に落下をしています。
そもそもの修理ご依頼は「沈胴が作動しない」でした。原因は沈胴レールを留める2本のネジが緩んで脱落していたのでした。よそのカメラ店さんから整備済みで購入されたとか・・
作業をしながら、ざっと不具合を書き出してみました。沈胴レールネジ外れ、画像のトグルレバーとハンマーの位置関係不良、巻き上げギヤ地板ネジ折れ、巻き上げギヤタイミング不良(組み間違い)、メーター不動、メーターガラス欠落、ヘリコイドグリス抜け、ファインダー曇り、レンズ汚れ、トップカバー凹み、巻き上げレバー曲がり、シャッター低速切れず、まだ出て来るかも知れません。
カメラの内部からネジ頭が出て来たとのことで付属して来ましたが、これは巻き上げギヤ地板のこの部分のネジです。ここは、巻上げでストレスが掛かるネジですから緩んでいることが多いですが、落下の衝撃で頭が折れたものかも知れません。上の巻き上げギヤは噛合いのタイミングが間違っており、巻き上げレバーが完全に戻りません。
で、沈胴の作動を修理して終了かと思いましたら、全体的に修復のご依頼だそうです。この状態から修理のご決断。えらいなぁ。では、頑張ってやって行きます。
沈胴レールの上側のネジの緩みを確認しておきます。露出メーターは回路の断線もありましたが、残念ながらCdsが不良となっており、汎用に置き換えました。
沈胴チューブを分離してフェルトの調整をします。ローレットリングを留めるネジが緩んでおり↓のように隙間が空きます。
前玉を分離して見ると、ローレットリングを留める2本のネジが脱落していました。
フィルムカウンターのストッププレートのネジは緩んでいる個体が多いですが、この個体も緩んでいて,締め込むとカウンターが進まなくなる不具合になります。逆転防止爪が弱っています。
トップカバーのへこみの修正と洗浄。露出メーターの窓ガラスはトップカバー側とメーター側の2枚重ねになっていて、この個体はトップカバー側が欠落していました。このままでも良いですね。と言いましたら取り付けてほしいとのご要望だったそうですので接着しました。
フィルムの巻上げテスト。フィルムカウンターが正常に作動するか。
もうないと思いましたらありました。ASA感度ダイヤルが固着をしていて回転しません。過去に分解を受けて傷だらけになっています。
やれやれ、いくつ不具合があったでしょうか? 素性の悪い個体はこんなものです。しかし、すべて修正をして良い状態になりました。