昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

小説・二十歳の日記  七月二十日  (曇り)

2024-09-29 08:00:59 | 物語り

くもり空のきょう。まるでこのぼくのこころそのものだ。

くもり空、いつか降るだろう雨を、大きな広がりのどこかに隠している。
いや、ひょっとして降らないのかもしれない……

けさ、いまにも降り出しそうな空で、しかたなく傘を持って出たよ。
えっ? 相あい傘を期待したのかって? 
うーん、どうかな、ちょっとはあったかな。
で、アパートに帰り着くまでのあいだ、この傘のなんと恨めしかったことか!
アイデアルならまだしも、親父ゆずりの古いコウモリ傘は、いかにもぶかっこうだ。
初めてのデートだというのに、彼女にも笑われた。
今夜は、もう寝る。

*アイデアル=折り畳み式の傘



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