昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[お取り扱い注意!]  (三十)

2013-08-26 19:41:20 | 時事問題
(三十)

しばしの時間が経った。
この待ち時間が苦痛になる。

常連らしき人は、新聞なり雑誌を読んでいる。
そういえば、入り口近くに新聞が置いてあった。

あんな遠くから持ってきたのか…と、半ば羨ましく思えた。

「山本さん、五番にお入んなさい。」

当初は聞き間違いかと思ったが、何度聞いても、
「お入んなさい」だった。

何とも、暖かさを感じさせる呼びかけで、嬉しさを感じた私だった。
心がある、なぜか直感的に思った。

ドアを開けると背筋がピンと伸びた老医師が、にこやかに迎えてくれた。

「はいはい、山本さん。
今日は気分が良さそうだね。

うん、良かった良かった。
さあ、お座んなさい。」


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